
霊現象の怖さ、これは実際に体験した人でなければわかりません。
今回お届けする話は普通に暮らしていた女性に起きた体験になります。
優しい父親の過去、ある事故から始まる無念の思い。一体この女性の運命はどうなってしまうのでしょう
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- Mystery master
- 私は親子3人で暮らす普通のOLです。毎日の仕事はきついですが母を亡くしてからは私が母親がわりみたいな所もあり今日も家路を急いでいました。
今日の夕飯はみんなが好きなオムライスにしようなどと、呑気な事を言いながら買い物を済ませ鼻歌交じりにアパートの階段を昇っていました。
ふと誰かに見られてるような気がしたのですが、下町などいつも誰かに見られているようなものなので気にもとめずに鍵を空け家に入りました。
一瞬、何か冷たい空気が私の顔をよぎります。夏の夕方にしては冷たい空気でした。
ただ、私自身は霊感など全くなくて性格的にもあまり考えこむ方ではなかったので早速夕飯の準備に取り掛かました。
お米を研いで少し水に浸し、その間にサラダにする野菜を切り始めました。
ザワ。。。
(何か聞こえる )部屋を見渡しましたが誰もいません。
「疲れてるのかな~明日は休みだしゆっくりしてよう」
独り言 をブツブツを言いながら残りの野菜を切っている時、またあの音が聞こえます。
ザワ。。。ザワ。。。
(何だろう )
普段なら気にもとめない所ですが何か嫌な予感がします。
玄関を開けた時の冷たい空気をいい、今日は少し家の中が変なんです。
- Mystery master
-
そして、背中には明らかに視線を感じるのです。
私は父に電話をかけました。
「もしもし。アキコだけどお父さん帰り遅くなる?」
父「もうすぐ帰れるよ。多分あと1時間くらいで家に着くと思う。何か買い物でも忘れたのか?」
「ううん。わかった。なるべく早く帰ってきてね」
そう言って電話を切ると少し安心したのか、身体がぐったりとしてしゃがみ込んでしまいました。
10分ほどでしょうか落ち着きも取り戻し、父と弟の帰りを待ちながら夕飯の続きにはいります。
(こういう時って女はダメね)
そんな事を思いながら卵を割っていると足首にヒンヤリをした感触が残りました。
「なにっ!」私はその物体を見た瞬間息が止まる程の恐怖を感じました。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
私の足首を掴んでいたのは小さな子供の手でした。
手だけがあるのです。
何かを探すように動き、私の足首を掴むといった表現が正しいのかはわかりませんが、とにかく掴んでいるのです。
私はもう、見ることで精一杯でした。その手を摑まえる事も怖くて出来ませんし、ただ父が帰ってきてくれる事を祈るばかりです。
その間も手は、足首を掴んだり放したりちょっと移動してはまた足首を掴むといった行動を繰り返していました。
(どうすればいいの・・・お父さんたすけて!)
