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もう何年も前の話だけど
まぁ暇な奴は聞いておくれ 携帯だから遅いのは勘弁な
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当時、俺は小学生4年生
父は俺が生まれてすぐ事故で死んだ
だから母と二人で生活してたんだけど 母は生活のために朝から晩まで働いてたから 家庭での会話なんて一切なかった
おまけに学校でもぼっち でもイジメられてたわけじゃなくて 田舎だったせいか、片親ってだけで仲間に入れて貰えなかったんだ
何か腫れ物を扱うようなカンジ それを子供ながらに感じ取ってたのか、自分からもあえて友達を作ろうとはしなかったんだ
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学校でもぼっち
家でもぼっち
まぁそんな俺にも一つだけ料理という趣味があった
母は作る暇もない人だったから よくホカ弁とかパンとかを置いててくれたんだけど ある日テレビで料理番組を観てから興味を持ち そこからレシピをメモして作ったり見様見真似で作ったりするようになった
それをラップしてテーブルに置いてたら母が喜んでくれたみたいで 月に一度お小遣と共に食費をくれるようになった
というわけで俺はめでたく食事係になったわけです
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食事係になってからは飽きもせずに毎日飯作っては、
夕方に一人でテレビ観ながら食うという生活を送っていた
でもやはり寂しかった 飯は我ながら美味いと思ってたけど 母にすら「おいしい」と直接言われたことなかった 置き手紙に書いてたことはあったけど
そして寂しさに耐え切れなくなった俺は妙案を思い付く
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ある日の夕方、俺はいつも通りに晩飯を作るとそれを皿に盛ってラップをした
確かカレーだったと思う
俺はその皿とスプーンを持って近所の空き地へ向かった
空き地には大型家電が不法投棄されてて 中がどうなってんのかはわかんなかったけど 空き地の周りには入れないように無数の鉄線が引いてあった
しかし数日前に大人がなんとか潜れるくらいの穴があるのを見つけてたから そこから入って空き地の隅にあるデカい土管の上によじ登った
単純に外で食べてみたくなったんだ
ピクニック気分というかなんというか でも近所とか学校の奴にそんな現場見られるのも嫌だったので 俺にとって空き地は絶好の場所だったんだ
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俺は夕暮れを見ながら無言で食った
外で食ったからといっても、所詮はぼっちなのだ それでもいつもとは違う食事風景を俺はすごく気に入った ので、それから毎日晩飯を空き地で食うようになった
漫画や時々デザートにアイスを持っていくと楽しさは倍増になった
そんなことをし始めて3日目くらいかな
俺はその日も灰色の土管の上で飯を食っていた
その日のメニューは忘れもしない、スパゲティーとおにぎりだった
そしてちょうどスパゲティーを食べ終わって、 漫画読みながらおにぎり食べてるところに事件は起こった
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座っている土管の中からトンッと音がしたんだ
最初は気のせいだと思ってけど
それからまたトントンッて音が聞こえて 猫か何かが居るのかと軽い気持ちで土管の中を覗いてみたら
寝転がって新聞読んでるおっさんとバッチリ目が合ってしまった
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驚きのあまり声も出なかった
通い詰めてた空き地にまさか人が住んでると思わなかったんだ
そして俺は驚いて絶句したと同時に 持っていたおにぎりを地面に落としてしまった そしたらおっさんが
「うわっ、もったいな。それ食べていい?」 と言ったので とにかくおっさんが怖かった俺は無言で何度も頷いた
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律儀に了承を得たおっさんは新聞を畳んで土管の中から這いずって出てきた
