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1: 2017/06/15(木)21:37:53 ID:C07 - 2032年に地球人が火星に入植して以来、多くのアメリカ人が火星に移住した。
ワイもその1人やった。 滅亡寸前のちきうに見切りをつけたんや。
それから1年、忙しくとも充実した日々を送ってきた。
新しい植民地で10日働き、2日休む。 そんな生活や。
友達のパーティーに行く途中でガソリンスタンドに寄ることにした。
彡(^)(^)「おっちゃん、ハイオク満タンで!」
(^н^)「はいよー」
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- 2: 2017/06/15(木)21:39:28 ID:C07
- 彡(゚)(゚)「それにしてもずいぶんとまあ、寂しいところやなあ……」
(^н^)「年寄りにはちょうどいいんじゃよ。 ワシは火星に隠居しに来たんじゃから」
彡(゚)(゚)「なるほどなあ。 どうや、火星は?」
(^н^)「いいね。 いつも何かしら珍しいモノがある。 天気1つとってもそうじゃ。 昼は恐ろしく暑くて夜は恐ろしく寒い。 花も雨も、何もかも地球と違う……」
彡(゚)(゚)「せやな。 ケッタイなモンばっかりや。 ワイが言うのもナンやけど、よくこんなトコで平気でいられるなあ」
(^н^)「あるがままの火星を認められないやつはさっさと地球に帰った方がいい。 ここじゃ何もかもみょうちきりんじゃよ」
(^н^)「土も、空気も、運河も……火星人もね」 - 3: 2017/06/15(木)21:41:11 ID:C07
- 彡(゚)(゚)「火星人か……生きているヤツは見たことないなあ……」
(^н^)「ワシも一度も逢った事はないがね。 よくその辺にいるそうじゃよ」
彡(゚)(゚)「ほーん」
(^н^)「あと、時計も変わってるね。 ワシの時計は時々変な動き方をするんじゃ」
彡(.)(.)「ワイのもや。 どうなっとるんやこれ」
(^н^)「多分、時間が変なんじゃろうね。 まあ、地球の常識で考えちゃいけないということじゃ」
彡(^)(^)「なるほどなあ。 やっぱり面白いなあ、火星は」
(^н^)「そうじゃろ。 ほら、あそこの街道なんか、火星人が千六百年も昔に作った道じゃが、今でもしっかりしてる」
彡(゚)(゚)「すごいヤツやったんやな、火星人は……」
(^н^)「そうじゃな。 はい、お代は1ドル50セント」
彡(゚)(゚)「おっ、もう終わりか……ホレ」チャリン
(^н^)ノシ「まいど、気を付けて」
彡(^)(^)「ほな、また!」ブブーン - 8: 2017/06/15(木)21:43:59 ID:C07
- 彡(゚)(゚)「……」ブーン
彡(゚)(゚)「あれから一時間走っとるけど、他の車は一台も走っとらんなあ……」
彡(゚)(゚)「明かりも全然ないし……火星はいつも静かやけど、今夜は特に静かやなあ……」
彡;(゚)(゚)「こんだけ静かやと、なんだか不安になってくるやで……」
彡;(゚)(゚)「……まさか、世界にはもう、ワイ1人しかいないんじゃ……」
彡(゚)(゚)「……」
彡(^)(^)「なんつってなww」
彡(゚)(゚)「お、火星人の遺跡や! いつも通りあそこで休憩するか!」 - 10: 2017/06/15(木)21:44:43
- お前の外見も宇宙人並みかそれ以上なんだよなぁ…
- 11: 2017/06/15(木)21:45:21 ID:C07
- \彡(>)(<)/「ぬあああぁぁぁぁん、疲れたむおぉぉぉぉん!!」ノビー
彡(^)(^)「いつ来ても良いところやなあ……静かで、綺麗で……」
彡(^)(^)「完璧で欠陥がない。 とても数世紀前から廃墟やとは思えんわ」グー
彡;(゚)(゚)「む……腹が減ってしまったやで。 こんなところで恥ずかしい……」
彡(^)(^)「せや! この町を一望出来る場所で軽くメシにしたろ!」
彡(^)(^)「そうと決まればレッツゴーや!」ブブーン - 13: 2017/06/15(木)21:47:21 ID:C07
- 彡(^)(^)「おー、良い眺めやなー! メシが美味くなるわ!」モグモグ
彡(^)(^)「あー、コーヒーも美味いなあ! 最高や!」ズズー
その時、背後で物音がした。 何かが動く気配がした。
彡;(゚)(゚)「な、なんや……?」クルッ
コーヒーカップを持ちながら振り返ると、とんでもないモノが目に入った。
ヒスイ色のカマキリみたいな奇怪な機械がワイに向かって走ってきたんや。
その体には無数の緑色のダイヤモンドがきらめいていて、複眼のように輝く赤い宝石がついている。
その背には、つやのある金色の目をした1人の火星人が乗っていて、静かにワイを見下ろしていた。
(´・ω・`)「……」 - 15: 2017/06/15(木)21:49:01 ID:C07
- 彡;(゚)(゚)(あれが火星人か……)
彡;(゚)(゚)(生きているのを見るのは初めてや……)
彡;(゚)(゚)(こういう時どうすればいいんや? 火星人は結構攻撃的やっていうけど……ワイ、武器なんて持っとらんで?)