心の中で何度もそう叫んでいました。もうすでに意識もなくなりそうでしたが、手が動きまわる様子を見続けていました。
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-
そして
その手は私の口へ飛びかかってきたのです。
口を押さえられた私は無我夢中で振り払おうとします。
「ゥッツクッツウゥウゥゥ」
両手で手を掴みますが恐ろしい程の力で、口から放す事が出来ないのです。足をバタつかせて何とか手を外した瞬間。
「ただいま~帰ったよ」
そう、父が帰ってきてくれました。
その瞬間、手が消えたのです。
今まで口を押えてた手はどこかに消えてしまい、私は台所に寝そべっている状態でした。
「何やってるんだ?アキコ」
ほっとしたのか、私は立ち上がり父に抱きつき泣き始めました。
「どうした?何があった?」
5分くらいの間、父の胸の中で泣いているとだんだんと落ち着いてきます。父も泣き止むのを待ってくれているようで優しく髪をなでてくれました。
私は落ち着きを取り戻すとさっきまでの不可解な現象を全て話し始めました。
その間父は何も言わず、ただじっと私の目を見つめて聞いていたのです。その目は明らかに何かを知っている目でした。
父「アキコ、とりあえずここから出なければいけない。ここにいてはいけない。すぐに荷物をまとめてホテルにでも避難しよう。」
「お父さん何かしってるんでしょ?何なの?」
父「その事はホテルで話す。コウタに電話してここには戻らないように伝えるから、とにかく荷物を。なるべく早く出なければいけないんだ」
私は父の言う通りに3人分の着替えなどをまとめバッグ2つを用意しました。
父「よし、行こう!」
父はバッグを2つ抱え私を先に家から出し、玄関の鍵をかけました。
車に乗ると父はどこかへ連絡しているようで何かを話しています。詳しい内容はわかりませんが「アレが出た」という言葉を何度も言っていました。
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家から10分程の場所にあるビジネスホテルに着くと、ツインをとり私達は部屋へ向かいます。
(父は何を知っているんだろう。アレが出たってなに?)
部屋へ入ると父は私を椅子へ座らせ、自分も対面にある椅子へ腰かけこう話し始めました。
父「アキコ。お母さんが亡くなった時の事を覚えてるかい?」
「お母さんとあの手が関係あるの?」
父「お母さんは、あの『手』に連れて行かれたと思う。亡くなる1週間前くらいから、さっきアキコが話した内容と全く同じ事がお母さんにも起こっていたんだよ」
「お母さんも・・・・・・・・」
父「仕事も忙しくて家の事もあまり気にかける余裕がなかった。俺が悪いんだ。お母さんは手におびえていた。仕事場にも何度か電話がかかってきたけど、ちょうど席をはずしている時や会議中だった」
「お母さんはなんて言ってたの?」
父「手がくる! 助けて! これが最後に聞いた言葉だ」
「お父さんはお母さんを助けてあげなかったの?」
父「はっきり言えばそういう事になる。そういう幽霊とかオカルト的なものは信じていなかった。これが俺のダメな所だったと思っている』
「お母さんも同じ事・・・私も連れていかれるの?」
父「お母さんのお葬式でお世話になったお坊さんがいる。彼が力になってくれるはずだ。さっき電話したのはそのお坊さんだ」
「そのお坊さんがなぜ助けてくれるの?」
父「お葬式の後、お坊さんは私に言った。「奥様は何かに憑かれていましたね。今後同じような事がおきるかもしれない。その時は私に知らせて下さい」こう俺に言ったんだ」
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「お坊さんに話したの?」
父「言ってないよ。俺はそういう事を信じてなかったし、悪く言えばお母さんの言葉を疑っていた部分もある。だから言われてビックリしたんだ。なんでこの坊さんが妻の事を知ってるんだ?って」
「わたし・・・・こわい。こわいよ・・・・」
父「とにかく、あの家にはもう戻れないしお坊さんに電話する」
父はまたお坊さんに電話し3分ほどすると私に受話器をむけました。
父「さっきお父さんに話してくれた内容を、もう一度お坊さんに話してほしい」
私はお坊さんに家に入った時からの出来事を思い出しながら話し始めました。受話器の向うでお坊さんは「うんうん。そうですか。」と相づちを打ちながら聞いてくれます。
そして
お坊さん「今から私が伺います。部屋番号を教えて下さい」
- Mystery master
-
お坊さん「始めまして、高橋です。」
父「よく来てくださいました。中へどうぞ」
「アキコです。よろしくお願いします」
お坊さん「まず、アキコさんに何が起こっているかをお話いたします。アキコさんのお母さんは悪霊にとり憑かれていました。お葬式の時に感じた邪気が今度はアキコさんを狙っているのでしょう」
父「友美は何に憑かれていたのですか?」
お坊さん「ご自身のお子さんです」
父の目の色が変わった。お坊さんは次にこう言った
お坊さん「旦那様と奥様ですが。アキコさんの前にお子様がいらしたんじゃありませんか?私が感じるのは無念の気。子供の気なんです」
「お父さん?何があったの?」
父はゆっくりと話し始めた
父「友美に会ったのはちょうど今のアキコくらいの時だった。当時の俺はなんていうか、社会に反抗してたというか・・・とにかく悪い事ばっかりしてた。友美は花屋に勤めていて偶然に通りかかって俺が一目ぼれした女だった」
- Mystery master
-
お坊さん「なるほど。続けてください」
父「はい。
友美に会いたくて毎日花を買いに行った。 最初から優しい笑顔だった。そして俺は勤め帰りの友美の後をつけた・・・」
父「 友美の住んでるアパートは花屋から歩いて15分くらいの場所だった。部屋に入ったのを確認して、郵便のふりをして部屋のチャイムを押した」
お坊さん「その時に奥様が身ごもった。そういう事ですね?」
父「そうです・・・」
父の目は涙で一杯になっていた。
でもわからない。なぜお母さんはお父さんと結婚したのだろう?
