- 20xx/ 00:18:14.836 ID:ZRFvfSE80
- この駅の“キヨスクのおばちゃん”は只者ではない――
男「やべっ、電車来ちゃう! おばちゃん――」
おばちゃん「あいよ! 急ぐんだろ? はい、週刊誌とお茶!」サッ
男「えっ!」
男(なんで俺が欲しがってた商品を的確に……)
男「あっ、だけどお金――」アセアセ
おばちゃん「ついでに代金は財布から抜いといたよ」
男「ど、ども……」
男(熟練のスリも真っ青のテクニックだ……)
- 2: 20xx/ 00:21:14.818 ID:ZRFvfSE80
- OL「…………」
痴漢(いいケツしてやがる……ちょっと触ってやろ)グヒヒ…
おばちゃん「ちょいと待ちな、あんた!」
痴漢「!?」ビクッ
おばちゃん「あんた、痴漢しようとしてたろう」
痴漢「な、なんで分かった!?」
おばちゃん「あたしが何十年、この駅に勤めてると思ってんだい!」
おばちゃん「痴漢ならあたしにしなっ!」
痴漢「は、はいぃっ!」 - 3: 20xx/ 00:24:28.956 ID:ZRFvfSE80
- 痴漢「ど、どうですか?」ナデナデ
おばちゃん「全然ダメ!」
痴漢「こ、こう?」ナデナデ
おばちゃん「そんなんじゃ、あたしの尻は満足しないよぉっ!」
おばちゃん「さあ、満足させるまで何時間でも痴漢してもらうからねえ!」
痴漢「ひえええええ……!」
通行人(すげえ、あのおばちゃんまた痴漢を満喫してる……) - 4: 20xx/ 00:27:31.897 ID:ZRFvfSE80
- 新入社員「はぁ~……」
新入社員(会社、行きたくないなぁ……)
新入社員(毎日満員電車に揺られ、上司に怒鳴られ、先輩の顔色をうかがい、夜遅くに帰宅……)
新入社員(社会人ってなんてつらいんだろう……)
おばちゃん「ちょいとあんた」
新入社員「?」
おばちゃん「これ飲みな」サッ
新入社員「これは……栄養ドリンク?」 - 5: 20xx/ 00:30:05.511 ID:ZRFvfSE80
- 新入社員(こんなの飲んだって気休めにしか……)グビグビ…
新入社員「――むふっ」
新入社員「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
新入社員「みるみる元気が湧いてきたああああああああああああ!!!!!」
新入社員「上司がなんだ! 先輩がなんだ! うおおおおおおおおおおおお!!!!!」
新入社員「今の俺なら100時間怒られようとビクともしねえええええええ!!!!!」
新入社員「ありがとう、おばちゃんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!」
おばちゃん「頑張ってきな」 - 6: 20xx/ 00:31:45.084 ID:3/6CtJ62r
- 何入ってんだよw
- 7: 20xx/ 00:33:21.422 ID:ZRFvfSE80
- 夜――
男「ビールちょうだい」
おばちゃん「あいよ」
男「……うめぇ~!」
おっさん「冷や酒くれや」
おばちゃん「あいよ」
おっさん「体があったまるぜぇ……」
男(こうやって、駅で飲む酒もまた格別だよな) - 8: 20xx/ 00:36:33.834 ID:ZRFvfSE80
- コート男「バーボンくれ」
おばちゃん「あいよ!」
男(バーボンまであるんだ)
貴族「ロマネコンティを頂こう」
おばちゃん「あいよ~」
男(え!?)
猿「猿酒くれ」ウキッ
おばちゃん「あいよ」
男「あんの!?」 - 10: 20xx/ 00:39:33.547 ID:ZRFvfSE80
- 男「このキヨスクはなんでもあるんだね」
おばちゃん「まあね。売れるもんはなんでも売るのがあたしの信条さね」
おばちゃん「売りたくないもんといったら、媚びぐらいのもんかねえ」
男(たしかにおばちゃんが媚びを売ってる姿は想像できない)
男「だったらさ……」
男「もし俺が、おばちゃんをくれっていったらどうなんの?」
おばちゃん「ほう……」 - 11: 20xx/ 00:42:13.177 ID:ZRFvfSE80
- おばちゃん「あいよ」サッ
男(捺印済みの婚姻届……!)
