【夏の風物詩】四谷怪談の「お岩さん」を考察してみた : ザ・ミステリー体験

1: 2017/4/01 00:02　master: 怪談噺として非常に有名な四谷怪談。

日本人なら誰でも知っているであろうと思うがこの「お岩さん」に纏わる恐怖体験は現代も続いていると云われている。

1: 2017/4/01 00:02　master: この四ツ谷怪談、歌舞伎先者である四代目鶴屋南北の『東海道四ツ谷怪談』の最高傑作とも云われ、非常に人気の高い歌舞伎の演目とされており、現在も毎年開催されている。

『四谷怪談』の主役である田宮　岩はその昔、江戸の四谷左門町に実在した女性をモデルにしたとされている。演目に登場する、「お岩さん」はまぶたがただれ崩れた顔に、髪が抜け落ちざんばら頭。思わず目を背きたくなるような醜い容貌。

江戸時代から現代にかけて、歌舞伎、演劇、小説、文芸、と様々な分野で活躍する日本の「ダークヒロイン」といっても過言ではないお化けが、『四谷怪談』の「お岩さん」なのである。

では、その『四谷怪談』のあらすじを見ていこう。

1: 2017/4/01 00:02　master: 『wikipedia：参照』

元塩冶藩士、四谷左門の娘・岩は夫である伊右衛門の不行状を理由に実家に連れ戻されていた。伊右衛門は左門に岩との復縁を迫るが、過去の悪事（公金横領）を指摘され、辻斬りの仕業に見せかけ左門を札害。

同じ場所で、岩の妹・袖に横恋慕していた薬売り・直助は、袖の夫・佐藤与茂七（実は入れ替った別人）を札害していた。ちょうどそこへ岩と袖がやってきて、左門と与茂七の亡骸を見つける。

嘆く2人に伊右衛門と直助は仇を討ってやると言いくるめる。そして、伊右衛門と岩は復縁し、直助と袖は同居することになる。田宮家に戻った岩は産後の肥立ちが悪く、病がちになったため、伊右衛門は次第に岩を厭うようになる。

高師直の家臣伊藤喜兵衛の孫・梅は伊右衛門に恋をし、喜兵衛も伊右衛門を婿に望む。高家への仕官を条件に承諾した伊右衛門は、按摩の宅悦を脅して岩と不義密通をはたらかせ、それを口実に離縁しようと画策する。

喜兵衛は、産後の肥立ちに良く効くと偽り岩に薬を渡すが、その薬を服用した岩の容貌が崩れ、それを見て脅えた宅悦は伊右衛門の計画を岩に棒露する。岩は悶え苦しみ、置いてあった刀が首に刺さって亡くなり、伊右衛門は家宝の薬を盗んだとがで捕らえていた小仏小平を惨札する。

伊右衛門の手下は岩と小平の亡骸を戸板にくくりつけ、川に流す。伊右衛門は伊藤家の婿に入るが、婚礼の晩に岩の幽霊を見て錯乱し、梅と喜兵衛を札害し、逃亡する。

袖は宅悦に姉の氏を知らされ、仇討ちを条件に直助に身を許すが、そこへ氏んだはずの与茂七が帰ってくる。結果として不貞を働いた袖はあえて与茂七、直助二人の手にかかり亡くなる事となる。

袖の最後の言葉から、直助は袖が実の妹だったことを知り、自害する。

蛇山の庵室で伊右衛門は岩の幽霊と鼠に苦しめられて狂乱する。そこへ真相を知った与茂七が来て、舅と義姉の敵である伊右衛門を討つ。

1: 2017/4/01 00:02　master: といった内容のあらすじであるが、作品によって違いはあるものの、酷い仕打ちを受けて家を追い出され挙句の果てに毒まで盛られ夫の裏切りに憎悪の念を抱いたまま亡くなった悲しい女性の物語であることは確かであろう。

岩の夫である伊右衛門は最後まで岩に決して許される事はなく、亡くなるまでずっとお岩の祟りに苦しめられたのだという。

1: 2017/4/01 00:02　master: 現在でも、東京都新宿区左門町には岩を祀った「田宮神社於岩稲荷」があり、そこに祀られる岩の姿は怪談とは違った姿が伝わっている。

その姿の岩は、傾きかけた武家の復興に力を注いだ貞女として知られており、岩の没後には、その敷地内にあった稲荷と共に田宮神社に祀られて「貞女の鑑」として謳われ、当時の武家の女性たちの間で厚く信仰を集めたと云われているそうだ。

また、様々な姿で描かれれいる「お岩さん」であるが、その一つのモチーフにには提灯にまで化けた姿絵図が葛飾北斎『百物語』にある。

どこまでも追って行き、追い詰めた岩は提灯にまでその姿を現し、醜い姿にした張本人、伊右衛門己にを突き付けたのであろう。