bandicam 2017-06-05 14-18-14-513

1: 2017/4/01 00:02 master
学生の時、アパートの隣に住んでたのが、 八畳一間に病気で寝たきりに近いお母さんと高齢のお婆さんと、中学生の娘さんという一家。 とにかくちっちゃくて痩せてて、ちゃんと食べてるのかなって感じの女の子。 けど明るくて、元気に挨拶とかしてくれて。なんとなく仲良くなった。 学校終わったら真っ直ぐ帰ってきて、お母さんお婆さんの身の回りのことやってた。


収入が生活保護しかない状態で、生活はかなり切りつめてる感じだった。 彼女の家、テレビはあったけど冷暖房の家電は無いし、電話も無かった。 制服以外の服二着しか持ってなかったし、いつも制服のスカートだった。 髪もシャンプー使わず石鹸だったみたいだし、自分で切ってた。
1: 2017/4/01 00:02 master
彼女の家の事知ると同情みたいな感情わいてきたけど、なるべく普通に接した。 だんだん親しくなると土日の休みとか俺の部屋に遊びに来るようになって、 宿題見たげたり一緒にゲームしたり、そんな時は笑ったりちょっと怒ったり、ホントにフツーの女の子だった。 けど、ある日バイトから帰ってみるとドアの前で待ってて「○日に絶対返すから千円かしてください」って。


何か様子が変だったから「どうしたの?」って聞いたら顔真っ赤にして、 「…アレ始まっちゃったけど、紙が無くなっちゃったから…あは。」
聞いたこと物凄い後悔したし自分責めたよ…。
2: 2017/04/01 00:02
(´;ω;`) ウゥッ
1: 2017/4/01 00:02 master
千円と言われたけど千円札が無いと言い張って五千円札押しつけた。 夜の八時くらいだったけど、多分コンビニ行ってすぐ戻ってきて、 「残りは○日まで待ってください」って、四千円返しに来た。 返さなくていいよ、なんて言える感じでもなくて。黙って頷いた。


お母さん達には内緒にって言われはしたけど、お母さんはやっぱり気がついてたみたいで。 次の日、体調よかったのか朝ゴミ出ししてるお母さん会った。 「…お世話になってしまって。」って、何度も何度も頭下げて。十八のガキだった俺に。 「俺も色々教えて持ってますから。お互い様ですよ。」 実際ゴミ出しとか分別とかやった事無くて、適当詰め込んで出してたら駄目出しされたりした。
1: 2017/4/01 00:02 master
全く知らない街なので銀行やらスーパーやらの場所も一通り教えて貰った。 友人知人の全くいない街だったので、彼女に教えて貰って凄く助かった。そんな事を話したと思う。 お母さんはやっと少し微笑んでくれて「また遊んでやって下さい」ってまた頭下げて。 立ち話してると、制服姿の彼女が鞄持って降りてきた。 「おはようございます!」って元気な挨拶してくれた。いつもの彼女だった。 「あれ、まだ早くない?」 「今日、日直なんです。」短い会話かわして、送り出した。 「…よく笑うようになってくれたんですよ。」 お母さんが、嬉しそうに言って、また頭下げた。


貸した千円は、ちゃんと言った日に返ってきた。
「あは。ホント助かりました。」恥ずかしそうにそう言って、笑った。
2: 2017/04/01 00:02
えぇ話やがな(;´Д`)
1: 2017/4/01 00:02 master
あの一件以来は結構自分達の事もお互い話すようになって。 「学校慣れた?」と言う俺の問いかけに答えて 「あんまり居場所無いです。」 不用意に聞いた俺に普通の口調で言った時は、またやっちゃったかと。結構へこんだ。


彼女がアパートに越してきたのは小六の夏頃で、慣れる前に中学上がってまたクラス替わって。 四月に中学行き始めてもお母さん体調悪い時期で、学校休んだり途中で帰ったりで。 周囲と打ち解けるタイミングを完全に逸して、浮いてる。それ聞いてまた、へこんで。
1: 2017/4/01 00:02 master
友達とか知り合いがいなくて、寂しくて俺と接するようになったんだろうと思った。 授業すんだら真っ直ぐ家帰ってきて、洗濯とか炊事とかこなして、暇出来たらドア叩いて。 頭悪いなりに勉強しようとして手当たり次第に乱読してたから文庫本がたくさんあった。


「続き読んでもいいですか?」って、静かに小説読んでる事が多くて。 持って帰っていいよと言っても、汚したら大変だしとか言って必ず俺の部屋で読む。 飲む物とかお菓子進めても、缶一本とか一袋とかじゃ遠慮して受け取らなくて、 ボトルあけたやつ分けるとか、封切ったやつ分けるとかしてやっと食べてくれて。 それきちんとお母さんお婆さんに報告するもんだから会うたびにお礼言われて、困った。
1: 2017/4/01 00:02 master
お返しにとお母さんに色々ご馳走になった。 タイ米のチャーハンってこんなに美味い物かと驚いて、レシピ聞いたけど普通の物で。 タイ米買ってきて暫くそればっかり作って食べてたけどどうしても近づけなくて、


彼女に聞いたら「私同じに作れないから、また食べに来てください。」って返事で。 いいのかな、って思いながらも何度も食べさせて貰った。 お礼言っても「娘がお世話になってますから。」いつもそう言ってくれて。 色々気にかけてくれてて。彼女通じて何やかやと教わることも多くて。 世話になりっぱなしの状態だった。
1: 2017/4/01 00:02 master
そのお母さんが最近ちょっと元気ないな、とか思っていた矢先の事。 俺と彼女が学校に行ってるとき、お母さんは動けなくなった。 学校の名前を覚えていたお婆さんが、俺にも電話してくれて。病院駆けつけて。 お婆さんは救急車を呼んだが、呼ぶかどうか迷って時間がたってしまったと、謝っていた。


多臓器不全。変化に気がつかない訳がない。何で放置したのか。 医者が、叫ぶように言った言葉。おもわず怒鳴りつけそうになった。 すいませんでした。」静かにそう言った彼女の方が、俺より大人だった。