おばちゃん「さ、どうするね?」グフフッ
男「…………」
男「遠慮しときます」
おばちゃん「チッ!」 - 12: 20xx/ 00:44:49.466 ID:ZRFvfSE80
- 駅員「起きて下さい!」ユサユサ…
酔っ払い「ウイ~……」
駅員「参ったな……全然起きないや。ほっとくわけにもいかないし……」
おばちゃん「おやおや、酔っ払いにも困ったもんだねえ」
おばちゃん「だったらあたしが添い寝してやるよ」ゴロン…
酔っ払い「目が覚めました!」シャキーン
おばちゃん「チッ!」 - 13: 20xx/ 00:46:44.666 ID:3/6CtJ62r
- ワロタ
- 15: 20xx/ 00:49:19.725 ID:ZRFvfSE80
- ある日――
アナウンス『まもなくドアが閉まります。ご注意ください……』
会社員A「あー……乗れなかった」
会社員B「仕方ない、次のを待とう」
俊足男(クックック……)
俊足男(俺の乗車タイムはここから! ギリギリでなきゃ意味がない!)
俊足男「よーい、ドンッ!」ダダダダダッ
男(は、速いッ! あれなら乗れちゃいそうだ!) - 16: 20xx/ 00:52:05.446 ID:ZRFvfSE80
- おばちゃん「おっとぉ」サッ
俊足男「!」
おばちゃん「駆け込み乗車は禁止だよ!」
俊足男「出たなおばちゃん! 今日こそ抜いてやるッ!」バババババッ
男(なんてフットワークだ! 残像が見えるほどだ!)
おばちゃん「甘いッ!」ズザァァァァ
俊足男「ぐはぁぁぁぁぁ!」ドテッ
おばちゃん「あたしの目が黒いうちは、駆け込み乗車なんてしゃらくさいマネさせないよ!」
俊足男「また……負けちまった……」ガクッ - 17: 20xx/ 00:54:36.892 ID:Sgzp+hUH0
- 久々の良スレ
- 18: 20xx/ 00:55:20.773 ID:ZRFvfSE80
- 駅長「うおっほん!」
男(出た駅長! ここの駅長は体が大きくて、態度はそれ以上に大きいんだよな……)
駅員「駅長! おはようございます!」
駅長「なんだね、その挨拶は! 気合が入っとらんぞ! まったく……」ガミガミ…
駅員「す、すみません……」
男(虫の居所が悪かったんだろうな……気の毒に) - 19: 20xx/ 00:58:06.044 ID:ZRFvfSE80
- おばちゃん「ちょいとあんた!」
駅長「!」ビクッ
おばちゃん「まーた偉そうにして!」
おばちゃん「みんな、一生懸命働いてるだろうが!」
おばちゃん「ふんぞり返ってるだけのあんたが偉そうなクチ聞くんじゃないよ!」ガミガミ…
駅長「す、すみません……」
男(たとえ駅長といえど、おばちゃんには敵わないようだ……) - 20: 20xx/ 01:00:34.090 ID:ZRFvfSE80
- ドヨドヨ…
青年「大変だ! プラットホームに不審物が!」
おばちゃん「どれどれ……」
チッチッチッチッチッ…
おばちゃん「こりゃ時限爆弾だねえ。あと数十秒で爆発しちまうよ」
青年「なんですって!? それじゃ警察を呼んでも間に合わない!」 - 21: 20xx/ 01:03:33.517 ID:ZRFvfSE80
- おばちゃん「ま、大した爆弾じゃない」
おばちゃん「あたしに任せときな」ズババババッ
青年「早い……なんて手つきだ……」
おばちゃん「ほら、解除できたよ」サッ
青年「おおっ!」
おばちゃん「ついでに爆弾魔も捕まえといた」サッ
爆弾魔「トホホ……」ガックリ
青年「えええええ!?」 - 22: 20xx/ 01:05:05.834 ID:/vsVOFBtr
- キヨスクのおばちゃんは化け物か
- 23: 20xx/ 01:06:26.654 ID:ZRFvfSE80
- アナウンス『人身事故の影響で、現在運転を見合わせております……』
ザワザワ… ドヨドヨ…
「いつまで見合わせてんだよー!」 「まだなのー!?」 「早く動いてくれ……」
「ふざけんなーっ!」 「この後約束があんだよ!」 「この辺ヒマ潰せる場所ないしよ~」
男(みんなイラついてるな……)
おばちゃん「…………」 - 24: 20xx/ 01:08:19.957 ID:ZRFvfSE80
- おばちゃん「よぉし、あたしが一肌脱いでやる!」
男「おばちゃん!?」
おばちゃん「退屈してる利用者のみんなァ!」
おばちゃん「あたしのロックを聞けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
男「よりによってロックかよ!?」
おばちゃん「イエェェェェェェイ!!!!!」 - 25: 20xx/ 01:10:42.384 ID:sMhlWkIP0
- 続けて
- 26: 20xx/ 01:11:23.415 ID:ZRFvfSE80
- おばちゃん「駅にたたずむ静かなオアシス! それがキヨスクゥ!!!」
おばちゃん「今日もキヨスク! 明日もキヨスク! 気安く立ち寄りなァァァァァ!!!」
おばちゃん「センキューッ!!!!!」
ワアァァァァァ……!!!
