bandicam 2018-04-05 20-35-06-241
170: 2015/11/02(月) 00:47:58.35 ID:isNjsBjJ0.net
それから数日は、奈央と上手く顔を合わせることがほとんどなく、
二人で対人したあの時の事を、ずっと謝れずにいた。
なぜだか俺はそれが気がかりで仕方なくて、勉強にも身が入らなかった。


スポンサーリンク


本日のおすすめピックアップ記事


ワイの家、闇の宗教勧誘に襲撃されるwww


人が狂う瞬間ってどんな感じなの?


【閲覧注意】ワイ「夕方になると家の近くでよくコウモリ飛んでたなぁ」敵「どんな田舎だよww」


【衝撃w】月面に「X」や「V」と共に「L」の文字がある事を確認


【日本初】熊本県八代市の荒瀬ダムを撤去した結果、驚くべき事が起こった


【有能w】カルディとかいうコーヒー屋に見せかけた菓子屋


本当は怖い雑学「歯科医で起きている隠された事実」


爺ちゃんが寝てたから「4ぬな!」って起こした結果wwwwwwwwwww


自分が妖怪に会ったときの話をする


神「豆腐で白飯食え」人類「絶対無理やろ…」中国人「はい麻婆豆腐!」


ワイ漫画家志望のニート、1日のスケジュールがこれwww


【いじめのきっかけ】リア充「でさあw」美人「ぷは…なにそれw」クラスメイトツッコミ師ワイ「(ここやな………!)」


「ごはん+ギョーザ+〇〇」理想的な一品を挙げるスレ


【うわぁ…】お風呂に浮かべたアヒルちゃんは危険らしい・・・


【こわE】来月から自衛隊に入るワイ、今になって震える・・・


【ヒィィ…】糖尿病とかいうクッソ怖い病気について知ってることを書いてけ


【ウソだろ…】公務員さん(58)「ちょっとぐらい仕事で使うパソコンで趣味のページ見ても平気やろ・・・」


覆面パトカーと市販車の見分けることがますます困難にwwwwwwww


婚活で振ったババア(31)が惜しくなってきたから連絡してもいいよな?


コーラ1本盗み懲役3年「罪を重ねる高齢者」


ワイ「有給使いたいのですが…」無能上司「ちょっと何言ってるのかわからないwwwwww」


今からLINEで告白しようと思うんやけど、どんな文章送ったらいいと思う?


【節約術】1日の食費を300円くらいに抑えることってできる?


父の最後の言葉「奇跡は続けて起きなかった」


バーベキューで一切調理に加わらない奴に言いたいことがあるwww


ワイ新大学生レオパレス民、隣のヤツらがうるさすぎて咽び泣く・・・


この道徳の教科書がサイコパスすぎてヤバいwwwww


お菓子買ったら彼女できた話「顔でかのブサメンに春が来た 」


北関東最強の心霊スポット


この記事見てたらちょっと怖くなった「精神疾患をもつ人の平均寿命」



おすすめブログ最新一覧






スポンサーリンク


171: 2015/11/02(月) 00:51:04.68 ID:isNjsBjJ0.net
数日後の朝、居間に降りるとやけにバタバタして落ち着かない様子だった。

奈央「お母さん!なんで起こしてくれなかったの!」
おばさん「やーね。何度も起こしたじゃない。アンタ、大丈夫だって言うから」
奈央「もー、これじゃ間に合わないよ!」
寝坊してしまったのか、奈央がえらい剣幕でおばさんと口論していた。
172: 2015/11/02(月) 00:52:20.06 ID:isNjsBjJ0.net
おばさん「ほんとね。この電車には乗れないから…そうすると30分以上あくわね」
おばさんが、時刻表らしきものを見ながらつぶやく。

奈央「集合時間に間に合わないじゃん…お母さん車で送ってよ」
おばさん「だめよ。私今日早番だからもう行かないとだから」
奈央「はー?何で今日に限ってぇ!」

おばさん「おじいちゃんとおばあちゃんは病院に行っちゃったし、だめだからね」
奈央「マジ有り得ない!じゃあ本当に遅刻じゃん…!」
その口論は収まる気配もなく、俺は階段の脇から眺めていた。
187: 2015/11/03(火) 01:27:06.75 ID:9B6+3UGn0.net
機をうかがって、どうしたのかと事情を尋ねてみる。

俺「あの、どうしたんですか…?」
おばさん「奈央、今日野球の応援だったらしいんだけど、見ての通り寝坊しちゃったのよ」
俺「ああ、なるほど…」
おばさん「野球の応援くらい、ちょっと遅刻したっていいんでしょ?」
おばさんが呆れた様子で奈央に問いかける。

奈央「だめ!絶対に行かないとなの!」
まるで見に行かないと4んでしまうとでも言わんばかりに、奈央の語気は荒かった。
おばさん「何をそんなに怒ってるのか知らないけど…無理なもんは無理よ」
おばさんにそう言われて、奈央は涙目になって肩を落とした
188: 2015/11/03(火) 01:28:13.37 ID:9B6+3UGn0.net
俺もさすがにそれが見ていられなくて、一言聞いてみる。

俺「あの、車を出せば間に合うんですか?」
おばさん「え?まあ、今から電車で行くよりは…」
俺の言葉を聞いて、奈央がはっとした表情でこちらを見た。

俺「俺、車の免許ありますし…送っていけないことはないですけど」
俺がそう言うと奈央はまた一気に勢いづいて、
「ね、ね、お母さん!いいよね!?」とまくし立てた。
189: 2015/11/03(火) 01:29:18.78 ID:9B6+3UGn0.net
おばさん「あのねぇ、1君に迷惑でしょ…」
奈央「でも他に車出せる人いないんだし、いいじゃん!」
おばさん「はーもう…この子ったら…」
おばさんはそう言って、微妙な面持ちで俺の方を見た。

俺「そういう緊急事態だったら、全然いいですよ」
俺「大丈夫です、安全運転で行くんでw」

おばさん「それじゃ悪いけど、このわがままな子連れてってもらえるかしら」
おばさん「本当に、気をつけてね。急がなくていいからね」
おばさんはそう言って、俺に車のキーを手渡した。
190: 2015/11/03(火) 01:33:03.26 ID:9B6+3UGn0.net
奈央もバタバタした様子で、急いでカバンやら荷物を持ってくる。
出かける間際、おばさんが俺と奈央に、
「暑いから」とペットボトルのポカリをくれた。

車に乗り込むと、案の定中は蒸し風呂のような熱気に包まれていて、
奈央が「早く冷房、冷房」と俺を急かした。

俺「すぐにはクーラー点かないから、ちょっと窓を開けておこう」
そう言って窓を開けると、外から「ジジジジジジ…」とやかましいくらいの蝉の声が聞こえた。
入ってくるのは蝉の声ばかりで、ちっとも風は来なかった。
201: 2015/11/03(火) 23:23:59.61 ID:vjeDc4kG0.net
初めて乗る車だったので最初は緊張したものの、しばらく運転していれば
すっかり調子をつかみ、俺の中にも余裕が生まれてきた。

俺「おばさんの車を借りてきたみたいだけど…いいのかな」
奈央「お母さんは自転車で仕事に行くから…大丈夫です」
俺「そっか」
車内に二人きりという事もあって、なかなか会話は続かない。