白のTシャツにベージュのズボンとおっさんスリッパ どれもボロボロだったけどおっさんの全体像は意外とそこまで汚くなかった
そして砂がついたおにぎりを拾って食うおっさんに まだ恐怖心を抱きつつも、俺は子供特有の無邪気な質問を投げた
俺「なぁ…おっさんはホームレスなん?」
おっさん「直球やなぁ。まぁそうやけどホームレスって言うなや」
俺「何で?家無いんやろ?」
おっさん「何か聞こえ悪いやん。可哀相なカンジするやろ」
俺「家無いの可哀相やん」
おっさん「だから可哀相って言うなや」 その日から何と無く友達になった
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それからも俺は相変わらず空き地へ通った
おっさんはというと、
起きて新聞読んだりしてるのが2割
土管の中で寝てるのが8割だった
起きてる日は自分のぶんの飯食いながら どうでもいい話の相手をして貰ってたけど おっさんが8割方寝てるおかげで俺は相変わらずぼっち飯だった
それが面白くなかった俺は またしても妙案を思い付く
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とある夕方、俺はいつものように空き地へ向かった
でも土管に座ることはせず、いつもよりデカい荷物を地面に置くと
遠慮もせずに土管の中を覗き込み
案の定寝腐っていたおっさんを揺さ振って起こした
俺「おっさん、起きてや」
おっさん「なんやねん…今寝てんやから邪魔すんな」
俺「おっさんいっつも寝てばっかりやん。カビ生えんで」
おっさん「もう生えてんちゃうか。お前にもカビつけたろか~」
俺「きっしょ!そんなんいいから飯食おうや」
おっさん「えー俺今日飯無いから無理」
俺「いけるって。俺おっさんのんも作ってきてん」
おっさん「えっ?ホンマか?くれるん?」
俺の誘いに目を輝かせたおっさんは 思惑通りすぐに中から出てきて 俺がいつもしているように土管の上にスタンバイした
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俺も定位置に座ると持ってきたリュックサックの中から弁当箱を二つ出した
デカい箱はおっさんでそれより若干小さい箱が俺
中身はギュウギュウに詰めたオムライスだった
おっさん「うわぁーお前ケチャップすごいやん。蓋の裏にべったーなってるやん」
俺「うっさいなぁ。美味しかったらいいやん」
とは言ったものの母以外に食べてもらったこともなければ、 当然誰かに感想を貰ったこともなかったので 味に自信があるかと言えば正直微妙だった
けどそんなことは言いたくなかったので 俺はおっさんがオムライスを口に入れる瞬間を横目でチラチラと見るのが精一杯だった
そして一言 おっさん「おーホンマや。めっちゃ美味いやん」
それが空腹だったからか純粋な評価なのかはわからなかったけど 俺は内心おしっこちびりそうなくらい嬉しかった
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- 今日飯無いから無理ってことは、いつもは>>1が飯食う時にはおっさんも何かしら食べてたのか 何食ってたんだ?
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パンとか食ってた気がする
何にも食わない日もあったよ
腹減ってないねん、とか言ってた 今思えば強がりだよね
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それからは母と俺と密かにおっさんの分の晩飯を作るようになった
遠慮してたのかおっさんは大食らいではなかったので 材料などの負担はさほどなかった 2人分も3人分もあまり変わらないのだ
そしていつしか俺の生活は 夕方飯を作って空き地へ行き、 おっさんと今日あった事の話とかしながら飯食って 8時ぐらいには家に帰るというものになっていった もっと話してたい日もあったけどおっさん曰く
「おっさんだってまだ捕まりたくはないねん」
ということで必ず8時には強制帰宅させられてたのだ
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- えっ…なにこれ?…いい話じゃん
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そして夏休みに突入すると遊び相手が居ない俺は
