bandicam 2018-11-22 17-02-17-213



22:39:07 ID:2vs
大学入学に際して、私は一人暮らしを始めた。それなりに新しいアパートで、角部屋ではないが南向き。

宅浪を経て、第一志望校に落ちた私は、引きずる思いを振り切るように、入学前に
すでにアルバイトを始めていた。






4: 22:41:23 ID:2vs
当時私には彼氏がいた。第一志望の学校に通う元同級、今では1つ上の学年となっていた。つまりは、他大生。

彼の他にも先に大学生となった「先輩」から話を聞いて、いろいろ学校に必要な道具も揃えていった。
6: 22:43:03
>>1 のスペックは?
8: 22:44:01 ID:2vs
>>6
おんな、既に社会人
7: 22:43:34 ID:2vs
入学式を終え、大学のムードは完全に新歓。毎日のように新歓やら時間割説明会やらお食事会が開催されていた。

そして、私のアルバイト先のレストランでも、お食事会が設けられた。
10: 22:46:34 ID:2vs
ホールで働いていたから、たまたまそのテーブルに注文を取りに行ったんだ。

ワイワイガヤガヤしてるテーブルに、1人だけ、男子学生が物静かに座っていた。ちらりと見ただけで、特に残るタイプではなかったけど薄幸そうで、第一印象は
「あぁ、こいつ死ぬな」だった。

すごく失礼だけど。
11: 22:48:29 ID:2vs
そのまま閉店まで働いて、その日は家に帰った。

数日後、その男子学生に会った。服装は本当に印象に残らない。多分黒のチノパンを履いてたと思う。

あっ、と思ったら向こうから声をかけてきたんだ。
「周りに気をつけた方がいいよ」
12: 22:50:23
釣りかな?
15: 22:53:47 ID:2vs
>>12
寝る前の暇つぶしになれば、釣りだと思ってくれても構わないよ
唐突に思い出して書いてるだけだし


それからというものの、私の周りであの薄幸少年が言ったように変なことが起こり始めた。まず、朝起きれない。

体がだるい。夜中に呼び鈴の音で起こされる。もちろん幻聴だけど。

バラの香水の香りがするようになる。そして、ケガをしやすくなる。
13: 22:51:13 ID:2vs
唐突に話しかけられて、なんだこいつと思った。

その晩、女友達が泊まりに来て、彼の話は今でいう女子会のかっこうの話題となった。

彼女が帰ってから、黒い長い髪の毛が落ちてることに気づいた。

私は飲食で働いてるからショートだし、友達はロングだけど茶髪。

まぁ、一本くらい染まってないのがあってもおかしくないか、と思ってその時は流した。
16: 22:56:02 ID:2vs
一人暮らしを始めたせいか、周りに気を使わせちゃいけないと思って、ずっと黙ってた。みんな心配してくれたけど、大丈夫、で突き通した。

見知らぬ髪の毛はよく見かけるようになったし、排水溝に詰まってることもあった。たまに私だけ携帯の電波が悪くなることもあった、けど黙ってた。
17: 22:58:21 ID:2vs
そんなある日、二限めの終わり頃。

体育の授業でサッカーをしていた私は、思いっきり転んで膝を怪我した。ひどく擦りむいていて、保健室に行くことになった。

いつも通り私は「大丈夫だから」と言って、1人で保健室に向かった。

保健室の先生に手当てをしてもらっていると、カーテンが囲ってあるベッドからあの男子学生が出てきた。
18: 23:00:13 ID:2vs
どうやら彼は脳貧血で倒れて、寝ていたらしい。
先生の態度からして、すでに常連であることが伺えた。

彼は私を見るなりむすっとして、2人で保健室を出た瞬間
「だから気にしろって言ったのに」
とつぶやいた。
19: 23:02:23 ID:2vs
流れで、私たちは昼食を共にすることにした。