即入院。集中治療。身内を呼んでおくように。医者はそう言っただけ。 完全に思考停止して。とにかく俺の手におえる事態じゃなくなって。 困り果てて、親父に電話をした。 返事は「今から行く。」それだけ。 平日の昼に仕事抜けて、一時間ちょっと高速飛ばしてきてくれた親父。
1: 2017/4/01 00:02 master
お母さんとは、俺が入居したときの挨拶で会っただけの間柄。 「お世話になったんだろ。俺がお世話になったのと同じだ。」理由はそれだけ。 親父はまだ話が出来たお母さんと、二人で少し話して。硬い顔して出てきた。


お婆さんが限界っぽかったので、親父が送っていくことになった。 彼女は残ると言ったので、俺も残る事にした。 出来る事はないけど、彼女を一人には出来ないと、俺なりに思った。 薬とか点滴とかの影響で眠ってるお母さんのベット脇にあったイスに二人で座って。


じっとお母さんの顔見てる彼女の横で、俺が泣きそうで。一生懸命で我慢した。 彼女が泣いてないのに泣くわけにはいかなかったから、なんとか我慢できた。
1: 2017/4/01 00:02 master
お母さんは、入院して三日目に亡くなった。
あっけなかった。 享年三十四歳で。そんなに若かったのかと思うと、全然納得がいかなかった。


葬式の手配とか役所でやる手続きとか、そんな物もやらなくちゃならないけど、 お婆さんも混乱してて、俺も彼女も、やった事もなくて戸惑って。 また親父に電話をした。 「そうか。」それだけ言って、また来てくれて。 半泣きで礼を言ったらビンタが飛んできた。 「あの子の前でその面するなよ」と。 親父は、色々な事を一つ一つ処理していってくれた。頼もしかった。
1: 2017/4/01 00:02 master
葬式、火葬。現実味が無いまま淡々と進んでいって。 お骨になったお母さん見ても、まだ全然、これ何かの間違いだろって感じで。 お婆さんは、赤い目して口引き結んで。それでもしっかり背筋伸ばしてて。 彼女は涙をみせなかったけど、表情無くしてて。ずっと俺の手、痛いくらい握ってて。


時々、彼女に視線落とした俺と目があって。小さく頷いて。 全部の事が済むと、親父は俺達アパートに送って、仕事の為にすぐ帰って俺は一人、 自分の部屋でただ座ってた。呆然と。頭が全然、動かなかった。


夜中になって、彼女がドア叩いた。Tシャツ、ジャージ姿。すぐ部屋に入れた。 彼女は着たままだった俺の喪服掴んで。それでもまだ笑顔作ってて。 「あは。やっぱ、おばーちゃんの前じゃ、泣いちゃ駄目かなって。」 ぼろぼろ、涙こぼして。顔、胸にくっつけて。
「お、お、おにーちゃんなら、ちょっとなら、許して、くれる、かな、って。」 やっと、声あげて泣いた。泣いてくれた。これで俺も泣いていいと思った。


結局俺のした事は、一緒に泣いた事。それだけ。情けなかった。
2: 2017/04/01 00:02
マジ泣いた
ドラマとか見てもほとんど泣かないのに
2: 2017/04/01 00:02
マジ泣いた。゚(゚´Д`゚)゚。
2: 2017/04/01 00:02
救いがない話はよんでてつらいよね・・・
>1はよくやったよ。おまいにとってもその娘にとっても 一生忘れられない出来事だよな(´;ω;`) ウゥッ
1: 2017/4/01 00:02 master
あの時以来、「お兄ちゃん」と呼ばれるようになった。 それまでは名字にさん付け。それがいきなり。 兄弟いないから呼ばれたこと無いし、相手は女の子だしで、気恥ずかしくて。 やめてと言った事もあったけど「ダメですか?」と言われると、ダメとは言えなくて。


お婆さんに言わせると「甘えたかろうから」と、そう言う事らしかった。 お婆さんは葬式以来、俺らに全く弱み見せなくてなって。何か気が張った感じで。 家の事を彼女にさせずに、全部自分がやるようになって、手伝おうとすると、追い払う。
1: 2017/4/01 00:02 master
内職まで始めて。組み立てとか、細かな手仕事。俺や彼女が手を出すと、怒る。 今思えば、一日中動いてる事で、あれこれ考える時間を減らしてたんだと思う。 平日は学校のあと、土日はバイトから帰って一息した頃に、必ず彼女がドア叩く。 話してたり、本読んでたり、たまにゲームしたり、やってる事は同じ。


ただ、時々ちょっと沈んだ感じで。言葉少なくなって。妙に距離が近くて。 やたらくっついてきたり、服とか腕とか持ったり掴まって離れなくなったり。 目が潤み始めたりすると、俺までそうなって。二人で我慢したり。しきれなかったり。
1: 2017/4/01 00:02 master
単に甘えてるだけって時もあって、くっついたり触れたりで俺の反応見てる感じで。 まぁいいかと言う感じで許してたら突然、膝に乗っかられた。かなり慌てた。 「こら。」 「ちょっとだけ。」 ちっちゃくて肉の薄い彼女。軽さに驚いた。 俺の胸に背中くっつけて。身体預けて。ぽつりと言った。


「…お父さんみたい。」 「どういう意味?」つい、聞いた。 間を置いて 「こんな感じだったのかなって思うんです。」そう答えて、微笑んで。


彼女にはお父さんの記憶が無い。言葉に詰まって。頭撫でて、ごまかした。 「あは。多分、こんな感じです。」くすぐったそうにしながらそう言った。 彼女はこの事もお婆さんに話していた。からかわれて、ちょっと困った。
1: 2017/4/01 00:02 master
夏休みに入ってからは俺はバイト。彼女はお婆さんの許しを得て内職の手伝い。 友達とかおかんとか、地元帰って来いと言う誘いもあったけど、帰らなかった。 彼女とお婆さんと、気になってしょうがなくて。 暑い盛りに、お母さんの四十九日。納骨に行く事になった。アパートから車で一時間半くらい。 親父の車に俺と親父と彼女とお婆さんとで、車酔いする彼女を気遣いながらゆっくり、 休み休みで無事にお寺ついて。納骨と供養。お母さんを、彼女のお父さんの隣に葬って。


