bandicam 2018-01-27 19-05-26-097

1: 20xx/ミステリー master
男(……)

ザッザッ 男
(この川辺に来るのも……これで何度目だろうか)


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1: 20xx/ミステリー master
男(前に来た時とは打って変わって、周りの木々は華やかな赤に染まっている)
男(俺の心はその赤とは対照的に、どんよりと沈んだ黒紅色のままだ)

男(時折ぴゅるり、と吹く冷たい風は、まるで俺を追い出そうとするかのようで)

男(俺はどこか情けなく、肩をすくめて近くの岩場に腰掛けた)
男(秋の美しい紅葉は、俺の心を素通りするばかりで、全く癒してはくれない)

男(ならば空だ、と見上げた先には、クリーム色の世界が広がっていた)

男「……雨か」

男(ぽつりと落ちて来た雨粒は、数分もしないうちに数を増していき)

男「……感傷に浸るのも許さないってか。仕方ない、ここで雨をしのぐか」

スッ

男(俺は、近くの小さな洞穴で雨宿りをする事にしたのである)
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男(中は足首が浸る程度の水が占領している。大きな岩に腰掛ける事で、俺はようやく一息ついた)

男(持ってきた魔法瓶の蓋を開け、熱々のお湯をカップ麺に注ぐ)

男「……」

男(食べられるようになるまでは、スキットルに入れたウイスキーを、じっくり、ゆっくりと時間をかけて飲む)

男(この魔法瓶とスキットルは、今は亡き相棒のものだ)

「……珍しいの、ここに人が来るとは」

男「!?」

男(周りには誰もいないはずだ――そう思い、声の方向に振り返る)

男(ぬらぬらとした身体、大きな頭……一匹の山椒魚が、そこに佇んでいた)

男「まさか山椒魚の幻聴を聞くとはな……酒が回るにはまだ早いようだが」

山椒魚「安心せい、主が聞いているのはその山椒魚の声じゃ」

男「……はは、さすがにたまげた。まさか山椒魚と話す日が来るとは」

山椒魚「主は何故ここに? 滅多に人が来ないものだが」

男「さあ……蕎麦を食べに来ただけかもな」

山椒魚「蕎麦……その物体の事か?」

男「ああ」

山椒魚「二つあるようだが……主一人で喰うのか? 儂に劣らずの大食漢よのう」

男「一つは相棒のものだよ。変わった奴でな、冷めてのびきった蕎麦が大好物だったんだ」

男「もう、4んでこの世にはいないんだけど」

山椒魚「……ふむ」

山椒魚「ここで会ったのも何かの縁じゃ、主の抱えているものを話してみよ」

男「……分かったよ、蕎麦でも喰いながら聞かせてやろう。一人の滑稽な男の話を」
1: 20xx/ミステリー master
男「まあ……「彼」には一人の友人が居た。平々凡々とした、ごく普通の友人が」