彡;(゚)(゚)(とりあえず、こっちに敵意が無いことを示すか……笑顔なら大丈夫やろ……)
彡(^)(^)「こんばんは!」
(´・ω・`)「#$%&¥!」
彡;(゚)(゚)「……?」
(´・ω・`;)「……?」 - 16: 2017/06/15(木)21:50:26 ID:C07
- 彡;(゚)(゚)「『こんばんは』と言ったんか?」
(´・ω・`;)「『#$%&¥』+*@<>}?」
彡;(゚)(゚)「なんやって?」
(´・ω・`;)「V{><}V?」
彡;(゚)(゚)「……」
(´・ω・`;)「……」
彡;()()(アカン、なにもわからん) - 17: 2017/06/15(木)21:50:59
- 草
- 19: 2017/06/15(木)21:52:31 ID:C07
- 彡;(゚)(゚)「お前は誰や?」
(´・ω・`;)「)’%#~¥*@{(?」
彡;(゚)(゚)「どこに行くとこなんや?」
(´・ω・`;)「}¥<+>)(&%$?」
彡;(゚)(゚)「……」
(´・ω・`;)「……」
彡;(゚)(゚)(どないせえっちゅうねん……せや、とりあえず自己紹介でもしてみるか。 胸を叩きながら言えばわかるやろ)
彡;(゚)(゚)「ワイはヤキウ・ミーンや」トン
(´・ω・`;)「(><ゲン・ジューミン^^)」トン
彡(゚)(゚)(´・ω・`)「!」
彡(゚)(゚)(通じた!?) - 21: 2017/06/15(木)21:54:33 ID:C07
- (´・ω・`)「! (&)!」
火星人は何かを言いながらワイの頭を触った。
不思議な事に、触られた感触はなかった。
(´・ω・`)「これでよし!」
彡(゚)(゚)「!!」
(´^ω^`)「これでよくわかるでしょ?」
彡;(゚)(゚)「ほ、ほんまや! よくわかるやで! すごいな! もうワイの言葉を覚えたんか!?」
(´・ω・`)「いや、全然覚えてないよ!」
彡;(゚)(゚)「……は?」
(´・ω・`;)「……え?」 - 22: 2017/06/15(木)21:55:44 ID:C07
- (´・ω・`;)「……」
彡;(゚)(゚)「……」
(´^ω^`;)「……あ! 君が持っているそれは何?」
彡;(^)(^)「え!? あ、ああ。 これはコーヒーっていう飲み物や。 飲むか?」
(´^ω^`)「うん、ちょうだい!」ヒョイッ
そう言いながら火星人は乗り物から降りた。
彡(^)(^)「ええで! ホレ!」コポコポコポ
ワイはもうひとつのカップにコーヒーを注ぎ、火星人に手渡した……
……ハズやった。
なんと、手が重なったと思ったら、霞みたいにすり抜けたんや! - 23: 2017/06/15(木)21:57:12
- 悲しいなぁ・・・
- 24: 2017/06/15(木)21:58:13 ID:C07
- \彡;(○)(○)ノ「うわあっ!!」ガシャーン!