俺は「奈央に謝らないと」と何度も思ったが、それもなかなかに口にできない。
202: 2015/11/03(火) 23:40:49.37 ID:vjeDc4kG0.net
奈央「あの、なんか…迷惑かけちゃって…すいません」
俺「え、何が?別に、全然いいよこのくらい」
俺「こっちも篭もりきりだし、良い気分転換になるよ」
奈央「そうですか…ありがとうございます」

俺はその奈央の受け答えが妙にモヤモヤした。
203: 2015/11/03(火) 23:42:01.59 ID:vjeDc4kG0.net
俺「その敬語みたいな…やめない?」
奈央「え?」
俺「言うて2つくらいしか変わらないし、親戚なわけだし…」
奈央「あ、じゃあ…はい。分かった」
俺「うん、それでいいよ」

奈央は戸惑いつつも、俺の提案を受け入れてくれた。
俺はなんとなく、それがちょっとだけ嬉しかった。
204: 2015/11/03(火) 23:50:03.01 ID:vjeDc4kG0.net
俺「あのさ、この前はごめんね」
奈央「え、何が?何かあったっけ…」
奈央は本当に何のことなのか分かっていないようだった。

俺「この前、家の庭で対人した時…突然やめちゃってごめんね」
奈央「ああ…あの時の…」

奈央「あれは、私も変な事言っちゃったかなって思ってたし…」
俺「ううん、そんな事ないよ。…だから、ごめん」
奈央もなんて答えていいのか分からないようで、
「いや、そんな…」と言ってしばらく黙っていた。
俺はまた変な空気にしちゃったかな、と思って胸が騒いだ。
205: 2015/11/04(水) 00:04:01.44 ID:mfxSqCDK0.net
奈央「もし」
俺「うん?」
奈央「またああいう事があったら、対人してくれない?」
奈央「一人でやるより、ずっと練習になったから」
俺「ああ、いいよ。いい息抜きになるから、声かけて」
そう言うと奈央は、「うん、よろしくね」と笑みを浮かべて手元のスマホをいじり出した。

俺も奈央のその表情を見て、なんだか安心した。
良かった、謝れて。
結局思いつめていたのは俺の一方的な感情で、
奈央はずっとずっと、心の広い子だったようだ。
206: 2015/11/04(水) 00:06:47.81 ID:mfxSqCDK0.net
横を見ると、助手席に座る奈央の髪の毛に、キラっと光る髪留めが見えた。
よく見れば、何かオシャレをしているようにも映った。

俺「その、髪留めは―」
奈央「これ?別に……」
俺「いいんじゃない。似合ってると思うけど」
奈央「え、本当に?変じゃない?」

俺はそんな奈央を見てちょっと笑ってしまって、
「大丈夫、変じゃないから」と答えてあげた。
207: 2015/11/04(水) 00:13:37.09 ID:mfxSqCDK0.net
奈央は、手に何か大事そうに持っていた。
野球のユニフォームの形をした、お守りのような…そんなものだった。

俺「それは、お守り?」
奈央「あ…ま、そんなとこ」
俺は「ははーん」と思って、微笑ましい気持ちになった。

奈央がどうしてそこまで時間どおりに行くことに固執していたのか、分かった気がした。
そう気づくと、自分でもにやけを抑えるのに必4になってしまって、少し大変だった。
208: 2015/11/04(水) 00:24:19.50 ID:mfxSqCDK0.net
30分も車を走らせていれば、目的地である野球場に近づいてきた。
球場の敷地に入って、「駐車場はどこだ―」なんて言いながら進んでいると、
奈央が突然「あ、ニシ君!」と外を見て叫んだ。

俺が「は?」と言って聞き返す前に、
奈央は「ここでいいから!止めて止めて!」と座席を揺らした。
俺「帰りは、どうすんの?」
奈央「終わったらガッコ戻るから、別にいい!」

奈央は「ありがとね!」と言って勢い良く車から飛び出して行き、
球場脇にいた数人の野球少年たちの元へと走っていった。
そして、先頭に居た精悍な顔立ちをした少年と話しているようだった。
210: 2015/11/04(水) 00:26:01.73
青春だな
211: 2015/11/04(水) 00:29:42.89 ID:mfxSqCDK0.net
「なるほど―あれが、ニシ君ってわけね」
俺は、「お守りちゃんと渡せたかなw」なんて思いつつ、
おばさんから借りた軽自動車を駐車場に停めて、球場へと向かってみた。

なぜだか知らないけど、俺は妙に楽しくなってしまって、
ちょっとウキウキした気持ちで球場へと歩いて行った。
212: 2015/11/04(水) 00:31:34.78 ID:mfxSqCDK0.net
球場と言ってもとても簡素な作りで、
ほとんど屋外運動場のようなものだった。
両校の応援と、父兄らしき人や他校の野球部?が大勢いて、それなりに観客が来ていた。

かくいう俺は一塁側近くの外野席のようなところに座って、
遠くから試合を眺めることにした。
どうやら、奈央たちの高校は一塁側のスタンドのようで、なかなかの大所帯だった。

俺は、「そもそもこれ何回戦なんだ」とか疑問に思いつつ、
頭からタオルをかぶって、おばさんからもらったポカリをグッとあおいだ。
213: 2015/11/04(水) 00:32:55.40 ID:mfxSqCDK0.net
昼前の良い時間帯で、球場には屋根も何もないから、
頭上からは嘘みたいに真っ白な日光が降り注いで、
今にも焼け焦げてしまいそうなほどだった。

「ミーンミーン」と遠くから聞こえる蝉の声でぼーっとしていると、
三塁側から「パパパーン!」と「ねらいうち」の演奏が勢い良く始まって、
「あ、始まったんだな!」と体を起こした。
214: 2015/11/04(水) 00:34:23.33 ID:mfxSqCDK0.net
遥か遠くで、球児たちが元気いっぱいに躍動している。
どちらの高校が打っても球場全体に「ワアアアア!」という歓声が沸き起こり、
「パーパーパッパパー!」というブラバンの演奏が高らかに鳴り響く。

それは見ていてとても爽快なもので、全然関係ない俺も、
「よっしゃあああ!」「いいぞー!」と声を荒げるほどだった。

ブラバンの演奏がまた面白くて、
エヴァの曲だとか、ドラクエの曲みたいのまで吹いてて、
今はなんでもありなんだなぁ、と聴いていて楽しくなった。
定番の曲もいいが、知っている曲が流れてくると、何だか嬉しい。
215: 2015/11/04(水) 00:35:50.37 ID:mfxSqCDK0.net
そんな風にして俺も興奮していると、
『4番、ピッチャー、ニシ、くん』というアナウンスと共に、
先ほどのあの少年が打席に立った。

「ああ、ニシ君、エースで4番なのか。すごいなぁ」
なんて思って、「そりゃ奈央が好きにもなっちゃうわけだ」と笑ってしまった。

今までの演奏よりも一層力強く「パンパーン!!」と「カモンマーチ」が鳴り響いた。
勢いのある曲で、応援する側もついつい力が入ってしまう。
「かっとばせー!ニーシ!ニーシ!」という応援が響き渡る。
その力強い応援から、奈央の高校がことさらニシ君に期待してるんだな、ということが分かった。
216: 2015/11/04(水) 00:37:54.02 ID:mfxSqCDK0.net
ニシ君が勢い良く空振りする度に、
悲鳴にも似た「あーー…」という声が響いて、
「オッケー次々!!」という野球部の応援団の声が飛び交った。

