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友「息子ー」
友「今日はいい天気だ」
友「父さんと散歩にでも行かないか?」
息子「…………」
息子「……どこへ行くの?」
友「んー特に決めていない」
友「そのへんプラプラって感じかな」
息子「…………」
息子「少し待って。 着替えるから」
友「おう、いいとも」
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息子「…………」
友「ああ、気持ちいいな」
息子「…………」
友「あれ? ここって畑じゃなくなってるな……」
息子「……いつの話?」
友「だいぶ前だな」
友「10年くらい前」
息子「そう」
友「…………」
友「公園はどっちだったかな?」
息子「……あっちだよ」
友「そっか」
友「ふう……疲れた」
息子「全然歩いてないのに」
友「通勤は電車だからなー」
友「立ってるだけなら、自信あるんだが」
息子「そう」
友「ふー……」
息子「…………」
友「…………」
息子「…………」
友「…………」
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息子「ねえ、父さん」
友「ん?」
息子「最近……働けって言わないね」
友「……ああ」
息子「母さんも言わないね」
友「そうだな」
息子「どうして?」
友「…………」
友「……本音を言えば、働いて欲しいさ」
息子「…………」
友「今は何とかなってるけど……この先、病気になったり」
友「事故にあったり、何かの事件に巻き込まれたりした時」
友「俺たち一家がどうなるか、わからないからな」
息子「…………」
友「でも……父さんちょっと考えを変えてみた」
息子「え?」
友「それはお前が働いていても同じ事じゃないかって」
息子「…………」
友「まあ……税金とか、保険の費用とか、いろいろあるけど」
友「待つ事が出来るうちは、待ってやろうかなって」
友「思ったんだ」
息子「……父さん」
友「もちろん母さんは大反対だろうけどな!」
息子「…………」
クスッ 友「はははは……
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……この翌年
嫁に限界が来た。
だいぶヒステリックになっていたので 男に言われた通り、実家に帰らせる事にする。 ここからはしばらく、俺と息子の二人だけで生活する事になった。
息子「……父さん、出来たよ」
友「すまんな、息子」
息子「俺も大したもの作れるわけじゃない」
友「それでも俺が作るより100倍美味いって」
友「いただきます」
息子「いただきます」
~~~~~~~~~~~~
友「ごちそうさまでした」
息子「ごちそうさま」
息子「……それから、父さん」
友「ん?」
息子「保険料のお金」
息子「振り込んでおくから貰えないかな?」
友「ああ、わかった」
友「いくらだ?」
息子「全部で5万円くらい」
友「よし……ほら」つ(5万円)
友「領収書を忘れずにな」
息子「わかってるよ。 ちょろまかしたりしない」
友「よし」
友「じゃ、行ってくる」
息子「行ってらっしゃい」
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友「ただいま」
息子「お帰り」
息子「今日の夕食は……」
~~~~~~~~~~~~
友「ごちそうさまでした」
息子「ごちそうさま」
友「いつもありがとう」
息子「いいよ、礼なんて……」
友「いや、大事な事だぞ? 感謝するのは」
息子「そうか……そうだよな」
嫁が居なくなって数ヶ月 俺と息子の生活は続いていた。
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そんなある日。
娘が子供を連れて帰って来た。
娘「うわーきったない部屋!」
息子「……これでも片付けたんだけど」
娘「ちょっと私が掃除するよ」
娘「子供の面倒見てて」
息子「へいへい」
孫「おっちゃ! 遊ぼ!」
息子「おじさん、な?」
孫「おっちゃ!」
息子「……もうそれでいいよ」
……そして、突然だったが 息子は、アルバイトを始めた。
寝耳に水で本当に驚いたが……
俺は『そうか。 頑張れよ』とだけ言った。
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友「……よお」
男「友か」
男「しびれを切らして文句を言いに来たんだな?」
友「いや」
男「!」
友「バイトだけど、働き始めたよ。 俺の子供」
男「…………」
男「そうか」
男「良かったな」
友「改めて礼を言う。 ありがとう」
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男「……ちげーよ」
男「たまたま上手くいったんだ」
男「運が良かっただけだよ」
男「あとは……お前の忍耐力がずば抜けて高かっただけ」
友「そうかな……お前の助言がなかったら」
友「ひどい方向で違った結果になったと俺は思う」
男「…………」
男「そうか」
男「そう言ってくれるか」
友「ああ」
男「…………」
友「息子の奴、働き始めたきっかけの事を話してくれてな」
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友「俺の娘の子供……つまり孫を見て」