ヽ(´?ω?`;)ノ「%&$¥!?」
彡(゚)(゚)「い、今の見たか!?」
(´?ω?`;)「み、見たよ見たよ!」
そう言いながら火星人はカップを拾おうとした。
(´・ω・`;)「ひ、拾えない……」スカッスカッ
彡;(゚)(゚)「んなアホな……」
(´・ω・`;)「……もしかしたら……」シャキーン
彡;(○)(○)「ちょ、ちょっと待てや! ナイフなんか取り出して何をする気や!?」
(´・ω・`;)「誤解しないで。 ちゃんとキャッチしてね。 ほーら」ポーイ
彡#(゚)(゚)「刃物を人に投げんなや!……あれ?」スカッ
ナイフはワイの手をすり抜け、地面に落ちた。
彡;(.)(.)「ひ、拾えへんで……どうなっとるんや……」スカッスカッ
(´・ω・`;)「やっぱり……」 - 25: 2017/06/15(木)22:00:50 ID:C07
- 彡;(○)(○)「! お前の体!」
(´?ω?`;)「! 君の体!」
彡;(゚)(゚)「透けて見えるで!」
(´・ω・`;)「君も透けてるよ!」
彡;(゚)(゚)「な、なんやって!?」ペタペタ
(´・ω・`;)「そんなバカな!?」ペタペタ
彡;(゚)(゚)「ワ、ワイの体はちゃんとここにある。 温もりも感じる」ペタペタ
(´・ω・`;)「よかった。 鼻も口もちゃんとある……」ペタペタ
彡(゚)(゚)「ワイは生きてる」
(´・ω・`)「僕は生きてる」
彡(゚)(゚) (´・ω・`)「……ということはつまり……」
m9つ彡(゚)(゚) (´・ω・`)C○m「4んでいるのはアンタ(君)や(だ)!!」ビシッ!
m9つ彡;((○)(○))「亡霊や!」ビシッ!
(´?ω?`;)C○m「お化けだ!」ビシッ! - 26: 2017/06/15(木)22:01:57
- 元ネタあるんか?
- 28: 2017/06/15(木)22:02:47 ID:C07
-
>>26
あとで教えるやで - 27: 2017/06/15(木)22:02:25 ID:C07
- 5分後
(´・ω・`;)「……らちが明かないね。 話題を変えよう」
彡;(゚)(゚)「……せやな」
(´・ω・`)「君はどこから来たの?」
彡(^)(^)「ちきうやで」
(´?ω?`;)「地球!? そんなバカな! あの星は酸素が濃すぎるから生物なんて住めないはずだよ!?」
彡(^)(^)「ところがどっこい。 ちきうには30億年前から生物がいて、火星に行けるようになるほど進化したんやで」
(´・ω・`;)「信じられない……」
彡(゚)(゚)「ワイらも昔は似たようなことを言ってたらしいで。 『火星は酸素が薄すぎるから生物なんて住めないはずや』ってな」
(´・ω・`)「失礼な。 僕らは何千年も前からここにいるよ」
彡(゚)(゚)「ま、お互いさまってとこやな」 - 29: 2017/06/15(木)22:03:35
- 期待
- 30: 2017/06/15(木)22:04:43
- 止まるんじゃねーぞ
- 31: 2017/06/15(木)22:04:51 ID:C07
- (´・ω・`)「いつ来たの?」
彡(゚)(゚)「もう1年も前やで。 知らなかったんか?」
(´・ω・`)「知らなかったよ」
彡(゚)(゚)「アンタらは少数を除いて、みんな4んだんやで。 アンタはその少数の中の1人やろ?」
(´・ω・`)「そんなことないよ」
彡(゚)(゚)「いんや、4んだんやで。 ワイはこの目でアンタらの4体を見たからな。 部屋の中で、家の中で、真っ黒になって4んでたで。 何千、何万とな」
(´・ω・`)「それはおかしい! 僕らは生きてるよ!」
彡(゚)(゚)「アンタらは侵入されたことを知らなかったんか? どこかへ避難してたんじゃないんか?」
(´・ω・`)「避難なんかしないよ。 逃げる必要なんてないんだから」
彡;(゚)(゚)「それはおかしいなあ……」
(´・ω・`)「おかしいのはそっちだよ。 一体何の話をしてるの?」