「寂しくないですよね。お母さん。」そう聞いた彼女に、頷くしかできなかった。 お経の最中、彼女は俺の手握ってたけど、そんな強い力じゃなかった。 俺は俺で、お墓見るとやっと少し現実味を感じて、もう納得しなきゃいけないなと。 一段落と言うか区切り。気持ちの整理みたいな物をきちんとしないといけない。そう思った。 家帰ると、彼女は用事済むといつもさっさと帰ってしまう親父見送って、すぐ部屋来て。
1: 2017/4/01 00:02 master
俺のすぐ前で正座して。何かちょっとかしこまって。
ぺこっと頭下げて。
「色々ありがとうございました。」
「…色々は、親父の方。」 つい口に出た
彼女がちょっと困った顔になって、しまったと思った。
「えっと。じゃあ、一緒にいてくれて、ありがとうございました。」 ちょっと考えて言葉選んで言ってから、続けた。


「おばーちゃんの前じゃ、強がっちゃうから、思いっきりとか泣けなかったと思うし、  お兄ちゃんいてくれたから、頑張れたし。あは。いっぱい、甘えちゃったけど。」 彼女は照れくさそうにしながら、ちょっと小さな声で言った。
「また、甘えていいですか?」
「うん。」
「いっぱい?」


頷いたら「お願いします。」と言って、久しぶりに思いっきりの笑顔見せてくれて。 この子が笑ってくれるんならそれでいいや。そう思う事にした。
2: 2017/04/01 00:02
貴方こそ男の中の男です!
1: 2017/4/01 00:02 master
お母さんがいない生活にだんだん慣れて。慣れるしかなくて。 彼女とお婆さんも、少なくとも表面上はそう見えて。彼女も沈む事が少なくなっていって。 寒くなってくる頃にやっと、それなりの平穏と言うか普通の日々を取り戻しかけてたと思う。


お婆さんの内職は保護を受けてると働いた分全額は貰えなくて、そんなに収入は増えなくて。 けど彼女とお婆さんにとっては大きな額で、食費でギリギリな生活は脱してた感じ。 でもその年初めて息が白くなった日でも暖房とか使って無くて。と言うか、無くて。 学校帰ってきて内職中のお婆さんとこ顔出したら何か薄物を重ね着してて、寒そうで。
1: 2017/4/01 00:02 master
慣れてるとか言われても心配で、使ってなかった綿入りの半纏持っていった。 あげると言うと絶対に断るだろうから貸すと言って押しつけたら、喜んでくれて。 でも「あの子、やきもちやかないかね。」とか心配してて、実際そうなったみたいで。 帰ってきた彼女はいつも通りにドア叩いて、開いてるって言ったら黙って入ってきて。


すぐ俺の横来て、座ったと思ったら黙ってじーっ…とこっち見つめてて。 その目で暫く固まってたら、わしっ、と腕掴んで。ちょっと揺さぶられて。 「おばーちゃんにだけですか?」って口尖らせて。その表情がやたら子供っぽくて。 それまで年や背格好の割にはしっかりしてて大人びた印象だったから、ちょっと意外で。
1: 2017/4/01 00:02 master
「何か貸そうか?」って言ったら 「これ。」って着てたパーカー引っ張られて。 「これ?」
「うん。」
「これでいいの?」
「オレンジだもん。」物言いまで子供っぽくて。
「洗って貸すよ。」 「今。すぐ。」せがまれて、その場で脱いで。すぐ着られて。


ガタイはそこそこある俺にも大きめのパーカー、よく着てた部屋着で、くたびれてたやつ。 彼女にはかなり大きくて、丈も長くてブカブカで。立つと膝くらいまで届いて。 袖に手入れたまま握って。体操座りで足すっぽり入れて。こっち見上げて。 「あは。やっぱり。」もたれかかってきて。


「ん?」 「あったかいです。」満足そうに笑って。 とにかく可愛くて。 彼女が笑ってると安心してしまう自分に気付いた。
1: 2017/4/01 00:02 master
十二月に入ってすぐ。
「冬休み、どうするんですか?」彼女におずおずと聞かれて。 反射的に「忙しいから帰らない。」とか適当言って、年末年始も家に帰らない事に決めた。 結局バイト三昧。おかんも婆ちゃんも、親父に聞いて事情を知ってたので、 帰らないと伝えても特にコメントは無く。何か送っとくから、と言うだけだった。


餅とか種々の食材とか実家では冬一番の御馳走な鴨とか、多量に送られてきて。 お裾分けしろと言う事だろうなと理解して、 彼女に「鍋やろ」って言って。 二人で土鍋とコンロ買いに行ったホームセンターで、クラスの女の子と出くわして。
「あー、いらっしゃいませ。」
「バイト?」
「うん。詳しい事は明日聞くから。」


非常に面倒な事になったと思いながら、買い物済ませて帰って。 彼女とお婆さんと鍋やって。 暑いくらいに体の温まる鴨、彼女もお婆さんも驚いたみたいで、喜んでくれて。嬉しくて。 残った汁保存する為にさましてたら、パーカー着た彼女が横に来て、足入れて座って。 何か妙に近くて。彼女の髪の匂いで鼻くすぐられるのを、その時初めて意識したと思う。
1: 2017/4/01 00:02 master
「あのー。今日会った人って。」
「学校の友達。」
「ただの友達?」
「ただの友達。」
「じゃ、詳しい事ってなんですか?」
「俺との関係みたいな事じゃないの。」
「あ。私ですか?」
「説明、しにくいな。」
「ですよね。」
「何て言っとこう。」
「あは。カノジョじゃダメですか?」 視線向けると、ほてった顔して笑う彼女がいて。 「で、いいの?」冷静装って聞いたら 「え、いいんですか?」って、ちょっと驚いてて。
「いいよ。」
「お、お願いします。」そんな事になってしまって。かなり、うろたえた。 彼女はかなり昂揚した感じで。それ抑えたつもりか、囁くような声で、妙な事言いだして。 「あ、えっ、でも、カノジョっぽい事とか、ゼンゼンわかんないんですけど、いいですか?」 「カノジョっぽい事って?」意味合いが微妙そうで聞いたら、かぁっと耳まで真っ赤になって。 ぺしぺし肩叩かれて。 フードかぶって。膝抱いた腕におでこくっつけてその顔隠して。
1: 2017/4/01 00:02 master
「おばーちゃんにはナイショですよ。」
「内緒なんだ。」
「絶っ…対ですよ。」
「うん。」 時々顔あげて「赤いですか?」って聞いて。なかなか冷めなくて。ちょっと帰りが遅くなった。 次の日登校してみたらクラスの三割くらいが尋問態勢だった。 普通にカノジョだと答えた。
「えー、潔すぎてつまんない。」 「否定しねぇといじれねぇじゃん。」勝手な連中だと思った。
2: 2017/04/01 00:02
おいおい!なんだよ この展開!良すぎんぞーーー!!
ヤベーヨ ヤベーヨ~ (ボビーオロゴン風)
1: 2017/4/01 00:02 master
『カノジョ』と言う事になったとは言え、俺と彼女に急な変化がある訳ではなくて。 とりあえず一緒にいて、同じ時間過ごしてた感じ。 それまでと何ら変わらなくて。 彼女が宿題持ってきて、一緒にやってたりで。 一人っ子だからそんな経験無くて、新鮮で。