ウオオオォォォォォォ……!!!
男(あれだけ苛立ちに満ちていたプラットホームが、今やライブ会場ばりの熱気に満ちている!)
男「いいぞ、おばちゃーん!」 - 27: 20xx/ 01:12:52.553 ID:/vsVOFBtr
- ギター上手そう
- 28: 20xx/ 01:16:17.542 ID:ZRFvfSE80
- そう、この駅ではおばちゃんは無敵――
キヨスクのおばちゃんの不敗神話はいつまでも続くと思われた――
あの事件が起こるまでは―― - 29: 20xx/ 01:18:47.933 ID:ZRFvfSE80
- 幼女「ママー! 下に線路があるよ、線路ー!」
母「!」
母「コラ、落ちちゃうわよ! 早くこっちに来なさい!」
幼女「線路、さわりたーい!」
幼女「きゃっ」ドテッ
幼女「いたたたたた……」
母「キャーッ!!!」
男(子供が線路に落ちた! もう電車が来るのに!) - 30: 20xx/ 01:20:54.322 ID:ZRFvfSE80
- おばちゃん「あたしが助ける!」ダッ
男「おばちゃん!」
おばちゃん「とうっ!」バッ
男(ためらいなく線路に飛び降りた!)
おばちゃん「ほれっ」ヒョイッ
幼女「わっ」
母「ありがとうございます!」ガシッ
男(さすがおばちゃん、子供を助けたぞ! だけどもう、電車が来ちまう!)
ゴオォォォォォ……! - 31: 20xx/ 01:23:20.413 ID:ZRFvfSE80
- ゴオオオオオオオオオオオ……!!!
キキキキキキィィィィィ……!
男「おばちゃん……」
男「おばちゃああああああああああああああああああん……!!!」 - 32: 20xx/ 01:24:00.042 ID:Sgzp+hUH0
- さてどうなる
- 33: 20xx/ 01:24:16.382 ID:04ZaG2UNr
- おばちゃーん!
- 34: 20xx/ 01:26:03.168 ID:ZRFvfSE80
- ザワザワ… ドヨドヨ…
男「なんて、ことだ……」
男「キヨスクのおばちゃんが……!」
男(いくら無敵のおばちゃんでも、電車に轢かれたらさすがに……!) - 35: 20xx/ 01:29:25.825 ID:ZRFvfSE80
- 「い、いや……! あそこを見ろ!」
おばちゃん「ふぅ……とっさに運転席に避難して助かったよ」
運転士「いつの間に……!?」
オオオオオ……!
男「すげえええええええええええ!!!」 - 36: 20xx/ 01:30:29.896 ID:Sgzp+hUH0
- おー
- 37: 20xx/ 01:32:41.813 ID:ZRFvfSE80
- 男(すげえや……やっぱりこの駅では、おばちゃんは無敵だ! 最強だ! 不敗なんだ!)
母「ありがとうございました……!」
幼女「ありがとう、おばちゃん!」
おばちゃん「なぁに、あたしはキヨスクの店員として当然のことをしたまでさ」
おばちゃん「怖かっただろう。ガムあげるよ」
幼女「ありがとー!」
幼女「ところで、おばちゃん」
おばちゃん「なんだい?」 - 38: 20xx/ 01:35:24.987 ID:ZRFvfSE80
- 幼女「キヨスクってなんで“キヨスク”っていうの?」
おばちゃん「…………」
男(たしか元はトルコ語で……)
おばちゃん「ごめんねえええええ! おばちゃんも知らないんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
男(今この瞬間、おばちゃん不敗神話が崩れた……!)
― 完 ― - 39: 20xx/ 01:36:32.149 ID:+VfdjvmO0
- 乙
- 40: 20xx/ 01:36:47.070 ID:Sgzp+hUH0
- おつかれ
- 41: 20xx/ 01:41:09.913 ID:04ZaG2UNr
- 乙
リアルキヨスクおばちゃんもただ者じゃないオーラ発してることは多いよな -
あなたにオススメ
-
おすすめ記事
-
コメント