彡(゚)(゚)「ワイが知っている全てや。 信じたくないのはわかるが、事実やで」 - 33: 2017/06/15(木)22:06:25 ID:C07
- (´・ω・`)「しょうがないな。 僕の言う事が正しいって証明してあげるよ。 あの運河の近くに町があるのは見える?」
彡(●)(●)「よーく見えるやで」
(´^ω^`)「今夜あの町でお祭りがあるんだよ。 昨夜あそこに行って、今夜も行くつもりだよ」
彡;(゚)(゚)「んなアホな……」
火星人が指した「町」は、ワイがさっき寄った遺跡やった。 - 35: 2017/06/15(木)22:08:31 ID:C07
- 彡(゚)(゚)「あの町はもう何千年も前に滅んだはずやで」
(´・ω・`)「滅んだって? 僕は昨夜あの町で寝たんだよ」
彡(゚)(゚)「ワイは先週も先々週もあそこに行ったやで。 ただの廃墟や。 折れた柱が見えるやろ?」
(´・ω・`)「折れたって? ちゃんと立ってるよ。 月明りでよく見えるじゃないか。 柱はまっすぐ立ってるよ」
彡(゚)(゚)「街路はホコリだらけやし」
(´・ω・`)「街路はちゃんと清掃されてるよ!」
彡(゚)(゚)「運河には水がないし」
(´・ω・`)「運河にはラベンダー葡萄酒がなみなみと溢れてるよ!」
彡(゚)(゚)「とにかく、滅んだんや」
(´・ω・`)「生きてるよ! ウソばっかり言って!」
彡(゚)(゚)「ホンマや。 嘘なんか言っとらんて」 - 38: 2017/06/15(木)22:10:26
- SS再興いいゾ~
- 39: 2017/06/15(木)22:10:29 ID:C07
- (´・ω・`)「もう一度よく見てよ! あそこにお祭りの明かりが見えるでしょ?」
彡;(●)(●)「……うーん……」
(´・ω・`)「女の子みたいにほっそりした美しいボートと、ボートみたいにほっそりした女の子達が見えるでしょ?」
彡;;(●)(●)「ううーん……」
(´・ω・`)「砂の色をした女の子達が手に炎の花を持って街路を走ってるのが見えるでしょ?」
彡;;((●)(●))「うう~ん……うむむむむ……」
(´・ω・`)「僕は今からあの祭りに行くんだ! 一晩中舟遊びをしたり、歌ったり飲んだり恋をしたり……それが見えないの?」
彡;(゚)(゚)「……すまん、何も見えへん……」
(´・ω・`;)「えぇ……」 - 40: 2017/06/15(木)22:12:17 ID:C07
- 彡;(゚)(゚)「多分やけど、ワイらの町と間違えてるんちゃうんか?」
(´・ω・`;)「そんなバカな」
彡(゚)(゚)「ワイはこれから『緑の町』に行ってパーティーに参加するんや。 せや、ここからじゃ見づらいからちょっと移動しよか」
(´・ω・`)「うん、いいよ」
ワイは火星人を丘のはずれまで連れて行き、「緑の町」を指さした。
彡(^)(^)「あれがワイらが作った町や」
(´・ω・`;)「……え?」 - 41: 2017/06/15(木)22:12:39
- おっこれは…
- 42: 2017/06/15(木)22:14:19 ID:C07
- 彡(^)(^)「あれが、ワイらがイリノイ街道のそばに建設した新しい植民市や。 どや、立派なモンやろ?」
(´?ω?`;)「え? えええ?」
彡(^)(^)「ワイらはオレゴン州の材木を何百万フィートも持ち込み……鋼鉄の釘を何十トンも運び……未曾有の美しい町を2つも作ったんや!」ウットリ
(´?ω?`;;)「え? ええ? ええー?」
彡(^)(^)「今夜はそのうちの1つでパーティーがあるんや! ちきうからロケットが2台来て、ワイらの女房や恋人が着いたんやで! まあワイは独身やし彼女もいないけどな!」
(´・ω・`;;)「え~? あ、う~ん……」
彡(^)(^)「で、みんなでダンスをしたり、ウィスキーを飲んだりするんや!」
(´・ω・`;)「そ、そうなんだ……」
彡(゚)(^)「どや! その目ではっきりと見たやろ? これでワイの言うことを信じるか?」
(´・ω・`;)「いや、信じるも何も……」