例の空き地へ入り浸るようになった
その頃になると飯だけでなく 二人で色んなことをして遊んだ
おっさんは面倒臭いオーラが半端なかったけど それでも最終的にはいつも付き合ってくれた
ある時は家から持ってきたコロコロを回し読みしたり 不法投棄された家具の山にお互い色の違うビー玉を隠して それを先に探し当てたほうが勝ちというゲームをしたり 夏休みの宿題を手伝ってくれたりもした
ちなみにアサガオの観察日記は おっさんが担当してくれた もちろん空き地は空き地に置いてた
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おっさんとの出来事は多過ぎて何を書けばいいのかわからなくなってきたので
知りたいのがあれば言ってください
おっさんと風呂
おっさんと宿題
おっさんと土管の中身
おっさんと特技
なければ適当に書くよー
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- おっさんと土管の中身気になる
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おk
ちょっと待っててね
子供というものは例に漏れず秘密基地の類が好きだったりする 当然俺も漫画やテレビで見て大好きだった
しかしぼっちの俺には秘密基地を作って遊ぶ友達など皆無
所詮妄想の中でしか遊べないのだとぼんやり思ってた が、秘密基地は意外と近くにあった
俺「なぁ、おっさん」
おっさん「ちょお待てって。もうちょっとで読み終わるから」
俺「いやそうじゃなくて、おっさんの土管の中ってどうなってるん?」
おっさん「はぁ?どうって別に…普通やけど」
俺「土管とかもう普通ちゃうやん」
おっさん「ドラ○もんだって住んでるやん」
俺「ド○えもんは土管に住んでないって」
おっさん「あ、ちゃうわ。マリオやわ」
俺「じゃあ俺マリオでいいから見せてなー」
おっさん「ちょっとだけやでー」
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そんなわけで初めて土管の中に入ってみると
下にはダンボールが何枚も敷いてあって
床になる面がなるべく平らになるようにしてた
あとは拾ってきたであろう新聞といかがわしい漫画雑誌、
小さい懐中電灯(電池切れ)に毛玉だらけの毛布
小汚いリュックサックがあった
中身は見てないから知らないけど
加齢臭だけが漂うつまらない秘密基地にうんざりしたのを覚えている
俺「俺のワクワクを返せ」
おっさん「もうちょっとで読み終わるって!」
おわり
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- ドラ○もんのくだり笑った ありがとう
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じゃあとりあえず小話は後にして続き書きます
自分で振っといてごめんね
先に言っておきますが一応オチはあるけど別に面白くないからね!
ただの思い出話です
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俺「あれ…?おっさん…?」
それは突然だった いつものように昼過ぎに空き地へ行くと その時間だとだいたい土管から出てきて 何かと用事をしているはずのおっさんが居なかった まぁ今日は特に暑いしまだ寝てるのかもと 土管の中を覗いてもやっぱり居ない 居ないどころかおっさんの家財道具一式無くなっていたのだ
最初は驚かせるためにどこかに隠れてるのだろうと ゴミの山を探してみたものの結果は同じ 俺は土管に座り夕方まで途方に暮れた
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- え、ちょっと おっさん おい おっさんどうした
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探すにも探しに行く当てもなかった
おっさんとは空き地以外で会ったことはなかったし
昔からぼっちだった俺は外で遊ぶことなどほとんど無く、
自宅付近と登下校以外には土地勘0だったのだ
俺はひたすら待った 持ってきた飯にも手を付けずに 三角座りをしながらただおっさんを待ち続けた
なぜおっさんは居なくなったのか?
家に帰った? 事故?病気?
それとも俺のことが嫌いになった?