男「友人は目立った才能こそ無かったが、努力家だった。人の数倍の努力をし、誰よりも頑張るような奴だった」

山椒魚「ほう」

男「しかし――「彼」は天才だった」
男「友人が何をしようとも、「彼」はほんの少しの努力でそれを上回ってしまう」

男「周りの僻みの声は、当然「彼」にも届いた」 男「「彼」はその声に悩まされていたが、決まって友人が助けてくれた」

男「『その才能を一生懸命使って何が悪い。誰が何と言おうが、君は君だ』」

男「友人は才能ある「彼」を尊敬していたし、「彼」は努力家で強い心を持つ友人を尊敬していた」

山椒魚「良い友人を持ったのだな」

男「ああ……おっと、そろそろ俺の分がいけそうだ。御先に失礼」

男「うむ、やはり旨いな。つゆが冷えた身体に染みわたる」

山椒魚「変わった香りだな……人の食べ物なぞ滅多に見ない事もあるが」

男「だろうな……ごちそうさん」

男「さて、話に戻るか」

男「「彼」と友人はそれからも仲が良く、それなりに長い関係を築いていた」

男「そんなある時、友人は一人の女性に恋をした」

山椒魚「……」
1: 20xx/ミステリー master
男「その女性は空が好きで、友人は彼女の誕生日までに、美しい空の絵を描こうと決めていた」

男「そして、いよいよ当日が来た。友人は女性に電話をし、部屋には「彼」一人だけが残った」

男「「彼」は友人の書いた絵を見ていたが、ふと気になる点を見つけた。大空を飛ぶ小さな鳥の絵だ」

男「その鳥は真っ黒な烏だった。「彼」は、これは白い鳥の方が良いのでは、と思い、何も考えずに白い鳥に描きかえた」

男「そして「彼」は友人を勇気づけ、送り出した」

男「一時間ほど後に、友人が帰ってきた――目に涙を溜めながら」

男「どうしたんだ、と聞く「彼」に飛んできたのは、今まで聞いた事も無い友人の罵声だった」

男「『どうして絵を書き換えたんだ!? 彼女は烏が好きだって言うから書いたのに!』」

男「それを聞き、「彼」は青ざめた。ほんの軽い気持ちでやった事が、友人の努力を台無しにしてしまった、と」

男「しかし、友人がショックだったのは、絵が変わっていた事では無かった」

男「『この白い鳥、一番気に入った、すごく綺麗だよ』――そう告げられたそうだ」

男「「彼」の才能が、友人の努力を、思いを、全て奪ってしまったんだ」

男「友人は泣きながら部屋を飛び出していった」

男「……「彼」は、追いかける事が出来なかった」

男「そして」

男「三日後――友人が川に身投げした、と言う知らせが、「彼」の耳に飛び込んできた」
1: 20xx/ミステリー master
男「後日、「彼」の元に一冊の日記が届いた」

男「そこには、友人の苦悩が書きつづられていた」

男「天才の金魚のクソ、と陰口を言われていた事」

男「友人自身も、「彼」の才能が、時々憎たらしくて仕方なくなってしまう事、そんな自分への嫌悪」

男「努力をしても、結局無駄なのではないかと言う葛藤」

男「その日記は誰が送ったのかは未だ分からない――だが、「彼」の心を叩き潰すには十分だった」

男「誰よりも分かっていたはずの友人の事を、「彼」は何も見えていなかった」

男「それ以来、「彼」は人と接するのが怖くなってしまった」
1: 20xx/ミステリー master
男「ただ時折友人の身投げした川を訪れ、懺悔する事だけ」

男「そうして「彼」……この俺、男は今も醜く生き延びている」

山椒魚「……そうか……」

男「……」

山椒魚「……」

ザアアァアアァアアァァアァ……

男(二人とも喋らない)
男(肌寒い洞穴の中では、ただ強くなった雨の音が響き渡るのみである)

男(再び心の中に湧き出てきた自責の念をかき消すように、俺はウイスキーを口に含んだ)

男「……次、あんたが……何か喋れよ。俺が話したんだから」

山椒魚「そうじゃな……何を話そうか」

男「いや、何で俺と会話出来るんだよ。まずそこからだろ。酒の肴程度にはなるだろう」

山椒魚「……うむ、では儂も聞かせてやろう……一匹の愚かな山椒魚の話を」

男「……ほう」

山椒魚「まず説明じゃの……主は神を信じるか?」

男「神か……今までは特に考えた事は無いが、あんたを前にすると信じざるを得ないな」

山椒魚「神は一つの概念では無い。自然や特殊な場所で「選ばれる」のだよ」

男「選ばれる?」

山椒魚「この山では、選ばれた「動物」は雨を司る力を持つ。鳥達に聞いた話だと、近くの神社では狐の神がいるらしいが」

男「雨……か」

山椒魚「神になった動物は、生涯を終えるまではその力が身体に宿る。そして、寿命によって4んだ後はまた新たな動物が選ばれるのだよ」

男「……つまり」

山椒魚「ああ、儂は神に選ばれた」

山椒魚「ただし、儂は完全な神にはなれなかった……」

男「完全?」

山椒魚「完全な神になった動物は、力をコントロールし、さらに人に変化する事が出来る。 現実世界であったり、夢の世界であったりするが」

山椒魚「しかし、儂は人には変化できぬ……先代の神、種族は鹿であったが、彼は完全にコントロールする事が出来た」

山椒魚「さて、話は昔に遡る……その鹿が寿命で息絶え、儂が次世代の神に選ばれた」

山椒魚「この山では誰もが神になる覚悟をしている……儂もそうだった。しかし、儂は不完全な神だった」

山椒魚「山の動物共は、次の神となった儂を表面上は祝福してくれた」

山椒魚「しかし、儂には見えていた。心の中では、「早く4んで、しっかりとした力を持った次の神が生まれないか」という願望が」

山椒魚「中途半端に芽生えたこの力は、雨をコントロールする事が出来ぬ。ただ、儂の感情に左右して不安定に降るだけだ」

山椒魚「すっかり周りの者を信じなくなった儂は、この洞穴に閉じこもった」

山椒魚「そのまま餓4してしまえば良い――周りはそう思っていたし、儂もそのつもりであった」

山椒魚「しかし、皮肉な事に、神の力は、儂が餌を食べなくとも、生き延びるようにしていた」

山椒魚「ならばこのまま石となろう――そう思い、儂はずっとここで引きこもっていた」

山椒魚「潤いを無くし乾ききった儂の心は、決して雨が降ることを許さなかった」

山椒魚「植物は枯れ、動物たちは木の実や草が減ったと文句を言う」
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山椒魚「しかし、神を消してしまえば、そこで神の力は途絶えてしまう。奴らは儂を消す事は出来なかった」