俺は十二月半ばに冬休み入って、彼女はクリスマス直前から冬休みに入る。 夏に彼女が誕生日迎えた時はそれどころでは無くて、今回は何かプレゼントでもと考えて。 「欲しがってる物とかありますか?」ってお婆さんに聞いたら「着る物かねぇ。」って答えで。 じゃあそれで、みたいな事言ったら 「そんな世話になっていいのかねぇ。」って心配されて。
「いいんじゃないっすか、クリスマスなんだし。」とか訳の分からない事、言った気がする。
1: 2017/4/01 00:02 master
でもいざ買うとなると俺一人で買いには行けなくて。クラスの女の子達に助け求めて。 「一緒に買いに行かないの?」 「それだと多分、遠慮するから。」泣き入れて。 頭下げて。 昼おごらされて。彼女の事聞かれて。動揺しまくって。からかわれて。反論して墓穴掘って。 いかついとか怖そうとか、そう思われてたらしい俺のキャラは、その時完全に壊れた。


結局、普通に着られる感じの物って事でいくつか選んで貰って、俺が最終的に決めて。 ハーフコートとフリースとジーンズとで、たしか四万くらい。 安い方、だったらしい。
1: 2017/4/01 00:02 master
買って帰って。押入に隠して。彼女が押入開けたりする事は無いんだけど、近づくと警戒したりで。 クリスマスイブにはお婆さんがケーキ買ってくれてて、三人して食べて。 タイミングとか考えるのも面倒だったんで、その時彼女に普通に「これ。」って渡した。
「いいんですか?」
「うん。」 「ありがとうございます。」そんなあっさりした反応で。
部屋帰って少し時間があって。外したっぽい。そんな風に考え出した頃にドア叩いて。 ドア開けたら、雪舞ってる中に上気した顔の彼女がいて。 全部、着てくれてて。 身長大体このくらい、で決めたサイズ、ちょっと大きめで。それが可愛くて。顔緩んだ。 彼女の髪に乗った雪払って。
「気に入った?」聞いたら何度も頷いてくれて。 やっと安心して。 部屋でコート脱いで、オレンジのフリースとジーンズ姿になった彼女。 微妙に照れてて。
1: 2017/4/01 00:02 master
「どしたの?」
「こういうの、初めてだから。何か。」はにかんで、視線落として。
「クリスマスとかも、久しぶりだから。」ちょっと湿った声になって、慌てた。
頭に手乗っけて。 「泣くなー。」先に言って。
でもちょっと涙流れた頬、親指で払って。 「泣くの禁止。」 「嬉しいからだもん。」 「それでも禁止。」 「…はい。」無理矢理言わせて。 よし。とばかりに髪撫でてたら、飛びつかれて。不意突かれて、受け止めたけど、よろけて。 抱き締められて。 「あは。もう少し。」が何度もあって。なかなか離れてくれなくて、困った。 お婆さんにも、一日遅れですいませんと言って、フリースと膝掛けを渡した。
「私にまでかい?」
「クリスマスですから。」笑って受け取ってくれて。喜んでくれた。
2: 2017/04/01 00:02
乙。・゚・(ノД`)・゚・。 おばあさん萌え
1: 2017/4/01 00:02 master
年明けからの俺は、毎日必氏だった。 施設実習が始まったから。 医療系専門学校の介護福祉科。ボランティアでの単位取得と実習の連続で。 一月中頃から二週間のボランティア。 そしてその直後、二月の初旬に後期の定期試験。


解らない事だらけの現場。頭に入らない試験勉強。かなりきつい状態で。 受け入れ先は精神科の専門病院で 隔離棟入ると、身の危険感じるような状況もあって。


人間相手の事だから、腹立ったり、いらつく事もあって。切れかかったりって事もあって。 でも彼女の前で辛さや怒りを見せる訳にはいかなくて。家帰るまでに、何とか顔を元に戻して。 家帰って彼女が来てくれて。 「お帰りなさい。」その一言でやっと、和んで。緩んで。
1: 2017/4/01 00:02 master
実習記録の整理してると、少し距離おいて、お互いの視界に入る所に座ってて。 壁もたれて、小説とか読んでて。ふと顔上げると、目があったりで。 多分、様子伺ってて。


記録の整理して。試験勉強して。一段落。ノート閉じたら、近寄ってきて。横座って。 話したり。話さなかったり。ぼー…っとテレビ見てたり。 特に何するでなく時間が過ぎて。 そんな何でもない時間が俺には大事な時間で。 その時間を彼女が作ってくれてて。 おかげで実習何とか乗り切って、試験の結果も出て。何とか踏みとどまる。そんな感じで。