正直、おっさんが氏ぬよりも嫌われることのほうがよっぽど怖かった 想像しただけで涙が出そうだった
だけど日頃のぼっちのおかげで泣くのを我慢するのは得意だった俺は 夕日が落ちてもただただおっさんを待ち続けた
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- 心がいたくなる 早くおっさん来てくれ
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そして腕につけていた安物のデジタル時計が7時を表示する頃、おっさんは普通に帰ってきた
俺は思わず駆け寄っておっさんの汚いシャツを掴み勢いよく引っ張った
俺「おっさんのアホ!!どこ行ってたん!?」
おっさん「なんやなんや、心配してくれとったんか?すまんなぁ」
俺「すまんなぁじゃなくて!!何しててん!?」
おっさん「それがなぁ、ちょっと面倒臭いことなってもうたんやわー」 苦笑いするおっさんと俺はとりあえず土管に座ることにした
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おっさんの話はこうだった
おっさんは普段、俺を帰した後は朝方の公園で風呂と洗濯物をしてたんだけど その一部始終見てしまった近所の人が通報して、 公園から帰ろとしたところに警察がやってきたんだそうな
でもおっさんは警察が自分に向かって歩いてくるのをいち早く察知して 事もあろうかその場から猛ダッシュで逃げたのだ
そして寝所を知られては終わりだと 念には念を入れて一日中街をうろついてたらしい
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- おっさん無事だったよかった
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俺「ほんならもういけるん?」
おっさん「いやー…微妙やなぁ」
俺「えっ?逃げれたんやろ?」
おっさん「せやけどこんなちっちゃい町や。ここがバレんのも時間の問題やろなぁ」
俺「嘘やん…どないしよ…」
おっさん「どないしたもんかなぁー」
深刻な俺とは逆におっさんは呑気なもんだった 俺が手をつけずに残していた飯を食いながら、 今日は歩き疲れたわとか言って早々に土管へ潜り寝てしまったのだ 俺は腑に落ちないまま仕方なく家へ帰り、 珍しく家に居た母に何時だと思ってるんだとガミガミ怒られてしまった
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- こういうのも青春ナ感じがしていいな
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次の日まだ不安が残っていたのでいつもより早目に空き地へ行くと
おっさんが下手くそな歌を唄いながらラジオ体操をしていて
すこし安心したのも束の間、
その日の夕方晩飯を一緒に食っていると
明日からバイトをするから昼間は来るなと言われてしまった
俺はまたおっさんが黙ってどこかに行くのではないかと また不安になったけど夕方なら来ていいと言われたのでそれ以上は深く考えなかった
しかし別れは着実に近付いていたのだった
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そして昼間は家で時間を持て余し、夕方に空き地へ行くようになった
相変わらずおっさんはおっさんのままで
飯を食いながらくだらない話ばかりしてた
と思ったらおっさんが唐突に言った
おっさん「明日遊びに行こかー」
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- おっさん・・・・・
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- やめてくれ・・・
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- ホームレスって良い人多いんだろうな…猫がなつくぐらいだし
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あまりに突然過ぎて俺はびっくりしてしまった
と同時に嬉しかった
おっさんと出掛けたことなんてなかったし 何より夏休みの絵日記が真っ白だったから それが埋まるのが最高に嬉しかった
おっさん「ほんでどこ行きたいねん」
俺「遊園地!」
即答だったと思う ベタかもしれないけど、休みの日に遊園地へ行ったという同級生の話が 実はすごく羨ましかったのだ
おっさん「そうかーほんなら明日遊園地行こか」
俺「約束やからな!やっぱめんどいとか無しやからな!」
おっさん「どうやろなぁー」
俺「えーっ!!!!」
おっさん「ハイハイ嘘やて」
そんなこんなで翌日、空き地に集合して遊園地へ行くことになった
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- 金はあるのだろうか
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その日の夜はよく興奮して眠れなかった