父はまた話し始めた
父「冷静になった俺は友美に謝った。 友美の目は涙で溢れていた。土下座して謝り結婚してほしいと想いを伝えた。」
お坊さん「いえ。違います」
父の目はお坊さんに向けられた
お坊さん「これは、旦那様も克服しなければいけない問題です。それが出来ない限りアキコさんも奥様と同じになってしまうでしょう。真実を話して下さい」
父「あなたは何もかもわかっているのですね。俺はそんな霊的な事なんか信じちゃいなかったけど、わかっているんですね・・・」
- Mystery master
-
父「アキコには聞かせたくなかった・・・俺はお母さんと無理やりに結婚したんだ。
そして子供が産まれた。母親に似て綺麗な瞳の男の子だったよ。友美は子供をあやすのが上手で生きがいになってた。俺というろくでもない男の子供を一生懸命に育てた。そしてあれが起こった」
お坊さん「ありがとうございます。繋がってきました。続けて下さい」
父「子供の名前はアキオ。アキオが2歳になる時だった。3人でドライブに出かけた。俺はその頃建設会社に勤めていて毎晩のように接待で飲んでいた頃だった。その日も少し頭が痛くてアルコールは完全に抜けていなかったんだ」
父「山道でカーブがきつい場所に入り、俺はハンドル操作を誤った。車は崖に落ちてしまい、途中に生えてた大木に車が運よく引っかかった。
そして俺は友美を木の上に乗せる為に手を差し出した。
友美はアキオをしっかりと抱いていたが、それでは木に上がれない。アキオを渡すから先に木に登れと言ったんだ。
友美は木の上に昇った。そしてアキオを友美に渡そうとした瞬間、車がずれ落ちはじめた。
俺は・・・アキオを見捨てて自分だけ木にしがみついたんだ。友美は絶叫してた。車の窓からアキオの手が見えて ・・・谷へ落ちていった
俺が変わったのはその事があってからだよ。運よく村の人に見つけてもらい救助隊に助けられたんだ。
- Mystery master
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車は谷底にありアキオもいた。
でも右手が見つからなかった。手だけが見つからなかったんだ」
お坊さん「そうでしたか。辛い過去ですね。ありがとうございます。」
父「アキコ。お母さんへの愛情は本物なんだ。俺はクズのような男だけど俺は・・・・・・」
父が泣く姿を初めてみた。号泣する父は背中が小さく感じた。
いつの間にか私も泣いていた
父は私にもコウタにも優しいお父さんで小さい頃からお酒を飲んだ姿を見た事がなかった。
おそらく私のお兄ちゃんであるアキオ兄ちゃんの事で止めたのだと思う。
お坊さん「旦那様とアキコさん。 邪気の原点はそれなんです。アキオさんの無念が奥様とアキコさんを引き連れようとしています。きちんと成仏出来るようにする必要があります」
お坊さんはバッグから色々な道具を並べ始めた。
その時
「なんなの?なんで家に帰っちゃダメなの?」
コウタである。
- Mystery master
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父から連絡を受けた弟がホテルの部屋へ入ってきた
「ん?だれ?お坊さん?え?なんで?」
全く現状が理解出来ていない弟の無邪気な表情は私達の心を癒してくれた。
お坊さんも笑みを浮かべ、父の過去の事をうまく隠しながらコウタに説明してくれた。その時の父は涙をこらえ、頭を何度も下げていた。