俺も全然関係ないのだが、なぜだか彼にすごく打って欲しい気持ちが湧いて、
「かっとばせーにーーし!!」と声を張り上げた。

熱の篭った球場。彼は「カキン!」と快音を響かせ球を跳ね返したが、
内野ゴロに倒れ、あっという間にスリーアウトとなった。
218: 2015/11/04(水) 00:42:58.45 ID:mfxSqCDK0.net
試合は終始接戦で手に汗握るものだったが、
その日「ニシ君」がヒットを放つことはなかった。

そして、奈央の高校は惜しくも敗北を喫した。
挨拶をし、1塁側スタンドに駆け寄ってくる野球少年たちは肩を落とし、
崩れ落ちて泣いている人もいた。

スタンドの生徒たちも「ありがとーーー!」「おつかれーーー!」と
声を上げていて、その健闘をねぎらっているようだった。
遠くでただ、「ミーンミーン」とうるさい蝉の声が聞こえて、スタンドの喧騒に混じりこんだ。
220: 2015/11/04(水) 00:47:05.92 ID:mfxSqCDK0.net
その中心には、泣く野球少年達と、あのニシ君の姿。
俺は心の中で「いいなぁ」と思った。
あの春高バレーの決勝を見に行った時の感情と、よく似ていた。
俺もできることなら、もう一度あの熱情の中に飛び込みたい。

沢山の声援や光を一心に浴びて、仲間と抱き合って駆け跳ねて、
勝ったら大喜びして、負けたら一緒に泣いて…

俺の夢―それは、バレーをしたいのももちろんだが…
多分、もう一度だけ、あのキラキラとした輝きと熱さの中に、飛び込みたかったんだ。
221: 2015/11/04(水) 00:49:41.91 ID:mfxSqCDK0.net
やり遂げられなかったバレーボール、部活。
例え途中で負けてしまっても、最後までやりきっていたら、
仲間と一緒に走り抜けていたら…

どんな景色が見えたんだろうか。
俺はそれを知らなかったから、見てみたいと思った。

ニシ君や、あの春高決勝で輝いていた選手たちのように…
仲間と一緒に走り抜けた先には、一体どんな景色があるんだろう―
そんなことを思った。
222: 2015/11/04(水) 00:50:44.79 ID:mfxSqCDK0.net
試合が終わって、両校の応援や父兄が球場からなだれるように捌けていく。
おばさんからもらったポカリはもうすっかり飲み干してしまったので、
自販機でジュースでも買ってから帰ろうとした。

球場脇にある自販機の前に歩いて行くと、何やら見覚えのあるものが落ちていた。
ユニフォームの形をした…お守りだ。
223: 2015/11/04(水) 00:52:21.44 ID:mfxSqCDK0.net
最初は目を疑ったが、それは間違いなく、
先ほど見た奈央の作ったものだった。

「どうしてこんなとこに落ちてんだ」と思って手にとった。
お守りには、「NISHI」と背番号の数字が縫い付けてあった。

結び紐が切れているという事もなく、ポケットからうっかり落としてしまったんだろうか。
それか、まさか捨てたのか…
先ほどまで全力で頑張っていたあの少年が、そんな事をするなんて信じられなかった。
226: 2015/11/04(水) 01:47:12.04 ID:mfxSqCDK0.net
拾ったものの、これをどうしようか。
奈央に見せた方がいいのだろうか、
もしかしたら渡せなくて、奈央が自分で捨てたのかもしれない。

渡せなかったとしても、自分で苦労して作ったものを捨てたりするだろうか…
考えたら考えただけ、どうしたらいいものか、分からなくなった。
とりあえず、そのままにしておくのもあれなので自分のポケットに突っ込んだ。
これを持って帰ってどうしたらいいのか分からないが、そうするほかなかった。

帰りはまだまだ陽が高い位置にあって、帰ったら勉強しないとな、と思った。
228: 2015/11/04(水) 01:51:31.78 ID:mfxSqCDK0.net
その日の夜、俺は早々に勉強への集中力が枯渇し、
おばさんと夕飯の手伝いなんかをしていたら、奈央が帰って来た。

鍵を忘れたようで、インターホンを仕切りに鳴らしており、
おばさんに「開けてあげてw」と言われて、俺は玄関のドアを開けた。

俺が鍵を開けて、「おかえり」と言うと、「ただいま」とだけ言って
すぐに階段へと向かっていく。
お守りの事、言った方がいいのだろうか、なんて考えていたら、
奈央は振り返って「今日はありがとうね」とだけ言って階段を上っていった。
疲れているのか、表情はとても暗かった。
229: 2015/11/04(水) 01:52:59.63 ID:mfxSqCDK0.net
「もうすぐ夕飯になるよ」と言うと、「うん」とだけ答えてくれた。
しかし、奈央が夕飯の場に顔を出すことはなかった。
「あとで食べる」とだけ言い、家族の前に顔を出すことはなかった。

俺はちょっと心配になったけど、女子高生なんてそんなもんだろうか、とも思った。
高校の時、仲の良い女子は大勢いたが、付き合ったりもしなかった。
(美香にはふられてしまったし)

俺は家であの子たちがどんな感じかは知らない。
学校ではみんなノリがよくて、ニコニコしていたけど、
そりゃあみんな家に帰ったら「素」に戻るよな、って一人で納得していた。
230: 2015/11/04(水) 01:55:54.90 ID:mfxSqCDK0.net
俺なんかが心配したところで、奈央もいい迷惑だろう。

それに俺は浪人生の居候で、わけもわからず突然家に来た奴だ。
そう考えれば、奈央は俺のことをだいぶ受容してくれているだろう。
もっと、根本的に拒否する女の子だっているかもしれない。

そう考えれば、奈央はかなり優しい子なんだろうな、とも思えた。
それも全て、俺がバレーボールをやっていたから、かもしれないが。
231: 2015/11/04(水) 01:57:16.28 ID:mfxSqCDK0.net
それから数日後の朝、とんでもない暑さで目が覚めた。
熱気と自分の汗で溺れるんじゃないか、と思うくらいの目覚めだった。
間違いなく、ここに来てから一番の熱さだった。

一階に降りると、一番におばさんに話しかけられた。
おばさん「今日は暑いね~今麦茶出すから待っててね」
俺「本当に暑いですね…」
おばさん「熱中症にならないように、気をつけてね」
そう言われて差し出された麦茶を飲んだ。
232: 2015/11/04(水) 02:00:06.83 ID:mfxSqCDK0.net
俺「今日は、おばあちゃん達は」
おばさん「おばあちゃんなら、部屋にいるじゃない。おじいちゃんは出かけてる」
おばさん「私そろそろ仕事にいくけど、そこにおにぎり作っといたから、食べてね」
ありがとうございます、と答えて居間の方に行くと、
壁に寄りかかってアイスを食べている奈央がいた。

俺が「おはよう」と言うと、「おはよー」と気持ちの篭っていない声が返ってきた。
俺は居間のテーブルに置かれていたおにぎりを食べながら、話しかけた。
233: 2015/11/04(水) 02:03:20.39 ID:mfxSqCDK0.net
俺「今日は、部活は?」
奈央「今日は休み」
俺「あ、そうなんだ」
奈央「宿題しないとなー」
話しながらも、奈央の視線は終始テレビの方を向いていた。