学校の遠足なんかじゃこれっぽっちも楽しみじゃなかったのに
おっさんと遊園地へ行くためにリュックサックを用意し、
お小遣で買ったお菓子やらを詰めるのは
それだけでワクワクしたのだった
翌日、朝早く起きた俺は張り切って弁当を作りリュックに入れて 水筒を肩から斜めにかけると浮足立つのを抑えながら空き地へ向かった
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- よく母ちゃんが許したな
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- 朝から晩まで働いてるみたいだから知らないんじゃないか
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いつもの場所でいつもの格好で土管に座るおっさん…
とは少し違っていた
具体的に言うとまず無精髭が綺麗さっぱり無くなってて
髪もボサボサだったのがある程度切って整えられていた 顔も何だかサッパリしてて、まるで風呂に入れた後の野良犬のようだった
まぁ入れたことないから知らんけど
とにかく見違えるようなニュータイプに変貌していたのだ
服以外は
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俺「おはよー…あれ?おっさん何か綺麗になってない?」
おっさん「おはよーさん。せやろ?ちょっと格好つけてみたんや。ええやろー」
俺「まぁ汚いよりはいいけど」 おっさん「お前は愛想無いやっちゃなぁ」
俺「服があかんわ」
おっさん「さすがにそこまで手回らんかってん。でもこれかて昨日洗濯したやつやねんで?」
俺「え~…」
実際は別にどうでもよかった そもそもおっさんが小綺麗にしてくるなんて予想外だし それはそれでもう慣れてたので周りの目も気にならなかったけど せっかくここまで綺麗にしたのにと勿体ない気持ちが生まれたのだ
そして俺はまたしても妙案を思いついた
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俺「ちょお待ってて!」
空き地からすぐそばにある自宅まで俺は猛ダッシュした そして家へ入り、母が寝ている横を音を立てないように忍び足で通りタンスを開けた そして少し悩んだ末に目的の物を持って、また猛ダッシュで空き地へ戻った
おっさん「なんやねん、忘れモンかぁ?」
俺「ちゃうわ!これ取りに行っててん。おっさんサイズ合うかな?」
おっさん「え?何やコレ、こんなデカいサイズの服どないしたんや?」
俺「それおとんのやつやねん。おかんがタンスにずっと仕舞ってたのん思い出してさぁ」 おっさん「はあぁ?返してこんかい。そんなん勝手に持ってくんなアホ」
俺「ええねんって。もう誰も着られへんし、勿体ないやんか」
そうして渡した服はおっさんにはちょっと小さかった
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おっさんには家族の話はしたことがなかった
そしてするつもりもなかった
今思えば大人相手に気にすることもなかったのかもしれないけど 元々家庭の事情によってぼっちへと導かれてきた俺には この話題は何が何でも言いたくなかった
だからおっさんは俺に父が居ないなんて 全く知らなかったはずなんだけど
察してくれたのだろうか
ピチピチのポロシャツと丈の短いズボンに身を包んだおっさんは それ以上何も言ってはこなかった
そしていざ遊園地へ
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電車に揺られること小一時間
途中で乗り換えに失敗して責任のなすり付け合いをしながらも
どうにかこうにか遊園地に到着した
おっさん「大人1枚とガキ1枚」
俺「ガキなんて券売ってへんで」
おっさん「アホォ。子供って書いてガキって読むんじゃ」
俺「じゃあ大人って書いておっさんって読むんかー」
おっさん「うわっ、憎そいのー」
俺「すいませーん!おっさん1枚とガキ1枚くださーい!」
そして無事チケットを入手し中へ入ると そこはもう俺にとっては夢の国だった 今みたいに凝ったアトラクションがあるわけでも ましてやネズミがいるわけでもなかったけど 豪華な電飾に彩られた世界に俺は大興奮したのを覚えている
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- なんかほっこりするな
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首が痛くなるくらい周りをぐるぐると見渡しながら歩いてると
まず目に入ってきたのはこれだった
俺「おっさん!おっさん!」
おっさん「何や便所か?早いのー」
俺「ちゃうわ!ほら、あれ乗ろうや!」
おっさん「んー?どれやねん」
俺「あの飛行機みたいなやつ」
おっさん「紐でブンブン回されてるやつか?」
俺「そうそう!」
おっさん「うわぁ…」
今でも正式名はわからないけど デカい円柱の上ほうからワイヤーが吊してあって その先に飛行機がくっついてて円柱が回転すると 遠心力的なもので飛行機が結構なスピードでブンブン回るやつ
おわかりいただけるだろうか?