山椒魚「そんなある日、一匹の美しい蝶が儂の元へやってきた」

山椒魚「『どうか、雨を降らして下さい』――そう懇願してきたのだ」

山椒魚「すっかり腐っていた儂は、鼻で笑うとその蝶を帰らせた。どうせ自分の身が可愛いだけだろう、と」

山椒魚「しかし、その蝶は何日もやってきた」

山椒魚「儂はそのたびに跳ね除け続けたが、次第に少しずつ心を許そうとしていた」

山椒魚「『……儂の負けだ。あい分かった、明日雨を降らそう』」

山椒魚「そう告げた時の喜びようといったら、並大抵のものでは無かったものだ」

山椒魚「儂は久方ぶりに力を蓄えた」

山椒魚「――しかし、ただでさえ未熟な力をずっと使わなかったせいで、儂は力を発揮する事が出来なくなっていた」

山椒魚「どうしたものか、このままでは――そう焦った儂は、翌日蝶にこう告げた」

山椒魚「『儂が力を発揮するには贄が必要のようだ』……儂は、自分のみっともない神の誇りを守るため、そう言い繕った」

山椒魚「翌日、その蝶は4んだ」

山椒魚「聞いた話だと、どうも彼女はもともと寿命が短かったらしい。それでも何とか弱った身体に鞭を打ち、ここを訪れていたのだ」

山椒魚「儂は己を恥じた。どうして、もっと早く雨を降らそうとしなかったのか――溢れ出る感情は、儂の身体を突き抜けた」

山椒魚「それ以来、この山はよく雨が降るようになった」

山椒魚「分かるか」

山椒魚「この雨は……儂の涙なのだよ」
1: 20xx/ミステリー master
男「……そうか」

山椒魚「……だが、幸か不幸か、もう儂の寿命は短くないようだ」

山椒魚「もうじき4ぬじゃろう……」

男「……そう、か」

男(ふと目線を下に下げると、すっかり冷めてぬるくなった蕎麦が目に入った)

男「……冷めたか」

男「……」

男(俺はそれを口に運ぶ)

男(つゆを吸いきってふにゃふにゃになった麺)

男(ぬるいつゆでそれを流し込んだ)

男「……やっぱり、まずいなァ……友……」

男(それでも俺は、その味を噛みしめる)

山椒魚「……」

男「……」

男(平らげた俺は、気持ち悪さを誤魔化すようにウイスキーを飲む)

男(特有の香りが鼻を突きぬける、俺はその香りがどうも苦手だ)

男(結局、お前の好きな酒の美味さすらも分かってやれなかったんだな、俺は……)

男「……飲むか?」

山椒魚「……そうだな、物は試しじゃ」

男(俺は口を開けた山椒魚に、ウイスキーをほんの少し垂らした)

山椒魚「……変な味の水じゃな……だが、悪くない……」

男「……はは、まさかウイスキーが口に合うとはな」

山椒魚「ウイスキー、と言うのか……儂の身体には良くなさそうじゃが……もう永くない、もう少しくれんか」

男「ああ」

男(洞穴にはウイスキーを飲む山椒魚、そして一人の人間)

男(何とも奇妙な光景だが、不思議と俺は得体の知れない心地よさを感じていた)

男「……あ、もう少ないな。最後は俺が飲む」

男「……ふぅ……」

山椒魚「4ぬ前に良い体験が出来た……男よ、感謝する」

男「神さんに感謝されるなんてな、俺はそんな資格ないさ」

山椒魚「……眠くなってきた、儂は寝る」
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男「……そうか」

山椒魚「もし……叶うのならば……お互い……やり直したいものだな……」

男「……ああ」

山椒魚「フフ……儂は何を口走っておるのやら……男よ……達者でな……」

男「ああ……あんたと話せてよかったよ」

男(山椒魚は目を閉じた)

男(それが寿命によるものか、それともアルコールのせいかは分からない)

男(だが、俺はもう二度と彼に会う事は無いだろうと確信した)

俺(俺は洞穴を出る。外は依然として雨が――)

男(……あ)

男「……雨、止んだな……山椒魚……」

先程の曇天は何処へやら、空は清々しい秋空へと変わっていた。

吹き抜けていた風は、幾分柔らかくなった模様。男の肌を優しく撫でる。 何だかそれがむず痒く、男は歩き出す。

まるで自然が俺を許してくれたようだ――そんな思考が一瞬頭によぎり、馬鹿馬鹿しいと首を振る。

そんな自分と決別するかのように、男は歩く速度を速めた。

何処へ行くかは彼自身も知らない。

しかし、彼はこれからもこうして漠然と生きていくのだろう。

もう一人の「友人」と共有できた、己の消せない罪を背負いながら。


終わりです。


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