窓は開け放たれていて、すぐそばに扇風機が置かれている。
ゴオオオオ、と轟音を放ち、明らかに強になっていた。
他の家族は皆、強にはしない。おそらく、奈央の仕業だ。
244: 2015/11/05(木) 00:29:51.06 ID:J77VLEdA.net
俺も暑かったので、特にそれには何も言わず、
テレビを見ながらおにぎりに噛みつく。

他愛のない朝のニュース。外からは、ミーンミーンと蝉の声がした。
窓のすぐ前には、あのマリーゴールドがちらちらと咲いていた。
元気そうに咲いているということは、
奈央がさぼらずに水をやっているという事だろうか。
245: 2015/11/05(木) 00:31:33.20 ID:J77VLEdA.net
おばさん「奈央、アンタ今日家にいるんでしょ?」
ふと、居間にやってきたおばさんが奈央に話しかけた。

奈央「多分いるけど。なんでー?」
おばさん「今日おじいちゃんいないから。畑に水やっといてよ」
奈央「ええー?この暑いのに?やだよぉ」
俺はわけも分からず、おにぎりの手を止めて二人の会話を聞いていた。

おばさん「じゃあこの炎天下でおばあちゃんにやらせるの?」
おばさん「家にいるんだから、やっといて」
奈央「えー、でもぉ」
おばさん「お願いね、おじいちゃんも今日は多分夜まで帰ってこないから」
246: 2015/11/05(木) 00:34:53.91 ID:J77VLEdA.net
おばさんはそう言って足早に玄関から出て行った。
奈央「もう最悪…こんな暑いのに畑なんて出たくない」
俺「畑に水やり?隣の?」
奈央「うん、そう。水あげないといけないの」

俺はよく分からなかったので、続けて質問する。
俺「へーそうなんだ。あれってやっぱり、ぶどうか何かなの?」
奈央「うん、そだよ。ぶどう」
奈央「この辺はみんなぶどう農家ばっかり。毎年やってるよ」
247: 2015/11/05(木) 00:41:51.06 ID:J77VLEdA.net
俺「へえ、ぶどうかぁ。すごいな、ぶどうなんて滅多に食べないよ」
奈央「そうなの?やっぱり東京ってそういう感じなんだ」
奈央「もうじき嫌って言うほど食べられると思うけどね」

奈央はそう言ってにやにやと笑った。
俺はそれがちょっと可愛いと思ってしまった。

俺「なんだか面白そうじゃん。水やり手伝おうか?」
奈央「え、マジ?手伝って手伝って!」
俺がそう言うと、奈央は喜々として立ち上がった。

奈央「それ食べ終わったら準備してすぐ外に来て!」
そう言い残すと奈央は急いで階段を上がっていった。
248: 2015/11/05(木) 00:45:04.82 ID:J77VLEdA.net
パジャマであるスウェットから、とりあえずTシャツに着替えてタオルを持って外に出た。
まだ午前中だというのに、茹だるような暑さだった。
遠くの景色がグラグラと沸騰しているように揺らいで見えた。
間違いなく、この夏一番の暑さだった。

奈央は窓先の花に水をやって待っていた。
「そんな恰好でいいの?」と俺の方を見てつぶやいた。
俺「だめなの?」
奈央「いいけど、焼けちゃうし虫に刺されるかもよ?」

そう言われてみれば、奈央は長袖長ズボンで完全防備だった。
249: 2015/11/05(木) 00:46:27.58 ID:J77VLEdA.net
俺「まあ、それくらいならいいかな。日焼けも虫も、大して気にならないし」
奈央は「ふーん、じゃあいいか」と言って、水道からホースを引っ張っていった。

俺「このホースを、そこの畑まで持っていくの?」
奈央「そだよ。うちには潅水設備とかないからね。いっつもこうやってる」
奈央「私が持ってくから、ホースが絡まらないように、そこで持ってて」
俺「オッケー」
そう言って、奈央はホースをするすると隣のぶどう畑まで伸ばしていく。
250: 2015/11/05(木) 00:47:32.43 ID:J77VLEdA.net
毎年手伝っているんだろうか、かなり慣れた様子だった。
俺もホースを中継しつつ、隣のぶどう畑に足を踏み入れる。

奈央「あ、そこ!」
俺「へ?」
奈央「ムカデ!ムカデがいるよ!」
俺「うえええ!?」
突然言われて、思わず変な奇声を発してしまう。
251: 2015/11/05(木) 00:48:45.48 ID:J77VLEdA.net
奈央「あっはっは!ウソウソ!ムカデなんていないよ」
奈央は楽しそうに、大口を開けて笑った。

俺「ひっでー。なんでそんな嘘つくのよ」
奈央「ごめんごめんwでも本当にでることもあるから、気をつけてね」
奈央はよっぽど面白かったのか、しばらくクックック、と笑うのを堪えられないようだった。

数日前には何か落ち込んでいるようだったから、
たとえからかわれても、奈央が楽しそうに笑っているのは何か安心した。
252: 2015/11/05(木) 01:05:04.81 ID:J77VLEdA.net
水道に戻って合図をする。
俺「じゃあ水出すよー」
奈央「お願いー」
俺が蛇口を捻ると、グオっと水が通うのを感じた。
そのまま小走りでぶどう畑の方に向かう。

頭上にぶどうの樹の葉っぱが幾重にも重なっているから、
ぶどう畑の中には木漏れ日が無数に揺れていた。
風が吹くたびにぶどうの葉も揺れて、木漏れ日もキラキラと瞬いた。
253: 2015/11/05(木) 01:06:31.97 ID:J77VLEdA.net
その中で真剣な顔をして水をやる奈央を、しばらくぼーっと眺めていた。
俺「へー、こうやって水をあげるんだね」
奈央「そうだよ。でもあげすぎもダメだから、何日かに一回って感じ」
奈央「暑い日が続いたら、ただの水撒きもしたりする」

何もかもが初めてのことで、こんな農作業は初体験だった。
俺「こういうの初めてだから、なんかワクワクする俺」
俺がそう言うと、奈央は「うそーw」と言って笑った。
奈央「まあ、家が農家でもないとこんなんないよね」
254: 2015/11/05(木) 01:12:49.54 ID:J77VLEdA.net
俺「なんでぶどうに紙袋みたいのかぶせてるの?」
奈央「日焼けしちゃうからだよ」
俺「日焼けぇ?ぶどうが?」
奈央「そう。日光に当てすぎるのは良くないんだよ」

俺「へぇー…」
俺はホースの補助をしながら、水をやる奈央を見ていた。
255: 2015/11/05(木) 01:44:19.93 ID:J77VLEdA.net
木漏れ日がゆらゆら揺れて、奈央と俺を照らす。それが眩しかった。
奈央「あのさ」
俺「何?」
奈央「…やっぱいい」
俺「は?どうしたの?気になるじゃん」

そう言うと、奈央は申し訳無さそうな表情でこちらを見た。
奈央「なんで、バレーやめちゃったの?」
俺「え」
奈央の言葉に不意を突かれてドキリとしてしまう。
256: 2015/11/05(木) 01:45:25.01 ID:J77VLEdA.net
奈央「ごめん。本当は聞かない方がいいと思ったけど」
奈央「嫌なら、言わなくてもいいから」