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おっさんは明らかに嫌そうな顔をした
おっさん「あれめっちゃ怖そうやん…」
俺「なんで?楽しそうやん!空飛んでるみたいやん!」
おっさん「お前なぁ、あの紐取れてほんまに飛んで行ったらどないすんねん」
俺「え…?あれ取れるん?」
おっさん「紐つけてんやったら紐取れることだってあるやろ」
俺「ほんならおっさん一回乗って確認してきてや」 おっさん「しばくぞボケ」
俺は嫌がるおっさんの手を引いて何とか乗ることに成功した 一人乗り用だったので乗ってる最中におっさんがどんな顔してたかはわからないけど 終わって飛行機が停止しても しばらくおっさんは座ったまま口半開き状態だった
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そんなおっさんを引きずり俺は止まることなく遊びまくった
メリーゴーランドはとにかく派手で本に出てくるお菓子の家みたいな印象だった お化け屋敷はおっさんと手を繋ぎながら入った
めちゃくちゃ怖かったけど俺の手を引くおっさんの歩くスピードも なかなか怖かった記憶がある 小さな線路を走る汽車にも乗ったし 水上をペダル漕ぎながら進むのも楽しかった
そうこうしてるうちに腹が減ったので 近くにあったベンチで弁当を食うことにした
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おっさんは俺が弁当を持ってきたことを言うと
ちょっとびっくりしてた
おっさん「こんな時にまで作ってきたんか」
俺「こんな時やからやん。遠足に弁当持ってこん奴なんかおらんで」
おっさん「まぁせやけど…今日くらい外でなんか食わしたったのによ」
俺「ホームレスのくせにお金あるん?」
おっさん「アホ、ホームレスは家は無いけど金は意外と持ってたりするもんやねん」
俺「へーそうやったんや。じゃあおっさんの分も俺食うわ」
おっさん「いやいやいや!食いますやんか兄さん!」
おっさんは相変わらずのノリで弁当食ってたけど 俺はホームレスのおっさんに 遊園地に連れて来てくれる金があるとは思えなかった
チケットを買う時ですら子供ながらにヒヤヒヤしていたぐらいだ だからおっさんの発言を聞いて俺は内心ホッとした (そうか…ホームレスもお金持ってるんやなぁ…)
もちろんバイトで稼いでたのは言うまでもなかった
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飯を食い終わってから広場に行ってヌイグルミが踊るショーを見たり
また飛行機に乗っておっさんが白目剥いたりして
とにかくこれでもかと言うくらい遊びまくった
そして時間的に次が最後だと言われると 俺は迷いなく観覧車を指差した
またお決まりなカンジだけど 来た当初にあれは最後に乗るものだとおっさんに言われていたのだ 理由は今でもよくわからん
俺はおっさんと向かい合わせに座ったが 観覧車が動き出すとあまりの高さにびびってしまい 外の風景を見れなくなってしまった
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観覧車が頂上近くまで来る頃には俺もうおっさんの顔すら見れず、
ずっと自分の足元ばかり見ていた
飛行機やお化け屋敷なんか比じゃないくらい怖かった
するとおっさんは俺に言った
おっさん「何してんねん。めっちゃええ景色やのに早よ見んかい」
俺「おっさんおかしいんちゃうか…こんなん怖すぎるやろ」
おっさん「あははははっ!こんモン怖いことあるかい!」
爆笑しながらおっさんは丸くなった俺の背中をバシバシ叩いた 俺は飛行機での復讐だと涙目になった
- 200/ master
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それからもおっさんは景色を見ろとしつこかったので
俺は身を屈めたまま勇気を出してちょっとだけ外を見た
すると視界に広がったのは青一色だった
屈んだ俺の位置からだと周りの建物なんて一切見えなくて 観覧車の窓は全部綺麗な青一色だった
俺は予想外に怖くなかった景色に 恐る恐る背筋を伸ばしてみたら、怖かった
- 200/ master
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おっさん「お前何怖がってんねん。飛行機は乗れてたやん」
俺「飛行機はこんな高なかったわ…」
おっさん「変な奴やっちゃなぁ…まぁええわ。一回見てもうたら一緒や。ちゃんと見てみ」
俺はまだしつこいおっさんにうんざりしながらも 窓に付いてる手すりみたいなやつにガッチリ掴まって渋々周りを見ることにした
すると最初は怖かったものの慣れてきたのか
長く続いている線路
遠くに見える海
玩具のようなビル 豆粒のような人間 俺は次第に興奮していった
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- このまま泣く自信ある