友「この子に『昼間なのに何でおウチに居るの?』って」
友「質問されたくないからだってさ」
男「ははは」
男「なるほどな……」
友「…………」
友「だから、さ」
友「俺は思うんだ」
男「…………」
友「お前だって、きっかけがあれば……」
友「きっかけさえあれば……」
男「…………」
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男「……かもしれないな」
友「今回のこれだって、お前の経験から導き出されたものだろう?」
友「本当は、変わりたいって、何とかしたいって思ってたんじゃ無いのか?」
男「…………」
男「……そうだな」
男「そうかもしれない」
友「だったら!」
友「今からでも遅くない」
友「変えていかないか? 今を!」
男「…………」
男「もう遅いよ」
男「俺は……歳を取りすぎた」
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友「けど……!」
男「ニートに無理強いをするな」
友「…………」
男「…………」
男「……言い方を変えれば、な」
男「俺はクズに変わる『きっかけ』があったんだ」
友「!?」
男「もう……両親を尊敬できない。 敬えない」
男「そういう『きっかけ』が……な」
友「男……」
友「…………」
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男「だが、もうこれでここに来る必要は無くなった」
男「今度こそ本当にお別れだ」
友「……何でだよ」
友「別にまた来たっていいだろ?」
男「来なくていい」
男「俺はこの『狂った平穏』にいるのがお似合いだ」
男「お前みたいな奴は、関わらな方がいい」
友「……どうしてもか?」
男「どうしてもだ」
友「……そうか」
男「…………」
男「あ……そうだ」
友「え?」
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男「ちょっと待っててくれ」
友「あ、ああ……」
男「…………」
友「…………」
男「よし、こんなものか」
友「男?」
男「これ……」つ(レポート)
友「なんだ? これ?」つ(レポート)
男「ニート流 ニート更生プログラム」
男「その⑧」
友「へえ?」
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プログラム⑧
ニートに出来る範囲で頼み事をする事。
ニートは、基本後ろめたさがあり、自分からは行動しないが 身近で出来る範囲の事なら割とやる。
ただしプログラム①の基準に従い、無理強いはしない事。
何かの役に立てたニートは嬉しく思い、感謝をされればなお喜ぶ。
自分も社会の一部なのだと実感できるだろう。
友「…………」
友「……おい、これって」
男「さあ、もう行け」
男「二度と来るな」
……それが、俺の見た最後の男の姿だった。
この2年後、男は亡くなった。
直接の4因は出血多量による失血4。
末期の胃がんによる吐血で、自分の部屋で亡くなったそうだ。
その一年後に訪ねた時、男の逝去を知るのだけど……
男の両親の顔は信じられないくらい 明るいものだった。
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友「…………」
友(男……お前)
友(本当にこれでよかったのかよ……)
友(こんな最後で……両親にすら悲しまれず、誰にも知られず……)
友(…………)
友(嬉しかったんだろう?)
友(俺の子供が真人間になって……社会に貢献できて)
友(役に立てた自分が嬉しかったんだろう?)
友(…………)
友(やっぱりお前……)
友(いい奴じゃねーかよ……)
友(バカ……やろうが……!!)
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今、日本にいる中年ニートと呼ばれる存在は
約100万人居るという。
その多くは、就職氷河期と呼ばれ、若い頃 出だしにつまづいた世代である。
努力が足りなかった。
仕事を選びすぎ。 自業自得。
それは、多くの人が考える理由であり グウの根も出ないほど正論である。
だが……世の中には『できる人』ばかりではないのも確かだ。
努力も、頑張りも、身体能力も、人並み以下しか 持ち合わせない人も居るのである。 甘えだ、と言える人は、きっと努力家なのだろう。
ろくでなしだ、と言える人は、きっと仕事のできる人なのだろう。
コミュ症だ、と言える人は、きっと世渡りが上手で空気の読める人なのだろう。
ニート生活は、心地の良い不幸のぬるま湯である。
浸かっている時間が長ければ長いほど 極寒の世間へ抜け出すのに時間がかかってしまう。 頭で分かっていても、抜け出せないのだ。
このSSは、余りにもご都合主義で描いている為 絶対に不評を買うであろう事は覚悟している。
でも、それでも、一言だけ読んでくれた皆さんにあえて 更に不評を買う事を覚悟で言っておきたい。
どうか、ニート達をそっとしておいてやってください。
おわり
読んでくださった方、ありがとうございます。
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