俺はしばらく悩んだ。
どうしてか、奈央にケガの事を言うのは憚られた。
たぶんおばさんにもおじさんにも、
俺が腰を悪くしてバレーを辞めたのは伝わっていないはずだ。
ケガをしてしまった自分が情けなく思えて、俺は隠していたかったのだ。
257: 2015/11/05(木) 01:48:04.17 ID:J77VLEdA.net
俺「もう、十分やったからね。満足したって感じ」
俺「深い意味はないよ」

奈央「バレー、嫌いになっちゃったの?」
俺は大きく首を横に降った。
俺「まさか。大好きだよ。他のどのスポーツよりも好き」

奈央は、「ふーん…」と言いながら、水やりを続けていた。
何か、見透かされているような気がした。
258: 2015/11/05(木) 01:49:15.93 ID:J77VLEdA.net
奈央「これが終わったら、対人してくれない?一日ボールに触らないの、不安だから」
奈央「勉強する…?」
俺「お、やる?全然いいよ。じゃあ早く終わらせよ」
俺がそう言うと、奈央は「うん!」と言って笑顔になった。

今は難しい事は考えたくない。
奈央に笑顔が戻ってきたなら、それでいいんだと思った。
259: 2015/11/05(木) 01:50:21.91 ID:J77VLEdA.net
日差しは相変わらず強い。もう、夏も本番なんだ。
「よし!こんなんでいいかな!」と言った奈央は、畑からホースを撤収し、
家の目の前に向かって勢い良く水を振りまいた。

アーチを描いて霧散した水滴は、
太陽光を反射してプリズムのようにキラキラと散っていった。
燦然たるその光景が、なぜだか俺の胸をきゅっと締め付けた。
277: 2015/11/05(木) 22:34:33.43 ID:NHoSgdPp.net
奈央がボールをポンポンと叩きながら玄関から出てくる。
俺は水道で水をがぶ飲みしていた。

奈央「この前と同じ感じでいい?」
俺「ん、いいよ」
俺はびしょびしょになった口元を腕で拭って返事をした。
水を飲んだら、溌剌とした気分になった。
278: 2015/11/05(木) 22:35:53.66 ID:NHoSgdPp.net
「いくよ」
奈央がボールをひょいっと上げて、俺の元に打ち込んできた。
バンッと両腕でキャッチ(レシーブ)し、奈央の頭上へ優しく返す。

奈央が「さすが」と笑いながら、俺に向かってトスを上げる。
綺麗にトスが上がって、「いける」と感じた。
振りかざした手はバチンッと気持ちよくボールにミートして、
かなりの速さで構えた奈央の元へ飛んでいった。

軌道が安定していたので、
奈央はほとんど動くこと無くレシーブを高々と上げた。

奈央はレシーブしながら痛切な声で「はっや」とつぶやいた。
俺は「ナイスカット」といいながら、少々低めのトスを返す。
奈央は「よし!」と言いながらトスの軌道を見定めて、パシン!とボールを叩いた。
279: 2015/11/05(木) 22:39:17.08 ID:NHoSgdPp.net
俺の構えとぴったりの所にボールが飛んできて、
「おっけ!」といいながらレシーブを奈央の元へと返す。

奈央も「ナイスカット」と笑いながら俺にトスを上げた。
これまた、いい感じの打ちごろのトスだ。
俺は軽やかにボールを叩いて、奈央の元へ打ち込んだ。

ボールは少々手前に落ちそうになって、俺はまずいと思った。
奈央が、「オーケー!」と叫んで地面に滑り込んだ。
ボールは奈央の目の前でバウンドし、奈央はそのまま地面に倒れこんだ。
280: 2015/11/05(木) 22:51:02.81 ID:NHoSgdPp.net
俺「あ、あぶないよ!」
奈央「いった…つい癖で、フライングしちゃった」
奈央はそう言うと、俺の方を見て「しまった」という感じで苦笑いした。
俺「その執念は良いと思うけど、今は外だから…手とか大丈夫?」

奈央「うん、平気だよ」
奈央はTシャツが土だらけになっていたが、ケガはなさそうだった。

俺「よかった。大事な試合があるんでしょ?あんまり無茶すんなよ」
奈央「ああいうボール、試合でもよくあるけど、とるのが難しくて」
奈央は服を払いながら立ち上がって、俺の方を見た。
281: 2015/11/05(木) 22:52:05.18 ID:NHoSgdPp.net
俺はピンと来て、奈央の姿勢を見てみることにした。
俺「ちょっと、レシーブ姿勢とってみて」
奈央「うん?…こうかな」
奈央は膝を曲げて腰の重心を落とした。

俺「うん、間違ってはいないね」
俺「でもそれだと、前にボールが落ちそうな時、すぐ反応できないんだ」
奈央「確かに」

俺もレシーブ姿勢を構えて、奈央の前で見せて上げた。
俺「ただ膝を曲げればいいってわけじゃないんだ」
俺「膝の皿は、自分の足首より前に持っていく感覚なんだ」
282: 2015/11/05(木) 23:02:51.14 ID:NHoSgdPp.net
奈央「足首の前…?」
俺「そう。そうすると、重心は落ちながらも自然と体は前にいくでしょ?」
奈央「あ、本当だ!なんだか動きやすいかも」

奈央の顔がキラリと光って、何度も何度もその姿勢を確かめた。
俺「これがレシーブの基本なんだ」
俺「相撲の取り組みっぽい姿勢だ、なんて言われたなぁ俺は」
そう言って俺が笑うと、奈央も「ほんとだw」と言って笑った。

俺「俺も高1の頃レシーブ下手だったから、コーチに何度も言われてさ」
俺「もうすっかり、頭から離れないわw」
283: 2015/11/05(木) 23:06:21.40 ID:NHoSgdPp.net
奈央は輝いた表情で、「うんうん」と頷いて繰り返し姿勢を確認していた。
俺「打ってみるから、カットしてごらん」
奈央「うん、オッケー!」
俺が少しだけ厳しい球を打つと、奈央はススス、と滑らかに移動してボールをカットした。

俺「そう、それだよ!いい感じじゃん」
奈央「わー、なんかぜんぜん違うかも!」
俺「さっきはこの球に飛び込もうとしてたからなw」
奈央「ほんとだよねw」
284: 2015/11/05(木) 23:08:09.08 ID:NHoSgdPp.net
奈央とバレーをしていると楽しかった。
腰の痛みも、一瞬だけ忘れるようだった。
奈央は俺の言ったことを素直に受け止めてくれ、
それをひたむきに実践しようとしていた。

そんな奈央を見ていると、
俺は失った気持ちを色々と取り戻すような気分になれた。

奈央「1、教えるの上手いね」
奈央は肩で息をつきながら、俺の方を見て言った。

そう言ってもらえるのが嬉しくて、不意に胸が熱くなってすぐには何も言えなかった。
奈央「あっつい。そろそろ水飲んでいい?」
俺「うん、飲みなよ。熱中症になったらやばいよ」
285: 2015/11/05(木) 23:09:36.26 ID:NHoSgdPp.net
昼前の白い日光が庭中を照らしていた。暑すぎる。

奈央「1に教えてもらってたら、めっちゃ上手くなれるかも」
奈央は水道で水を飲みながらそんな事を言った。
俺はやっぱり、その言葉が純粋に嬉しくて、少し恥ずかしかった。