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まだ完全に恐怖が消えないため手すりは握ったままだったけど
もう俺は外の世界に夢中になった
そんな俺におっさんは言った おっさん「どうや、なかなかええ景色やろ」
俺「うん、何かちょっといけてきたかも」
おっさん「おう。みんなな?そんなモンやねん。井の中の蛙言うやろ?」
俺「何それ知らん」
おっさん「だからなぁ?今自分の身近にあるモンだけが全部ちゃうってことや」
おっさん「ちょっと見る角度変えただけで、いつものしょーもない町がこんなにええモンになんねん」
おっさん「最初は誰かて怖いけど、やってしまえば案外なんとかなる」
おっさん「周りがあかんのやったら視点を変えたらええんや。わかるか?」
俺「んー…ようわからん」
おっさん「やろうなぁ」
- 200/ master
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その時の俺はまだガキだったので
おっさんが何でいきなり校長先生みたいな話をしだしたのか全くわからなかったけど
「こんな話ちゃんと聞かんでええねん。何となくでええねん」
と言ったのは今でもハッキリ覚えてる
- 200/ master
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そんなこんなで観覧車を降りて辺りがちょうど暗くなり始めた頃、
俺達はいつもの町に帰ってきた
そして空き地まで戻ってくると おっさんは渡すモンがあるからと 土管の中に潜ってしばらくしてから ちょっと汚れたノートを俺に差し出した
おっさん「お前明日から学校やろ。ほれ、アサガオの観察日記や」 おっさんは律儀に観察を続けていたのだ
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- 心はエリートだな
- 200/ master
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俺「あー!めっちゃ忘れてたわ!おっさんありがとう!」
おっさん「ちゃんと毎日書いたんやで。感謝せぇよー」
俺「お礼に明日おっさんの好きなモン作ったるわ!何がええ?」
おっさん「んー、明日はええわ。って言うか…今日で仕舞いや」
俺「え?何が…?」
何がって聞かなくても空気でわかったけど 俺はあえて言葉にした
いつもみたいに冗談だと返して欲しかったのだ
- 200/ master
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頭が真っ白になった
さっきまでの楽しさは夢のように消えて
変わりに嫌な汗がダラダラと流れてきた
おっさん「もう今日でさいならっちゅーこっちゃ」
俺「だ…だから何でなん…」
おっさん「おっさんなぁ、引っ越しするんやわ」
俺「ホームレスのくせに引っ越しとかあるわけないやん…」
おっさん「いやいやホームレスだって引っ越しぐらいするって」
俺「せーへんわ…」
おっさん「するって」
俺「………」 (俺のこと嫌いになったんか?) 喉まで出かかったけどやっぱり聞けなかった
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またぼっちに逆戻り
そう思うと悔しくて悲しくて悔しくて悲しくて 物凄く寂しくなった
それからおっさんは 「もう8時や。早よ帰り」と いつものように俺の背中を押した ただいつも違ったのは 軽くなったリュックサックを背負い 汚れたノートを抱えて唇を噛む俺だけだった
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その日はあまりにショックで眠れなかった
というのは嘘でリュックサックとノートをぶん投げたまま 俺は遠出の疲れで居間で氏んだように爆睡した
翌朝目覚めると母が運んでくれたのか きちんと布団で寝ていて観察ノートもしっかりランドセルに入れられていた
- 200/ master
- 俺はランドセルを背負い学校へ向かった 本当に爆睡だったため、道中に何度も昨日ことは夢じゃないのかと グルグル考えてはなぜか学校に近付くにつれ現実に戻され その度に俺はおっさんに裏切られたという思いでいっぱいになった
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久し振りの教室に俺の居場所はやっぱり無かった
でもそんなのは慣れていたので俺は淡々と自分の席につき、ランドセルを置いたところで先生が来て
夏休みの宿題を提出することになった
周りのクラスメイトはあれを忘れただの アイツがすごいだの賑やかに話していたが 俺は憂鬱なだけだった なぜなら夏休みの宿題のほとんどをおっさんと一緒こなしたからだ
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漢字や計算ドリルではわからないところを教えてもらい
自由工作では器用なおっさんと一緒にゾウの貯金箱を作った