進級が確定した時は、虚脱して。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよね?」何度も聞かれて。
「大丈夫。」何度も答えて。 結局心配掛けてるなと、微妙にへこんだ。 けどとりあえずの不安が去って、補修も無いし出席も足りてるしで気楽に学校も行けて。 ちょっと抜けた感じの生活。俺は朝一の講義を取る必要が無くて、夜更かししてた。
1: 2017/4/01 00:02 master
いつもは十時くらいには帰る彼女が、その日は帰らなくて。横で静かに本読み続けてて。 ちょっと眠そうにしながら、時々、時計気にして。十二時回ったところで、立った。 「あ、帰る?」 「まだ。」壁に掛けてあったコートから何か、引っ張り出して。 横、来て。
「はい。」 「何?」
「チョコ。」 「え?」
「十四日になったから。」 「え?」
青い包装紙の箱受け取ってもまだ、合点がいかなくて。時計指さされて。確認して。 「二月十四日。」 「あ。」やっと理解して。ちょっと何か、固まって。 「カノジョですから。」 貰っていいの、とか聞く前に自分で言って。笑って。
「これで私が一番、先。」 「一番?」
「お兄ちゃんが誰かに貰うかも知れないから。」 「これ、後先って関係ある?」 「あは。なんかやだから。」また、笑って。
彼女がそう思うならそうなのかなと思って。 「ありがと。」どうにかお礼言って。 「ちゃんとお返しするから。」そう言ったけどちょっと首振って。
1: 2017/4/01 00:02 master
「聞いてもいいですか?」 「何?」
「答えてくれますか?」 「だから、何?」
「答えてくれるんなら、聞きます。」 「答える。」
「じゃ、聞きます。」 ちょっと間置いて。「私の事、好きですか?」探るように、聞かれて。 「…うん、好き、だし、大切。」急激に乾いた喉からやっと声絞り出して。大きく息吐いて。 何も言わずに、肩に頭、乗っけてきて。

手、探られて。 握って。汗ばんだ手が凄く暖かで。 お互い言葉出なくて。何時だったか忘れたけど彼女の「あ。寝なきゃ。」って声に頷いて。 彼女が部屋の中入るまで見送って。 部屋で一人、チョコの箱見てて。開けられなくて


冷蔵庫にしまい込んで。色々考え初めて。頭グツグツ煮えて。殆ど寝られず学校行って。 学校の女の子は俺にはカノジョがいると知ってたので、彼女が心配したような事は無かった。
1: 2017/4/01 00:02 master
その時貰ったチョコは何か勿体なくて、食べられなくて。封も切れなくて。 何日か冷蔵庫でご本尊のような扱いを受けていたのを学校から帰った彼女に発見されて。 怒って珍しく大声で「何で!!」そう言ったきり部屋の隅座って、涙目になって。 慌てて謝りながら彼女の目の前で食べて。その後も無視られながらの弁解に一生懸命で。


視線くれるのにもかなり時間かかって。口開いてくれたのは十時回った頃で。
「マジ何でもするから、許して。」 「…何でも?」
「出来る事なら。」 「本当にですか?」
「する。するから。」 「じゃ、もう一回聞きますから答えてください。」
「え?」 「私の事、好きですか?」まだ責めるような目で。
一瞬躊躇したけど同じに答えて。 「…好き。だし、大切。」その一言で彼女は頷いて、やっと顔緩めてくれて。 「あは。安心しました。」その笑顔でまた、とんでもなく悪い事をしたような気分になって。
1: 2017/4/01 00:02 master
思わず謝ったら「もう許してます。」そう言って、立って横来て。腕持って。
「また今度聞きます。」 「え?」
「言って貰ったら嬉しいから。」ちょっと顔ほてらせて。 頷いたら、やたら嬉しそうに笑って。またその顔で自分が悪い事した気分になった。 いらないとは言われたけど、ホワイトデーには一応、クッキーを渡した。 彼女は「食べなかったら怒りますよね?」 そんな事言って。悪戯っぽく笑って。
「何でもするって言うまで許さない。」そう答えたら「あは。ちょっと怖い。」 何が怖いのか聞こうかと思ったけど、既にちょっと赤かったから、やめた。
2: 2017/04/01 00:02
『あは…』に萌え氏にそうです(ノД`)
2: 2017/04/01 00:02
なんつー綺麗な物語だ
1: 2017/4/01 00:02 master
進級して二年生になった彼女は、お婆さんと毎日のように進路の事話していて。 お婆さんは、高校くらいは出ていないと仕事探しにも苦労するのではと心配していて。 彼女が小学生の頃から中学出たら働くと言っているのを、なんとか説得してと頼まれて。 俺の言う事なら聞くかもしれないと言われて、その気になって。軽く引き受けた。


それとなく色々話振ったけど、頑固で。とにかく早く中学出て働きたいとしか言わなくて。 高校は出るのが普通。俺はそう思い込んでいて。口にはしないけど、変だとまで思ってて。 焦る事無いとか、しっかり考えてからとか、解ったような事言い過ぎたかもしれないし、 他にも何か気に障る事があったのかもしれない。けど直接の引き金は、俺の無神経な一言で。
「早く働きたい理由って何?」それで、彼女の顔からすっと表情消えて。
「…おかね、ないからですけど。」

抑揚の無い声で。


冷たくて。細い針のような言葉で。
1: 2017/4/01 00:02 master
真っ直ぐ見据えられて。返す言葉が無くて。


思わず目をそらしたら、彼女も視線落として。 お互いそのまま、動けなくて。彼女が黙って帰ろうとしても、言葉をかけられなくて。 それ以来、進学とか就職の話は、俺には出来なくなって。


お婆さんには謝って。 お婆さんも、彼女が言った言葉を聞くと、辛そうで。言葉無くしてて。謝られて。 まだ気変りがあるかもしれないから、とりあえず触れない。そんな感じで、先送りになって。 俺が手を出せる事じゃなくて。その力も無くて。


情けなくて。浮ついていた気持ちも吹き飛んで。 彼女が毎日、俺の部屋に来るのは変わらなかったけど、一緒にいても空気重くて。 会話しててもぎこちなくて。謝っていいのか、それも解らなくて。部屋に居づらくて。


なのに家帰った時、彼女が来てくれると安心して。そんな日が続いて。 でも帰った時、通路にいた彼女が普通に「お帰りなさい。」そう言ってくれて。 何日かぶりの事で。俺もなんとか「ただいま。」言えて。笑ってくれて。 一緒に部屋入って。定位置にいつも通り座って。それでやっと、重さが少し散った気がした。
1: 2017/4/01 00:02 master
家の事は彼女が置かれている現実で。 多分、色々と考える事が多い時期で。