俺「俺のおかげってわけじゃないよ。奈央だって真面目にやってるから」
奈央「だよねーん」
奈央はそう言うと、元気ににかっと笑った。
溌剌とした笑顔、とはこういうものを言うんだろう。
その笑顔を見て、ちょっとだけ胸が騒いだ気がした。
286: 2015/11/05(木) 23:11:47.39
>>285
透明すぎる
あなたの書く世界、透明すぎるよ…
287: 2015/11/05(木) 23:13:34.19 ID:NHoSgdPp.net
奈央と二人きりになったら、あの「お守り」の事を話そうと考えていたが、
奈央の明るい表情を見ていたら、なんだか話すのが怖くなってしまった。

なぜだか分からないが、
そのことを話してしまうとこの笑顔が消えてしまうんじゃないかと、
俺は「余計な」心配をしていた。

そんな事考えずに、話してしまえば良かったのだが。
290: 2015/11/06(金) 00:45:34.10
こんな文章かけるやつなかなかいないよな
294: 2015/11/06(金) 01:24:42.02 ID:8z+/2djX.net
昼飯を食べて、午後から自分の部屋で勉強をしていたら
「ピンポーン」というインターホンの音が鳴った。

奈央が下に降りる様子もなく、おばあちゃんもいないようだったので、
「いいのかな?」と思いつつも俺が玄関の戸を開けた。
そこには、短髪の見知らぬ少年が立っていた。
この前野球観戦の時に見た制服だったから、恐らく奈央の高校の生徒だ。
295: 2015/11/06(金) 01:25:46.66 ID:8z+/2djX.net
男子「あ、え?こんにちは…」
俺「こんにちは…」
彼は、いかにも「予想外の奴が出てきた」という表情で俺を見た。

男子「奈央さん、います…?」
俺「あ、はい。ちょっと待ってね」

俺はそのまま2階に上がっていき、奈央の部屋をノックした。
俺「なんか、男の子来てるけど」
すると、中から「えー?どうせタクミだろ」と声がした。

奈央はバタバタと玄関へ降りていき、
「やっぱり。何の用ー?」と親しげに話し始めた。
俺はその様子を、階段の途中からうかがっていた。
296: 2015/11/06(金) 01:39:26.54 ID:8z+/2djX.net
少年「いや、墨汁忘れたんで取りに来た」
少年「教室の入り口閉まってっから、こっちから入れてくれ」

奈央「またそれ。ちゃんと持って帰れし」
少年「しょうがないだろ。先生いねえの?」
奈央「おばあちゃんなら出かけてるよ」

どうやら彼は、ここの書道教室に通っている高校生のようだ。
家の中に他に誰もいないからか、嫌なほど会話が聞こえてくる。
奈央との様子を見ている限り、かなり旧知の仲なのだろう。
297: 2015/11/06(金) 02:03:09.16 ID:8z+/2djX.net
少年「ってかあの人誰?兄ちゃんなんていないよな?」
奈央「親戚…って感じかな。浪人生で、うちに勉強しに来てる」
少年「ふーん。めっちゃ背でかいからビビったわw」
俺の話題が展開され、少しドキッとして嫌な汗が出そうになった。

少年「そういやさ、野方先生来てたぞ、学校に」
奈央「え、先生が?今日うちら部活ないのに」
少年「職員室で偶然見かけてさ。産休決めたって言ってたぞ」
奈央「えっ!?それ、マジ??」

奈央が急に大声を上げたので、俺の心臓がばくん、と飛び上がった。
310: 2015/11/07(土) 03:12:59.56 ID:2DGFGa60.net
奈央「まだうちら何も聞いてないんだけど…」
少年「あーそうだな。次の部活の時に、言ってくれるんじゃないか」
少年「あのお腹なら無理もないだろ。今までよくやってたわ」
奈央「うん…ほんと、そうだよね…」

少年「女バレ、大会あるとか言ってなかった?」
奈央「…あるよ」
少年「大丈夫か?先生いなくて」
奈央「わかんない…」

奈央がそう言ってから、しばらく会話が途切れた。
教室の方から、ドタドタという足音が聞こえた。
311: 2015/11/07(土) 03:15:43.92 ID:2DGFGa60.net
しばらくすると玄関の方から「じゃあな」と言って男の子が出て行った。
階段の踊り場でしばらく立ち尽くしていたけど、
奈央が戻ってこないので、俺は書道教室の方を見に行った。

そこには、教室の中でぼーっと立っている奈央がいた。

俺「どうしたの。ここ、暑くない?」
教室の中は冷房もついておらず締め切られていて、ひどく暑かった。
入り口横の小さな窓から西日が差し込んでいた。
312: 2015/11/07(土) 03:17:39.20 ID:2DGFGa60.net
奈央「どうしよう」
俺「…野方先生って、部活の顧問なの?」
奈央「聞いてたの?」
俺「聞こえちゃった」
俺がそう言うと、奈央は俯いて黙ってしまった。

教室の中があまりに暑かったので、俺は小さな窓を開けた。
奈央「そこ開けると、虫入ってくるよ」
俺「だって、暑いから」

窓を開けたら、網戸がなかった。
でも、外の風が入ってきて、幾分かはマシになった。
313: 2015/11/07(土) 03:19:17.28 ID:2DGFGa60.net
俺「どうしたんだよ」
奈央「顧問の先生が、産休するんだって」
俺「うん、聞いてた」
奈央「大会…どうしよう」
奈央は下を向いたまま、顔を上げなかった。

俺「監督がいないっていうのは不安だけど…やるしかないだろ」
奈央「うん…」
俺「そんなに落ち込んでたって、仕方ないだろ」
奈央「うん」
321: 2015/11/07(土) 19:59:15.91 ID:dlhGMPwp.net
俺は奈央にそう声をかけると、台所に行って麦茶を飲んで一息ついた。
でも、部屋に戻ろうとするとまだ教室の方に灯りが点いていた。

俺「いつまで、こんな暑いとこにいるんだよ」
奈央「うん」
俺「先生が休むのはショックだろうけどさ、自分達でやるしかないだろ?」

奈央「そんなこと分かってるよ!」
奈央が突然語気を荒くしたので、俺は驚いた。
322: 2015/11/07(土) 20:04:58.38 ID:dlhGMPwp.net
奈央「私、キャプテンなんだよ…上手くもないのに」
奈央「先生がいなかったら、全部私がやらなきゃ、練習も試合の指示も、全部…」
俺は、なんて声をかけるべきなのか、すぐには言葉が出なかった。

奈央「最後の試合だから、全力でやって勝ちたかったのに…無理だよぉ…」
奈央はそう言って、また俯いてしまった。

俺「だって…それがキャプテンじゃないか。しっかりしろって」
奈央「1は上手いからいいよね!きっと私のことなんて分かんない!」
奈央「失敗したり、思い通りにプレー出来ないことなんてないんでしょ!?」
323: 2015/11/07(土) 20:11:47.17 ID:dlhGMPwp.net
奈央の言葉が、俺の胸に突き刺さった。

俺「それは……」
奈央「背だって高くて、レフトでエースだったんでしょ!?」
俺「奈央」
奈央「こんな不安な気持ち、なったことないからそんな気楽に言えるんでしょ!」
俺「奈央、聞いて」