私がお弁当を持ってきていたのに対して、彼は売店で買った梅のおにぎり1つだった。そりゃあ倒れるわけだ。

なるべく人気のない場所を選んで、私はぽつり、ぽつりとことの顛末を話し始める。
20: 23:03:48
うむ
21: 23:05:36 ID:2vs
人というものは変なもので、今まで耐えてきたものでも、口に出すと耐えられなくなってしまうらしい。

髪の毛、幻聴、まとわりつくバラの匂い、ケガ、そして不安。

お弁当にまともに手をつけられないまま、私はぼろぼろと泣いた。非常に滑稽だったと思う。箸持ちながら泣いてるんだから。

彼はぎょっとしたみたいで、少しオロオロしていた。

でもハンカチもちり紙も全部私が出して使ってて、ただメソメソした声だけ響いてたと思う
22: 23:08:34
眠いけど気になる
24: 23:09:38 ID:2vs
>>22
ありがとう
行が長いと書き込めないの不便だな
23: 23:09:15 ID:2vs
涙がおさまって、呼吸が落ち着いてくるとようやく彼は口を開く。

「つぎ、あきこま?」

次のコマは運よく空いていたので、彼に連れられて図書館に行くことになった。
図書館は勉強している人が多いし、この時間は睡眠をとる人も多い。

据え置きのパソコンから離れれば電気が少ない。

本の保存もあるから、湿度も低い。彼にとって学内では1番「避けやすい」スポットだったのかもしれない
25: 23:12:21 ID:2vs
「先に言っとくけど、俺は見えるだけで、払えたりするわけじゃないし、正直つきやすいからこの手の類は苦手」

色白の彼の一人称は僕、のイメージだったから、なんだか少し違和感を覚えた。

「完璧に生き霊だね」

彼は続ける。

お食事会の時から、私に付かず離れずついてきてる奴がいたと。
そして保健室出会った時には、真後ろに女が立っていたと。
26: 23:14:13 ID:2vs
「心当たりは?ないよねきっと」

普段の私を思い返す。私は誰かから恨みを買うようなことはしていただろうか。

「だよね、人は知らないうちに誰かを傷つけてるものだからね。人からわざわざ恨まれようとする奴なんかいないし」

首を横に振った私に、彼はなんでもないようにそう言った。
27: 23:16:34
興味深いお話
28: 23:17:38 ID:2vs
彼曰く

生き霊はまんま生きている霊で、根源を絶たないとずっと追いかけてくるらしい。
だから、お祓いとかはきっと無駄だろうと。

「1番いいのは相手が誰か分かって、キッパリ解決、だけどダメならまずは君が元気でいることだね」

それだけで、霊は近づかなくなるらしい。

図書館から次の教室への移動際、彼は自販機でポカリを買ってくれた。

無言で渡して、そのままどっかに行っちゃった。多分慰めか応援だったんだと思う。
29: 23:19:17 ID:2vs
気を引き締めて、生き霊なんか怖くない!と思えば、少し気分が楽になった気がした。

家に帰ってケータイを開けば、彼から週末のデートのお誘いがあった。

バラの匂いが強くなった気がした。
30: 23:21:22 ID:2vs
当日。

彼の様子は普段通りであった。彼から強烈なバラの匂いがすることを除けば。

むせ返るような匂い。周りの人が何も感じていないあたり、これは生き霊の仕業だと思った。

ご飯を食べて話している最中、彼がサークルのメンバーの写真を見せてくれた。
そこに、黒髪長髪の女がいた。
31: 23:23:39
二股男に天罰が下りますように
32: 23:24:58 ID:2vs
「この人、元気なさそうだね」

それを指差して尋ねると、彼は言葉に詰まって、あぁ、と漏らした。

「最近調子悪いみたいでさ、なんか」

彼女と何かあったのか。それとなく問い詰めてみると、彼は観念したように言った。

「ごめん、告白されたんだ」

彼が言うには、彼女がいるからと丁重に断ったらしい。
それまで、私がいることはひた隠しにしていたそうだ。
33: 23:28:16
すごいピンポイントで犯人見つけたんだね
37: 23:37:52 ID:2vs
>>33
結構すぎちゃったけど、黒髪長髪は彼女だけだったし、画面からも睨みつけられているのが分かったんだ