あの時はまだ、俺みたいな他人に踏み込まれるのは嫌だったんだと思う。 明確に一線を引かれて。その事に関してはそれ以上、知る事も拒否された感じで。 どうにかしたくても、仕送りとバイトで生活させて貰ってた身ではどうにも出来なくて。 まずちゃんと資格取って卒業して就職しよう。


殆ど考えもしないで、そう結論出して。 職に就いたからと言って、何か出来る事があるのかどうかは解らなかったけど、 とりあえずそれに集中しようと言う、ほとんど逃避のような状態で、そう決めた。 半月くらいすると、彼女とは元通りというかそれまで通り。表面的にはそう戻ることが出来て。
1: 2017/4/01 00:02 master
俺がのんびりしてる時は必ず横にいて。色々話して。よく笑って。時々甘えて。 たまに怒って、拗ねて。許して貰うのに時間かかって。でもそれも、甘えてるのと一緒で。


結局は、ちょっとじゃれついてきたり、長居する口実。 それはそれで、可愛くて。 学校か実習行ってバイトして帰って、彼女がいて。その繰り返しの毎日はとにかく早く過ぎて。 春先からもう就職活動の準備初めて、色々やってるうちに彼女の誕生日が近づいて。


また何か、とは思ったけど今の状況ではどうなんだろうとそんな事考えてる時。 不意に「お願いしていいですか。」なんて言いだして。
それまでには無くて。ちょっと意外で。
「何?」 「行きたい所があります。」
「どこ?」聞くと、お母さんのお墓で。

命日には行きたい。 けどお婆さんは「何度も泣きたくない。」と渋ってて。 電車賃は貰ったけど一人で行くのは初めてだから不安で。いつ言おうか迷ってた。 そんな事言われて。「行こ。」それだけ言うと、「よかった。」って、笑ってくれて。 バイトの出勤表二人で見て、行く日はすぐに決まった。六月中旬の土曜。何日か前倒しだった。
1: 2017/4/01 00:02 master
朝少し早起きして。顔剃って、風呂入って。
何となく、儀式の前のような、そんな気がして。普通の格好だけど身綺麗にはした。 約束の時間にドア叩いた彼女は、無地のTシャツにジーンズ姿で。どちらも少し、緩めで。 そのせいか、いつもより少し小さく見えて。髪も、その日は結んでなくて。 肩口までの髪、サラサラ遊ばせてて。そのせいもあってか、少し幼く見えた。

「おはよ。」 「おはようございます。」そう言っただけで、すぐ出発して。 駅まで歩いて、朝八時四十何分だったかの電車に乗って、席取れて。 電車の中では、彼女は酔うのを怖がって、殆ど目閉じて、眠ってしまおうとしてて。 邪魔しない方がいいんだろうなと思って、話しかけるのはやめておいた。
1: 2017/4/01 00:02 master
特急乗って一時間半くらい。少し待って乗り換えて、汽車で四十五分くらい。 窓の外の景色がだんだん山奥になっていって。山と川と崖ばかりの風景になって。 お母さんの納骨の時は、車の外なんか殆ど見えて無くて、こんな所だったんだって驚いて。


景色は確かに綺麗なんだけど、線路沿いの民家がかなりまばらで。何か寂しげで。 降りた駅も無人だったし、駅すぐ横のバス停、日に三つとか四つしか時刻書いて無くて。


人通りとか全く無くて。 これは確かに、一人で来るのはちょっと不安かなと思った。 道は彼女が覚えていて、まっすぐお寺まで行って。お墓の前立つと、妙に緊張して。 作法とか知らなくて。見よう見まねでお墓洗って。水取りかえて。少し、手合わせて。 彼女がそのまま動かないのを、半歩くらい後ろで待ってて。
振り返った彼女は、笑ってて。
「帰る。」 「もういいの?」
「泣くかも。」 「いいよ。」
「禁止だもん。」 言い終わるより早く、歩き出してて。
何度か振り返って、お寺出て。駅戻った。 帰りの汽車まで一時間半待ちくらいで。屋根はあっても直射日光浴びまくりで。 時間潰すのと、暑さをちょっとでも避けるために、涼しいとこ探して散歩する事になって。 木が茂ってる林道みたいな所でベンチ見つけて座ると、彼女が突然、話し出した。
1: 2017/4/01 00:02 master
ここがお婆さんの里で、お母さんが育った所でもあると言う事。 彼女のお爺さんも若い頃に亡くなっていて、お婆さんが女手一つで育てたと言う事。


お父さんとお母さんはご近所さんで、二十一歳と十七歳で結婚したと言う事。 お母さんが二十歳の時に、彼女が生まれて、名前はお父さんが決めたと言う事。
彼女も、小さい頃はこの町に住んでいたと言う事
。勿論全然覚えてないと言う事。
お父さんは、林業と運送をしてたと言う事。
二十七歳の時、事故で亡くなったと言う事。 車両や道具の借金(ローン?)が払えなくなって、自己破産して三人でこの町を出たと言う事。
1: 2017/4/01 00:02 master
お父さんが亡くなると、お父さんの家とは縁が切れてしまったとしまったと言う事。 お母さんが元気な頃は、期間工として精密機械とかの工場で働いていたと言う事。 工場の寮に三人で住んで、工場が変わるたびに引っ越しと転校をしたと言う事。


お母さんが倒れて、その時いた工場の寮にいられなくなったのが、今の町だと言う事。 アパートを借りたら、お母さんの貯金はもう殆ど残っていなかったと言う事。 お婆さんが働いたけど、お婆さんも体を悪くしてすぐ辞める事になってしまったと言う事。 蓄えが無くなって、生活保護を受けるようになって、今のアパート移ったと言う事。 福祉課の担当さんの尽力と大家さんの厚意で、敷金礼金なんてのも無かったと言う事。
1: 2017/4/01 00:02 master
誰が何を言っても、お母さんは絶対に病院に行かなかったと言う事。 彼女を一時的に施設に預けては、と言う話が出た時、お母さんが拒絶したと言う事。 お母さんが時々アルバムの写真を見ながら、お父さんの事を話してくれたと言う事。