俺「俺はもう、バレーができないんだよ」
324: 2015/11/07(土) 20:13:50.34 ID:dlhGMPwp.net
その言葉を聞いて、奈央は口を開けたまま俺の方を見上げた。
奈央「え…?」
俺「言ってなくて、ごめんね」

俺「俺、腰をやっちゃってさ。もう二度と思いきりバレーをすることはできないんだよ」
奈央「え、だって…もうバレーは満足したって…」
俺「うん、ごめん。あれは嘘だったんだ」
325: 2015/11/07(土) 20:19:18.66 ID:dlhGMPwp.net
俺「俺はもう、バレーがやりたくてもできない」
俺「ボールに飛び込んだり、思い切り飛び上がってスパイクを打ったり、できないんだ」
奈央「うそ…」

外から、「ミーンミンミン…」という蝉の声が入り込んできて、
しばらく会話が途切れた。
ヒリヒリとした空気の中で、俺は何も言えなかった。
ただただ部屋の中が熱くて、背中にじわりと汗をかいていた。
326: 2015/11/07(土) 20:21:01.42 ID:dlhGMPwp.net
奈央「ご、ごめん…私、知らなかったから…」
奈央は少し目を赤くして、震えるような声でそう言った。
そんな奈央を見ていたら、
俺も感情が込み上げてきて全部話してしまおうと思えた。

俺「本当は、ずっとずっと夢があったんだ」
俺「春高に出て、あのオレンジコートに立ってさ―」
俺「負けても勝っても、コートの中で沢山の風を起こすんだよ」
俺「俺はここにいるぞ!ってね」
俺「思いっきりプレーして、最後は仲間と思い切り抱き合うんだよ」
奈央は、黙って俺の顔を見ていた。
327: 2015/11/07(土) 20:22:04.93 ID:dlhGMPwp.net
俺「そしたらさ、一体どんな景色が見えたんだろうな」
俺「その景色を見るのがさ、俺の夢だった」
奈央は親身に聞いてくれていたが、唇を噛んで俺の方を見るだけだった。

俺はしまったな、と思ってすぐにフォローを入れた。
俺「いや、ごめん。こんな事言われても困るよな」
奈央は少し下を向いてから、口を開いた。
328: 2015/11/07(土) 20:27:21.07 ID:dlhGMPwp.net
奈央「うん。正直、私にはよくわかんない…」
奈央「だから、明日私たちの部活に来てよ」
出し抜けにこんな事を言うので、俺は面食らった。

俺「え、どういうこと?」
奈央「私、1にバレー教えてほしいから。先生の代わりに臨時コーチになって」

奈央「一緒に、もう一度バレーしてくれない?」
331: 2015/11/07(土) 20:44:25.52 ID:dlhGMPwp.net
奈央は、凛とした目で俺を見た。
そんな目で見つめられるのは初めてのことだった。

俺「そう言われても、そんないきなり部外者が…」
奈央「…やっぱり勉強忙しい?」

俺がここに来た目的―それはもちろん勉強だが―
でもそんな事ばっかりやっていて、意味があるんだろうか?
その先には夢も目的もない、何もないのに勉強だけしている。

奈央たちと頑張ったら、その先には何かあるんだろうか―
何か、見えるんだろうか?
332: 2015/11/07(土) 20:47:54.26 ID:dlhGMPwp.net
奈央「大会まで、あと一週間だけ…部活に来てくれない?」
奈央「お願い…!」
奈央のまっすぐな瞳が俺を見つめた。

奈央の言葉は、不思議な力を持っているようだった。
いつもの俺なら、間違いなく断っていただろう。
バレーを思い出すと辛いから、
バレーを避けて、バレーの事を忘れようとして生きてきた。

なのに、奈央とはなぜか一緒にバレーがしたいと思えた。
もう一度やれるかもしれない、そう感じた。
333: 2015/11/07(土) 20:50:22.94
印象的なシーンだよな
奈央ちゃんが、 >>1 をもう一度夢の世界に引き連れてくれるのか?
334: 2015/11/07(土) 20:51:50.52 ID:dlhGMPwp.net
俺「俺なんかで良ければ、力になるけど」
俺「コーチなんてやった事ないから、上手くできるか分かんないけどさ…」
俺がそう言うと、奈央はくすっといたずらっぽく笑った。
奈央「ほら、やっぱり」

俺「何が?」
奈央「1はまだ、バレーやりたいんだよ。そうに決まってる」
奈央が力のない笑顔で俺に語りかけてくる。

奈央「1は、自分の大好きな事を勝手に終わらせようとしてない?」
奈央「夢だった…って何?夢なら、また追いかければいいじゃん」
奈央「少なくとも、私だったらそうするんだけど」
そう言うと、奈央は口元だけで笑って首を傾げた。
335: 2015/11/07(土) 20:53:17.43 ID:dlhGMPwp.net
俺は、けがをしてバレーと関わることを意識的に避けてきた。
でも、それは間違っていたのかもしれない。
そのせいで、いつまでたってもバレーを忘れられず、
そのしがらみに足をとられ続けてきた。

俺の本当にやりたい事は…いつまでも経っても変わらない夢は……

その日の夕飯のあと、台所で皿洗いをしていると奈央に声をかけられた。
奈央「明日臨時コーチに来てもらうって、みんなに言っといたから」
俺「みんなに?どういうこと?」
奈央はぽかんとして、スマホを指差した。
336: 2015/11/07(土) 20:55:01.62 ID:dlhGMPwp.net
奈央「LINEだよ。部活のグループ」
俺「ああ、そういうこと」

奈央「みんな結構期待してるよ。良かったね」
俺「え、マジ。なんか緊張すんだけど」
そう言うと奈央は「なんでw」と言って笑った。

奈央「今日みたいな感じで教えてくれたらいいよ」
俺「ん、分かったよ」
奈央「あとで、LINEも教えて」
俺「ああ、いいよ」
337: 2015/11/07(土) 20:56:40.19 ID:dlhGMPwp.net
奈央「手伝おうか、それ」
俺「いや、いいよ。これは居候の俺の仕事」
手伝いは断ったものの、俺が皿洗いをしている間、奈央は俺の横に立っていた。
その時、奈央がどんな表情をしていたのか、俺は見ていなかった。

蚊取り線香の匂いがした。
おばあちゃんとおじいちゃんがテレビを見て笑う声がした。
おじさんは相変わらず網戸外の縁側で一服つけているようだった。

夏の夜の、いつも通りの穏やかな時間が流れていた。
その中で、俺の皿を洗う水の音が響いていた。
339: 2015/11/07(土) 20:58:35.91 ID:dlhGMPwp.net
奈央「明日、早いからね。寝坊はダメだよ」
俺「分かった。奈央も寝坊すんなよ」
奈央「うっさい」

皿洗いが終わった後、俺は真っ暗になった庭に出た。
使ってない自転車があるらしく、明日俺が使うために出してこようと思った。
家の居間からの灯りと、まばらな街灯の灯りだけが頼りだった。
341: 2015/11/07(土) 21:01:50.49 ID:dlhGMPwp.net
ぶどう畑の脇の、物置のような所から自転車を引っ張り出してきて、
水道の横に止めると、縁側にいたおじさんに声をかけられた。

おじさん「自転車なんか出して、どうするで」
俺「あ、いえ。ちょっと明日使わせてもらおうかと」
おじさん「明日どっか行くの?」
そう言われて少し戸惑ったが、すぐに「部活です」と自信たっぷりに答えた。