(´・ω・`;)「……あそこに町なんかないよ?」
彡(゚)(゚)「……は?」 - 44: 2017/06/15(木)22:17:16 ID:C07
- 彡#(゚)(゚)「何を言っとるんやおどれは。 ホラ、あそこにロケットが見えるやろ。 よく見いや」
(´・ω・`;)「ロケットって何?」
彡(゚)(゚)「ああそっか……あの細長い銀色のアレや! ホラ、あそこにあるやろ?」
(´・ω・`;)「……見えないよ……」
彡(゚)(゚)「んなアホな。 お前○クラちゃうんか?」
(´・ω・`;)「申し訳ないが放送禁止用語はNG……僕の目はちゃんと見えるよ。 見えないのは君の目だ」
彡(゚)(゚)「せやったら、あの新しい町がよーく見えるはずやで。 ワイらが作った美しい町が」
(´・ω・`;)「海しか見えないよ。 今は引き潮だね」
彡(゚)(゚)「んなアホな。 あの海は何千年も前に涸れたんやで」
(´・ω・`;)「ちょっと待ってよ。 やめてよ」
彡(゚)(゚)「ホンマやって」 - 45: 2017/06/15(木)22:19:06
- 世にも奇妙な物語っぽい
- 46: 2017/06/15(木)22:19:26 ID:C07
- (´・ω・`;)「……もう一度言ってよ。 さっき僕が描写したような町はホントに見えないの?」
彡(゚)(゚)「せやで」
(´・ω・`;)「まっすぐ立った白い柱!」
彡(゚)(゚)「白いのは確かやけど、折れとるな」
(´・ω・`;)「ほっそりしたきうりのボート!」
彡;(●)(●)「見えん」
(´・ω・`;)「お祭りの明かり!」
彡;(●)(●)「……なんも見えんわ……」
(´・ω・`;)「こんなによく見えるのに……そうだ! じゃあ歌声は聴こえる!?」
彡;(゚)(゚)「歌声?」
(´・ω・`)「美しい歌声が聴こえるでしょ? ほら、こんなに近くに聴こえる。 ああ、良い歌だ……」
彡(-)(-)「……」
(´・ω・`)「ね?」
彡;(-)(-)「……聴こえんで?」
(´・ω・`;)「えぇ……」 - 47: 2017/06/15(木)22:21:36 ID:C07
- 彡;(゚)(゚)「じゃあ今度はワイが聞くで。 ワイがさっき描写したような町はホントに見えないんやな」
(´・ω・`)「うん」
彡(゚)(゚)「細長い、銀色のロケット!」
(´・ω・`;)「見えないよ」
彡(゚)(゚)「木で出来た美しい家!」
(´・ω・`;)「見えない」
彡(゚)(゚)「街道を走るたくさんの車達!」
(´・ω・`;)「一台も見えないよ……」
彡(^)(^)「せやろな。 今、車は一度も走っとらんもん」
(´・ω・`#)「おいこら」 - 48: 2017/06/15(木)22:22:02
- 期待
- 50: 2017/06/15(木)22:23:24 ID:C07
- (´・ω・`;)「……これってつまり……」
彡;(゚)(゚)「お前が言ってるモノがワイには見えず……」
(´・ω・`;)「君の言っているモノは僕に見えない……」
彡;(゚)(゚)「これってどういうことなんや……?」
(´・ω・`;)「わからないよ……」
彡;(゚)(゚)「ゾッとするなあ……」
(´・ω・`;)「ホントだね……」 - 51: 2017/06/15(木)22:25:25 ID:C07
- (´・ω・`;)「ひょっとすると……」
彡(゚)(゚)「?」
(´・ω・`;)「さっき感じた感覚と関係があるのかな……?」
彡(゚)(゚)「……どんな感覚や?」
(´・ω・`;)「なんていうかその……世界に僕1人しかいないような……」
彡;(゚)(゚)「! ワイもや! なんだか世界に取り残されたような気がしたで!」
(´・ω・`;)「そうなの!?」
彡(^)(^)「せやで! あの感覚を共有できるヤツがいるとは思わんかったわ! いや~、嬉しいなあ!」
(´・ω・`)「なるほど……これでわかったよ」
彡(゚)(゚)「ほう、なんなんや?」