その時のお母さんは本当に楽しそうだったと言う事。
「楽しい思い出がたくさんあるの。」口癖のように、そう言っていたと言う事。
「楽しい時があるからね。」そう言って抱き締めてくれたと言う事。


お母さんと最後に話した時「お兄ちゃんにお礼、言ってね。」そう言っていたと言う事。 記憶と聞いた話を彼女の中で整理しながら、ゆっくり話してくれた。 何で話すのか。どんな顔してればいいのか。解らなくて。彼女の方に視線、向けられなかった。
1: 2017/4/01 00:02 master
一度話すの止めて、少しして。 「…お母さん、羨ましかったです。」ぽつんと言って。 「楽しい事とか、無かったから。ホントかなって。」そのまま、暫く黙って。 思わず、肩に手乗っけたら、頷いて。 下ろそうとした手、取られた。

「あは。ホントだったんですけどね。」木漏れ日に照らされた笑顔が、眩しくて。 「優しくして貰って、始めて嬉しかったし。」
「…始めて?」 「みんな、お母さんのついでだったから。」またちょっと顔曇らせて。 お母さんは綺麗な人だったから、下心持って近付く男性もいたみたいで。 家の状況知ると、親切めかして経済的な援助を持ちかけたり、お金でつろうとしたり。 彼女に対しても何か買ってくれたり食べさせてくれたりって事もあったけど、 お母さんが交際を断るとぷっつり来なくなったり、怒ったり。仕事首になったりもして。
1: 2017/4/01 00:02 master
そんな事が何回かあると、彼女も幼いながらに嫌悪感みたいなものを感じて。 小学校の時の優しい先生も、お母さん前にして話す時といつもとは違ってて。 その何か変な感覚が、凄く嫌で。男の人ってみんなそうなのかなと、思ったらしくて。


男性に優しくされたり、親切にされたりって事自体を警戒するようになった。 でも何故か俺には、その警戒感を感じなかったらしくて。あれ?って感じで普通に話せて。 お母さんに対しても彼女に対しても、普通。この人は大丈夫。そう思ったらしくて。 そこまで話して、彼女は俺見上げて。少し顔緩めたかと思ったら、くいくい手引いて。
「ねぇ。お兄ちゃんがやさしいのって、何でですか?」突然そんな事言い出して。 「何で?」
「ん?」 「何で優しいんですか?」
「んー?」 「なんで?」
「んー…?」 だんだん、声に甘えが含まれてきてて。
「なんで、ですか?」上目遣いで。揺さぶられて。 あれこれ考えるのも面倒だし、思い浮かばないし。だったらもういいやって感じで。
「好きだから。」 「…あは。」 「
これでいい?」返事せずに、腕に掴まって。 結局言わされたというか。誘導されたというか。 またか、って感じではあったけど、 重い話の後だったから、それがなんとなく和らいで、助かった。
1: 2017/4/01 00:02 master
「何か飲む?」殆ど一時間話詰めの彼女気遣って言ったら、頷いて。 駅帰る道で自販機探して。駅前でやっと見つけて。 小銭入れて、彼女がお茶のボタン押して。 「半分ください。」って俺に渡して。 何気なく半分飲んで、返して。 彼女、くーっと全部飲み干してから「あは。関節キス。」とか言い出して。自分で照れて。
「ごめん。」つい言って。 「大丈夫です。」顔ほてらせて。 はにかんで。何故か肩叩かれて。 「大丈夫ですから。」念押されて。うつむいて顔上げなくなって。思わず、撫でた。


帰りの汽車に乗って。やたらくっついてくる彼女がいて。周囲に目が気になって。 来る時と同じく、やっぱり目閉じて眠ろうとしてるんだけど、完全に甘える態勢で。 周りに人いるのに、部屋にいる時と同じ位置。左斜め下。距離ゼロ。密着。 時々肩に頭とか額当てて。見上げて。また目閉じて。ずっとそんな感じで。 髪の匂いがやたら気になって。彼女に対しても、周囲に対しても、平静を装うのに苦労して。
1: 2017/4/01 00:02 master
それでも、彼女が酔いもせず、どこか心地よさそうにしてるのをみてると、安心して。 今なら聞けるかなと思って 「誕生日、何か欲しい?」彼女は目開けて、見上げて。少し考えて。 俺がしてた腕時計、触って。 「これ。」その時してたのは、黒のGショックで。 高校の時に凝ってた迷彩柄に合わせて買った、ごつくて無骨な、大きいやつ。 どう見ても彼女には不釣り合いだと思ったけど、欲しいならって感じで。 「探すよ。」彼女、首振って。
「これがいい。」してるそれを欲しがって。 とりあえず外して、彼女の腕に巻いてみて。一番細いとこまで絞って、やっとくらいで。


左腕に俺のだった時計。 やっぱりアンバランスな程大きくて。でも嬉しそうで。 「いいの?」 「うん。」 「中古だよ?」 「お兄ちゃん、いつもしてたから。」 あんまり答えになってなかったけど、とりあえず喜んでるから、
よし。そう思う事にした。 彼女は移動と、たくさん話したのと、歩いたのと、太陽の下に長くいたせいか、ちょっと疲れてて。 電車に乗り換えてからは、熟睡。初めて見る寝顔。やたら安楽そうで、嬉しかった。
2: 2017/04/01 00:02
素晴らしいよ。二人には幸せになって欲しい。
1: 2017/4/01 00:02 master
夏休み前の実習終えると、暫く休み。貴重なバイトの時間。 ずっと使って貰ってた、建材屋さんでのバイト。リフト乗ったり、トラックの助手席乗ったり。 馬力があるからと、荷下ろし要員として結構待遇が良くて。居心地も良くて。 時間あれば八時半入り五時半上がり。働いてる実感があったし、昼弁当が出るのも、嬉しかった。


大量の運搬終わってやれやれって感じで事務所帰ってきた時、事務長さんがメモくれて。 「電話。女の子。」え、って感じで受け取って。 何か嫌な予感がして。電話借りてかけてみて。