おじさんは「はは!」と高笑いし、「1君は高校生だったっけ」と笑っていた。
おじさん「ちょっとここ座れし」
そう言われて、俺はおじさんの横に座った。
342: 2015/11/07(土) 21:05:54.59 ID:dlhGMPwp.net
おじさん「奈央の部活でも、見に行くのけ」
俺「あ、そうです。ちょっと頼まれたので」
おじさんは、ふうっと煙を吐いて続けた。

おじさん「そんなこんやってないで、勉強しなくていいだか?」
俺は突然の言葉にドキッとし、一気に体温が上がる気がした。

俺「いや…もちろん勉強も…」
おじさん「勉強に集中するためにこっちに来たって聞いたけど」
おじさん「なんで部活に行くなんて話になってるだ」
俺「…すいません」

蒸し暑い夏の夜に、場が凍りついたようだった。
まさか怒られるとは思っていなかった俺は、
握りしめた拳に嫌な汗をかいた。
343: 2015/11/07(土) 21:11:07.03 ID:dlhGMPwp.net
おじさん「…なんて、いつもこんなん言われてた?」
俺「…はい?」
おじさん「1君、本当は勉強好きじゃないら?」
おじさんの態度がくるっと変わったので、俺は何て言ったらいいか分からずにいた。

おじさん「というか、他にやりたいことがあるらに」
おじさん「聞いたよ、畑も手伝ってくれたらしいじゃん」
おじさん「庭でよく奈央とバレーもしてるんだってね」

おじさん「でも俺は、それでもいいと思うんだよ」
おじさん「勉強ばっかりやってたら、人間頭がおかしくなっちまうよ」
リーンという夏の虫の声に揺られて、おじさんの横顔が暗闇にぽっかりと浮かび上がっていた。
344: 2015/11/07(土) 21:12:47.81 ID:dlhGMPwp.net
俺「明日の部活なんですけど」
俺「俺、ここ何年かずっと、やりたいことが何もなかったんです」
俺「したくもない勉強を毎日毎日ずーっとやって、そんな風に過ごしてきて」

俺「でも今、本当にやりたいと思えることが、目の前にできたんです。もう、何年もなかったのに」
俺「だから明日、俺は奈央さんの部活に行って来ます」

俺は無我夢中で、今自分の心にあることを吐き出した。
まるで小さい子供のように、心に燃える想いを躊躇なく吐き出していた。
346: 2015/11/07(土) 21:20:34.45 ID:dlhGMPwp.net
おじさん「1君、どうしたで」
俺「はい?」
おじさん「なんか今、すごい楽しそうじゃん」
俺はおじさんのその言葉を聞いて驚いた。

俺「え、そうですか?」
おじさん「なんか、いい顔してたよ」
自分でも気づいていなかった。俺はそんな風に見えていたのか。
というか、そんな風になっていたのか。

おじさん「まあ、好きにしたらいい。早起きして部活に行くのも一興だ」
おじさんはそう言うと、笑みを浮かべて煙草をくわえた。
俺も、「そうかもですね」と笑って相槌を打った。
347: 2015/11/07(土) 21:21:41.58 ID:dlhGMPwp.net
俺は、変わり始めていたのかもしれない。
全てに自棒自棄になって、過去の記憶の亡霊に取り憑かれて流れ着いたこの場所で、
俺は何か大事なものを見つけかけていた。

その日、初めて奈央からLINEが来た。
「明日は8:30には家出るからね」
とだけ書かれた、簡素なものだった。

気合を入れて返事を返すのもアレなので、
俺は「りょーかい」とだけ打ち込んで、返事とした。
348: 2015/11/07(土) 21:31:16.88 ID:dlhGMPwp.net
同じ家にいるというのに、LINEをするというのも妙な感覚だった。
自分の部屋にいるのも、少しだけソワソワした。
灯りは豆電球だけにして、しばらくスマホを眺めていた。

窓の外からは相変わらず虫の声が聞こえていた。
その日は、なんだか不思議な夜だった。
今更ながら、自分が全然知らない世界に来たような、そんな不思議な気持ちになった。


スポンサーリンク





本日のおすすめブログ最新一覧



ザ・ミステリー体験【おすすめ人気記事】


オカルト要素あり、俺の身に起きた不思議なことを書いていきたい


【幽霊?】祖母「なんか午前3時過ぎに2階からドンドンッて音がするのよねぇ」


【なんでw】ワイ、パチ屋に就職が決まった途端親に縁を切られるwww


田舎育ちの人が都会で一人暮らしする時に絶対にやるべきこと


フランダースの犬の海外の評価ワロタwwwwwwwwwwww


ヤバイ仕事を受けた「知ってはいけない領域」


基本給20万くらいだけど家賃とか場所はどれくらいがいいの?


【マジキチ】米国国務省、すべてのビザ申請者に対して過去5年分のSNS履歴開示を要求


コンビニのポプラが出した赤字額がヤバすぎる


玄関に何気なくカメラ仕掛けて仕事行った結果(´;ω;`)


満洲国の最後の皇后、婉容さんが可愛すぎワロタwwwww


ワイ、人助けをしたのに危うく逮捕されそうになる


「々」使う時にいちいち「佐々木」って打ってるやつwwwwwwww


寝ても寝ても眠いんだが・・・・・・・


ホーキング博士、ニュートンとダーウィンのそばに埋葬される


後ろ振り向くのが怖い病が治らない


20代女子に聞いた「日本人で良かったと思う瞬間ランキング」


今年の花粉、ガチでヤバすぎる・・・



【おすすめの人気記事一覧】


ワイのゲーム部屋、快適すぎて廃人になるw


驚きの発毛法が紹介されてしまうwwwww


儲かる話は必ず裏がある


ニート(28)「俺が働けないのは中学の時にいじめられたからだ!1億9600万円払え!」いじめっ子とその...


『イタリアン、フレンチ、中華、和食』←この中で一番無くなってもいい料理は?


同棲してる彼女の束縛厳しすぎワロタwwwwww


16年間浪人したアイドルオタクさんwwwwwwwwww


ドラえもんの雑学書いてけwwwwwwwwwwww


【沖縄戦】82歳男性「隠れんぼで少年を置き去りにした。彼は帰ってこなかった・・・謝りたい」


【夜マック】マクドナルドの倍バーガー買ってきたんだが・・・・・


【ウケルw】ローソン社長の息子さん、ファミリーマート民だったwwwwwwww


『福岡大学ワンダーフォーゲル部・ヒグマ襲撃事件』の内容が怖すぎる


田舎育ちの人が都会で一人暮らしする時に絶対にやるべきこと


フランダースの犬の海外の評価ワロタwwwwwwwwwwww


ヤバイ仕事を受けた「知ってはいけない領域」


【絶望】日本の20代男性の現実がヤバすぎ・・・・


【交換日記】亡くなった彼女がどこかで俺を見ている


【小学生時代の思い出】先生に見せてもらった恐ろしい卒業写真




管理人からのお知らせ

ザ・ミステリー体験では皆さまからの投稿を受け付けております。

ご自身のホラー体験・不思議体験などありましたら、TOPページメッセージフォームよりお願い致します。






アクセスランキング

元スレhttp://hayabusa3.5ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1446046979/