(´・ω・`)「結論はただ1つ! これは何か時間と関係あることなんだ! 時空間がねじ曲がってどーのこーのって感じの!」
彡;(゚)(゚)「おお! なんとなく辻褄が合う気がするで!」
(´・ω・`)「つまり! 君は過去の幻影なんだよ!」
彡(゚)(゚)「は?」
(´・ω・`;)「え?」
彡(゚)(゚)「いや、お前が過去の幻影なんやで」 - 53: 2017/06/15(木)22:27:43 ID:C07
- (´・ω・`)「ずいぶん自信があるんだね。 どっちが過去の人間で、どっちが未来の人間だなんて、どうやって証明するのさ?」
彡(゚)(゚)「今年が何年か言えば済む話やろ。 今年は2033年やで」
(´・ω・`)「その数字、僕になんの意味があるの?」
彡;(゚)(゚)「あっ(察し)……ないです」
(´・ω・`)「でしょ? 今年は114514MURだって君に言うのと同じくらい無意味だよ」
彡;(゚)(゚)「で、でも廃墟が証拠やないか? ワイは未来の人間で、生きている。 お前は過去の人間で、4んでいる。 そのことはあの廃墟が証明しとるんやないか?」
(´・ω・`)「でも、僕の全てはそれを否定してるんだ。 僕の心臓は動いてるし、胃は飢えを感じるし、喉は渇くんだ」
彡;(゚)(゚)「……うーん」
(´・ω・`)「だから4んでいるわけじゃない。 かと言って生きているわけでもない。 でも生きているという方が近いだろうね。 生と4の間って言えば一番正確かな」
彡(゚)(゚)「ワイら2人ともそんな感じか」
(´・ω・`)「そうだよ。 僕らは奇妙な夜にすれ違った2人の見知らぬ者達……ただ、それだけなんだよ」
彡(゚)(゚)「……せやな」 - 55: 2017/06/15(木)22:28:16
- 114514MURで草
- 57: 2017/06/15(木)22:30:21 ID:C07
- (´・ω・`;)「……ちょっと待って」
彡(゚)(゚)「?」
(´・ω・`;)「……廃墟だって?」
彡(゚)(゚)「せやで。 怖いんか?」
(´・ω・`;)「未来を見たがる人がどこにいるの? 未来を見た人がどこにいるの? 過去は見れるけどさ……」
彡(゚)(゚)「まあ、確かにな……」
(´・ω・`;)「……柱が壊れてるんだって?」
彡;(゚)(゚)「……せやで」
(´?ω?`;)「海は涸れていて、運河は干上がってるんだって?」
彡;(゚)(゚)「……せやで」
(´?ω?`;;)「女の子達はみんな4んで、花はみんなしぼんでいるんだって?」
彡;(-)(-)「……せやで」
<((´?Д?`;;))>「う、うわあああああああ!!」
彡;(゚)(゚)「お、おい! 大丈夫か!?」 - 58: 2017/06/15(木)22:32:50 ID:C07
- (´゚ω゚`;;)「……」
彡;(゚)(゚)「おい! しっかりせえや!」
(´・ω・`)「でも、確かにあそこにある」
彡;(゚)(゚)「ファッ!?」
(´・ω・`)「僕には見える。 あそこで、みんなが僕を待っている」
彡(゚)(゚)「……」
(´・ω・`)「君が何を言おうとも、それだけで、僕には充分だよ」
彡(-)(-)「……せやな」
火星人の言うことはもっともやと思った。
もし逆の立場なら、ワイも同じことを言っていたと思う。 - 59: 2017/06/15(木)22:35:05 ID:C07
- 彡(゚)(゚)「……ワイらの意見は一致しないんやな」
(´・ω・`)「意見が一致しないという意見で一致させようよ」
彡(゚)(゚)「……せやな」
(´・ω・`)「僕らが生きてさえいれば、どっちが過去でどっちが未来かなんてどうでもいいよ。 来るべきものはどっちにも来るんだ。 それが明日か一万年後かはわからないけどね」
彡(゚)(゚)「せやな」
(´・ω・`)「あそこの寺院が、今から一万年後の君達の寺院じゃないって言い切れる?」
彡(゚)(゚)「言い切れへんな」
(´・ω・`)「だったら疑問を抱かない方がいいよ……それはそうと、夜は短い。 お祭りの火が空に映ってる。 みんなが僕を待っている」