家族全員が揃い、部屋の中でお経が唱えられる。
一見するととんでもない光景だが1時間ほどそれは続いた。
お坊さん「家族のお祓いは大丈夫です。旦那様とコウタさん。1時間程アキコさんと二人にさせて下さい」
いよいよ私の中にいる邪気を払う時がきた
- Mystery master
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「コウタに上手に説明して頂きありがとうございました。子供の頃から父はとても優しくて私達にとってはとても良いお父さんなんです」
お坊さん「お父様は改心なされています。お母さまの事も深く愛していらっしゃる。ただ、若気の至りがすぎたりと問題の多い時期もあったようですが、今日アキコさんへ全てを話したことで許されたと考えます。ご自身の恥ずかしい過去など誰にも聞かせたくはないでしょうから・・・
そろそろ始めましょう。あなたはお母さまにとても良く似てらっしゃるからアキオさんもすぐに連れていきたがっています」
「はい」
お坊さんは私を床に這いつくばらせるような格好をさせました。背中に手を置きお経を唱え始める。
何かがいる。。。
背中に熱いものを感じた。。。
熱い。
お坊さんの手は背中から頭、そして今度は足へ置かれた。
「ぎゃああああああああああああああああああああ」
自分で驚く位の声を発した。
- Mystery master
-
お経を唱える声が高くなる。
熱い
足が燃えるように熱い
聞こえる
聞こえる。 子供の声が聞こえる
「ぼくを見捨てないで」
耳元で話される。
「ボ ク ヲ ミ ス テ ナ イ デ 」
やめて。
わたしじゃない
お兄ちゃん。わたしを連れていかないで!
お坊さんのお経の声が部屋中にこだまする
お坊さん「成仏なさい!そしてお母さんと一緒に昇るのです!」
なに?お母さん?
お坊さん「 友美さん、アキオさん。アキコさんは守られています。連れていくのはやめなさい!成仏するのです!」
声はますます高くなる
私は全身が燃えるように熱くなり意識がもうろうとしてきた。
熱い。
お母さん。お兄ちゃん。
やめて・・・・・・・
- Mystery master
-
お坊さん「アキコさん!わかりますか?」
お坊さんの顔が見えた。
意識がなくなってしまったらしい。
「私・・・お母さんとお兄ちゃんに手を引っ張れて・・・」
お坊さん「大丈夫です。お母さまとアキオさんは帰られました。きちんとお二人で帰られましたよ。もう大丈夫です」
「どうしてお母さんが・・・私、わからない」
お坊さん「お母さまのお葬式の時に子供の邪気とお母さまの無念の気を感じました。ただいけない気も同時に感じていました。アキオさんの邪気はお母さまの気をも変えてしまったのでしょう。
いつかこんな日が来るかもしれないと思い。あの日お父様へお話したのです。
- Mystery master
-
何かあったらご連絡下さいと」
「もう大丈夫ですか?私はもう連れていかれる事はないのですか?」
お坊さん「大丈夫です。アキコさんから感じられる気はご家族への愛だけです。お父様は変わられた。ご家族を愛しています。コウタさんも家族を愛しています。もうお母さまとアキオさんが近寄る事は出来ない」
私はその後、父とコウタと家へ戻りました。
玄関を開けた時、私が感じたものは暖かい家族の香りでした
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