眠い中ここまで読んでくれてありがとう
34: 23:30:08 ID:2vs
おそらく逆恨みってヤツだと思う。

香水の話も聞いた。不審がっていたけれど、花の匂いの香水が好きだと聞いたことがあると言った。

問題は、これからどうするかだった。
その日を境に幻聴はひどくなるし、金縛りにもあった。
いっそこれを理由に別れてしまおうか。

しかし、これまた突然、匂いも、髪も、幻聴もピタリと止んだ。

数日後、彼と同じ大学の友人から、彼に別の女がいると連絡が入った。
35: 23:32:02 ID:2vs
正直、渡りに船だと思った。

すぐに感情的な女を装って、別れ話を切り出した。
別れないと言いふらすから!と電話口で怒鳴れば、あっさりと諦めてくれた。

所詮そんなものなのだと、その時もう彼に対する気持ちは冷め切ってしまった。
36: 23:36:03 ID:2vs
彼や密告してくれた友人の大学と、私の大学の最寄駅は同じで、たまたま新しい彼女と歩いてる姿を見ることができた。

彼はあまり変わらなかったけど、写真だけで見たはずの黒髪の女の子はすごく生き生きとしていて、良かった、素直にそう思った。

彼とはもう連絡していないし、ましてやその子とは知り合いでもないからもう関係はない。

でも、2人とも誰も恨まず生きていてくれたらいいなと思う。

それ以来、私は後遺症なのか、化学物質過敏症になってしまった。
今でもバラはもちろん、どんな匂いの香水も柔軟剤も、頭痛と吐き気がして苦手です。
38: 23:38:54
ごくろう
39: 23:39:14 ID:2vs
>>38
ずっと読んでてくれてありがとうね
40: 23:40:07
で、男子学生とのその後は?
42: 23:41:51 ID:2vs
>>40
それ以来ほんの少しだけ見えるようになったから、話したり、心霊に関する相談はしてた
いつも顔色が悪かったな
付き合ったりはしてないよ
43: 23:42:47
>>42
なるほど、今でも連絡取ってるん?
44: 23:44:47 ID:2vs
>>43
いや、連絡がつかないの

大学は卒業したみたいだけど、彼の所属してたサークルのメンバーも行方が分からないって

猫みたいに4期を悟って消えたのかも、とよぎったけれど
そんなことはあって欲しくないし

もしまとめられて、もし目に入ることがあれば、久しぶりにご飯食べたいから
連絡してほしい
45: 23:45:40
>>44
本当に不思議な話だな
46: 23:47:02 ID:2vs
>>45
まぁね、不思議な話だからね
41: 23:41:09
天罰落ちなかった(。・?_?・。)ムゥ…
47: 23:51:14
へぇ~
せやけど彼女ができるような奴やったんやな。一人称は大事である。
49: 23:54:13 ID:2vs
>>47
薄幸な彼に浮いた噂はなかったよ、周囲の評判も幸薄そうやつって感じ
黒髪の子と歩いていたのは元彼ね、彼じゃなくて彼氏って書いておけばよかったな
50: 12:33:05
好きな異性と付き合う妄想する人も多いと思うんだけど
そこには恨みはない。

こういう場合、その好き度が強くて
妄想する場合も生霊は発生するのかな?
51: 2016/06/10(金)00:13:32 ID:QtJ
>>50
だいぶ時間が経ってしまったけれど、1です

生霊について薄幸な彼に尋ねたことがあります。彼曰く生霊というものは強い想いが元になっていて、怨念なら呪われるし

例えばですが、戦地の人が家族や恋人を慕ったり、会いたいと思えばそっと飛んでいって寄り添うこともあるらしいです。

どちらにせよ、魂を飛ばしている本人は辛い目に合うそうですが

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sourcehttp://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1465133947/