彡(゚)(゚)「……ワイにも待ってくれている人がいる。 ロケットが、町が、ちきうから来た女達が、ワイを待っとるんや」
ワイは別れの握手をしようと手を差し出した。 火星人もそれを真似た。
それでも、握手はできなかった。 - 60: 2017/06/15(木)22:37:39 ID:C07
- 彡(゚)(゚)「……また逢えるんやろか」
(´・ω・`)「わからないよ。 もう二度と逢えないかもしれないし、またいつかの晩に逢えるかもしれない」
彡(゚)(゚)「お前の祭りに行ってみたいなあ」
(´・ω・`)「僕も、君の新しい町へ行って、そのロケットとやらを見たり、いろんな人からいろんな話を聞きたいよ」
彡(゚)(゚)「ほな、また」
(´・ω・`)「おやすみ」
火星人は緑色の金属の乗り物を操って、静かに山の中へ去った。
ワイはトラックに乗って音もなく反対方向へ出発した。 - 61: 2017/06/15(木)22:40:40 ID:C07
- 彡(゚)(゚)「……奇妙な幻やったなあ」ブウーン
彡(゚)(゚)「このことは誰にも話さんとこ。 なんか、その方がええ気がするわ」
彡(^)(^)「そんなことよりパーティーや! パーティーがワイを待っとるんや!」
彡(^)(^)「べっぴんさんに美味いウィスキーに楽しいヴァージニア踊り……楽しみやなあ!」
彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚)「……アイツは無事に祭りの会場に着いたんやろか」
彡(゚)(゚)「……今頃アイツも、同じようなことを考えとるんやろうな」
彡(゚)(゚)「なんとなく、そんな気がするわ」
彡(^)(^)「おっ、町が見えてきたやんけ! よっしゃ、待ってろよワイの未来の嫁さん!」
終わり - 62: 2017/06/15(木)22:41:08
- 元ネタなんや?
- 64: 2017/06/15(木)22:42:14 ID:C07
- 最後まで読んでくれてありがとやで。
元ネタはレイ・ブラッドベリの『火星年代記』やで。
あの星新一にSF作家の道を歩ませた本やで!
詳しく知りたきゃ図書館へGOや!(ダイマ) - 66: 2017/06/15(木)22:42:46
- ありがとやでー。読んでみるやで
- 67: 2017/06/15(木)22:43:56 ID:C07
- すまん、気が動転した。
オマケがあるやで。 - 69: 2017/06/15(木)22:45:11 ID:C07
- おまけ
彡(゚)(゚)「おっ、なんか詩が出てきたンゴ」
われらはもはやさまようまい、
こんなにおそい夜のなかを。
心は今でも愛にみたされ、
月は今でも明るいが。
つるぎは鞘よりあとに残り、
心は胸よりながもちする。
心臓すらも憩いを求め、
愛そのものを休もうとする。
夜は恋する人のため。
昼間はまもなく戻るけれど、
われらはもはやさまようまい、
月の光のその中を。
彡(;)(;)「え、ええ詩や……滅びの美学というか、命の儚さというか、運命をありのままに受け入れる感じというか……上手く言えんけどとにかく感動したンゴ!」
彡(;)(;)「それに、物語と上手くマッチしとる! 『ウォッチメン』を読んだ時も思ったが、引用が物語と上手くマッチしとると感動するやで!」
彡(^)(^)「よっしゃ! この詩を詠んだバイロンについて調べるやで! その後書店にゴーして詩集をバイや!」カタカタカタッターン!
数十分後……
彡()()「……賢者タイムを詠んだ詩だったンゴ……」
オマケ終わり - 70: 2017/06/15(木)22:47:40
- 乙やで
- 72: 2017/06/15(木)22:47:51
- 乙やで おもろかったわ
- 75: 2017/06/15(木)22:50:28
- SS書くの末永く続けてくれや
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