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今回は、「ケンムン」は、「ケンモン」ともいい、奄美諸島一体に伝えられている妖怪の話である。

名越左源太という人物が奄美大島の様々な文化、風習を書き留めた『南島雑話』という謎多き書があり、 それにケンムンは猿のような河童のようなモノとして描かれている。

奄美大島の民話には、「ケンムン」は月と太陽の間から産まれたが、天に置いておけない為、岩礁に 置いてきたと伝わっている。


しかし、この「ケンムン」にタコがいたずらをしに来る為、住まいを海辺ではなくガジュマルやアコウの老木に 移り住む様にしたのだという。


その容姿は子供のように小さく、足が長く髪の毛や体毛などは赤く、口から出る よだれは、青く光るという。

また、猫に近い姿とも云われていたという。

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この「ケンムン」は、性格が非常におとなしい妖怪であり、容姿は頭に皿を持ち人々に相撲を挑んだりするなど 「河童」ととてもよく似た習性があると伝えられている。

相撲を取るときは、皿を割れば勝てるのだが、相撲に負けた「ケンムン」が一声鳴くと何千何万という 「ケンムン」の仲間が山から下りてきて来てしましう為、手加減する必要があるのだという。

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また、「ケンムン」と一緒に海に漁に出ると、大漁に恵まれるが捕獲した魚の目の片方が取られるのだという。

「ケンムン」の棲む木を切り倒したりすると、目を突かれるとも云われており、目に何か特別なこだわりがあるようである。


その上、変化能力も持っており、人や動物に化けるだけでなく植物などにも化けられるらしいのだが、こうなるとタヌキ的にもなってくる。


苦手なものはタコとギブ貝で、それを「ぶん投げるぞオラ！」と言うと逃げて行くという。


また他には、金物が大嫌いなのだという。

アレルギーだろうか。

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この、「ケンムン」は第二次世界大戦前までは、よく目撃されていたらしいのだが、ＧＨＱの命令により奄美のガジュマルの樹が 大量に伐採されてしまい、「ケンムン」の姿が目撃されなくなったという。


ここで、面白い噂がある。

アメリカのＧＨＱ最高司令官のマッカーサーが亡くなった際に

「ケンムンは樹を切られた復讐で、アメリカのマッカーサーを祟りに行ったのだろう」 と当時の島民たちの間で噂になった事があったそうである。

また、この「ケンムン」について奄美市立奄美博物館には、奄美の人々の生活に自然に溶け込んでいる様子が描かれている絵がある。

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おとなしい妖怪と云われる「ケンムン」でさえも棲み処を奪われれば、仕返しに行くのであろうか。

奄美の豊かな大自然の中で暮らしてきた 「ケンムン」は何処に行ってしまったのだろう。 大好きな相撲が取れなくて鳴いているのではないだろうか。


人間がこれまでに行ってきた自然破壊が、「ケンムン」の様なおとなしい妖怪の住まいや生活を脅かし追い詰めてしまった様な気がして 何とも悲しい気持ちになる。

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次回はどんな妖怪の話をしようか。それでは、次回をお楽しみに。

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