読書感想文は本を読むのがめんどくさかったので おっさんが適当に作った冒険話を聞いてその感想を読んだかのように書いた
そしてアサガオの観察日記にいたっては もう100%おっさん作だった
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- そんな大人になりてぇなぁ。 そして子供に戻りたくなった
- 200/ master
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書き忘れたけど結局絵日記は持って行かなかった
爆睡して遊園地のこと書けなかったし
爆睡しなくても多分書けなかったと思う
みんなが各々提出する中、 俺も混ざって持ってきたものを先生に渡した 全員が渡し終わると先生は徐に数人の日記や工作に目を通し 面白おかしくコメントしたり突っ込んだりしだした けど俺はまったく笑えなかった 面白さならおっさんのほうが数倍上だと思った
すると不意に自分の名前が呼ばれた 端から先生の話など聞いてなかったので 呼ばれると思わずビクッと体を揺らしてしまい恥ずかしかった
- 200/ master
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先生「>>1の観察日記はすごいなぁ。よう描けてるわ」
俺「はぁ…」
先生「けどちょっと絵も字も上手過ぎるような気もせんでもないけどなぁ」
俺「はぁ…」
先生はニヤニヤと俺を見ながらページをめくっていく ただでさえ注目されるのは嫌なのにクラスメイトは黙って俺のノートを見る先生の様子を伺っている 俺はあまりの居たたまれなさに俯いてしまった
早く終われ、早く終わってくれ
おっさんにやってもらったことなんか後でならバレてもいいから
とにかく早く終わってくれ そう願っていると先生が突然笑い出した
- 200/ master
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先生「知らんかったなぁ。>>1は食べるんがそんなに好きなんか?」
俺「はぁ…?」
あまりに意味不明な言葉に俺は俯いていた顔を上げた すると先生は俺の方へ近付いてきて机にノートを広げ、 日記の文章を書く欄を指差した
そこには、
8月○日 晴れ アサガオに水をやった。
飯うまかった。
と書かれていた。
- 200/
- (´;ω;`)
- 200/
- おっさん… 胸が熱くなるな…
- 200/ master
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その次の日も次の日も、短いアサガオの文章後には必ず
「飯うまかった。」と書いてあった
それは昨日である31日も書いてあった。
遊園地に行ってたからアサガオの絵と文章はなかったけど、 ただ一言「飯うまかった」と書いてあった
先生がそれを読み上げるとクラスメイトはみんな爆笑していた コイツどれだけ飯が好きなんだとそれはもうバカ受けだった
みんながみんな笑うモンだから俺もつられて笑ってしまった
泣きながら笑ってしまった
- 200/
- (´;ω;`)
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- クラスの皆と打ち解けあったわけか
- 200/ master
-
学校からの帰り道、俺は真っ直ぐに空き地へ向かった
いつもの穴を潜りいつもの土管を覗いたけど やっぱりおっさんは居なかった
いつかのように汚い家財道具も一式無くなっていた
ただ唯一残ってたのは綺麗に畳まれた父の服と 夏が終わり枯れ始めたアサガオだけだった おわり
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- 優しい人間は日本の社会に合わないことが良くわかった
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- おっさんなりの感謝の気持ちで不器用ながら毎日一言入れてたんだろうな
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- おっさんホンマにもうおらへんの
- 200/ master
-
長々と付き合ってくれて
どうもありがとうございました
昨日寝る前にふと携帯のカレンダーを見て今日が9月1日なのを知り 何となく思い出して何となく書いてみました
保守してくださった方もありがとうございました
夏休み終わっちゃったね… もう俺もおっさんだから関係ないけどwww
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- これは泣いた
- 200/
- 全部読んでしまった 現実も捨てたもんやないなぁ
- 200/
- この気持ちを何て表現すればいいか分からないがとにかくいい話だった おっさんとの話を聞かせてくれてありがとう >>1乙
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