電話番号は総合病院の内科病棟で。彼女とお婆さんの名前言ったら、彼女呼びだして貰って。 「どしたの?」 「おばーちゃん、入院しちゃいました。」微妙に声、違って。 朝からフラフラするって言ってたから病院行くの進めたら、そのまま入院になってしまったと。 とりあえず顔出す。それだけ言って受話器置いて。早上がりさせて貰って、病院行った。
1: 2017/4/01 00:02 master
繋ぎの作業着腰に巻いて安全靴って姿のままで病室行ったら、点滴吊ってるお婆さんがいて。 お婆さんのベッド脇に座ってた彼女が、殆ど走って。目線真下、ってくらいまで来て。
「ご、ごめんなさい。」 「いいよ。」
「脱水症状…。」 「うん、聞いた。」
「仕事…。」 「いいから。」
動揺激しかったのか、僅かに声上擦ってて。俺までそうなっちゃ駄目だと、落ち着こうとして。 「入院ですか。」 「おおげさにせんとって。ついでよ。ついで。」お婆さん、笑って。


脱水症状自体はごく軽い物で、点滴は用心の為。様子見の入院のついでに、健康診断。 医師や福祉課の人が進めてくれて、費用は保護でまかなえると言う事で、 「いい機会だから。」ってな感じの軽い感覚。一泊して静養、異常無いようなら検査開始。 更に一泊して、問題なければ退院。


その間、彼女が一人になるのがお婆さんの心配で。
「子守り、お願いできるかねぇ。」
「いいっすよ。」簡単に引き受けて。 子守りって表現、嫌がるかなと思ったけど俺の手持って「お願いします。」だけ言って。 やっぱり何かいつもと違ってて。帰る道で「あ、あは。どーしよう。」言ったきり、黙って。 「何もないよ。」根拠無しでそう言うのが精一杯だった。
1: 2017/4/01 00:02 master
お婆さんいないから、食事は一緒にした。 タイ米のレタスチャーハンとオニオンスープ。 初めて作ってもらって。 おいしくて。誉めたら「お母さんの味にならないですけど。」 恥ずかしそうに言って。思わず、撫でて。嬉しそうに、顔緩めて。やっと少し笑ってくれて。


俺の部屋で、いつもの時間。横来て、チラチラ俺の方見て。つんつん、肩つついて。 「…居てもいいですか?」「ん?」「…多分、寝れない。」照れながら、言って。 聞きもしないのに、部屋で一人で寝た事無いからなんて言い訳始めて。また思わず、撫でた。 彼女は八時くらいに学校に行く。


その時起こしてと頼んで。夜の十時ごろ。もう寝る事にして。 「お風呂入ってきます。」って、彼女が一端帰って、俺もシャワー浴びる事にして。 十一時頃になって戻ってきた彼女、Tシャツジャージ姿。制服以外で見たいくつかのうちの一揃い。
1: 2017/4/01 00:02 master
彼女が部屋入ってくると、石鹸の匂いがふわっと香って。一瞬ドキッとさせられた。 「布団持ってくる?」聞いたら「ここ。」って、座ってたベッド、ひとつたたいて。 その時はまだ、そこまで甘えるか?と言う感覚。 その時はまだ、完全に子守りだなって感じで。


「狭いよ。」「…あは。平気。」問題無い言う感じで。断る理由が無くて、まあいいいかと。 彼女が全部消すの怖がって、豆球点けた状態でベッド入って。お互いの表情くらいは伺える暗さ。 殆ど真横に彼女の顔があって。部屋で座ってる時なら当たり前の距離なのに、妙に意識して。 胸の上に乗っけた手でシャツ掴まれて、更に身体寄せられて、くっつかれて。 体の右半分に、彼女の身体の感触感じて。…意外と、女の子なんだな。そんな事考えて。


だんだん体温感じて。ちょっと変に意識して。打ち消して。少し離れようとしたら、手に力入って。 「…やだ。怖い。」短く小さく、でもハッキリ言って。驚いて。 「怖いって?」聞いても、答えはなくて。また手に力入って。微動だにも出来なくなって。 寝れるかな、これ。色々考えてるうちに寝息聞こえて。助かったと思った。 でもかなり心拍数が上がって。寝られる状態になるまで、時間かかった。
1: 2017/4/01 00:02 master
何とか寝られて、朝は彼女に起こして貰って。 送り出す前に、合い鍵渡した。


特に理由は無くて。お婆さんいないなら、こっち来てればって感じで、他意もなく。 それが彼女には嬉しかったみたいで。凄く大事そうにカギしまい込んだのを覚えている。 彼女は学校で、俺はバイトで。どっちも終わってから行くと、面会時間が過ぎる。


俺は中抜け出来たので、様子を見に行った。お婆さんは食後で。談話室でテレビ見てて。 いろんな検査があって退屈はしないけど、消毒と薬の臭いで鼻が変、みたいな事言って。 「一緒に寝て、言われた?」小声で、いきなり聞かれて、動揺隠せなくて。 「言われました。」正直に言って。


「すいません。」つい謝って。笑われて。 「こっちがすいませんよ。あれ、恐がりのあまったれやから。」そうなると思ってたみたいで。 「あんたみたいな人、おってくれてよかった。」お婆さんはそれまでと同じ軽い調子で、 「私がどがいかなっても、あの子ぱっとほたったりせんやろうし。」方言混じりで言って。 ほたる、と言う表現。俺らの地方では、放っておくと言う意味で使うのが普通。


でも、捨ててしまうと言う意味に使う事もあって。前後の感じからして、後者の感じがして。 「しないですよ。」反射的に言って。 「ありがとうね。」急にかしこまって言われて。 困った。
1: 2017/4/01 00:02 master
バイト終えて家帰ると、彼女はもう部屋にいて。ベッドの上で壁に持たれて、本読んでて。 ポケットから何か出して「貰っていいですか?」部屋に転がってたカラビナにカギ付けてて。 いいよ、って軽く言って。


やっぱり彼女にはあわない持ち物だけど、喜んでるから良し、で。 その日は暑い上に配達きつくて、疲れてて。さっさと風呂浴びて、寝ころんだ。 その俺に、彼女はやたらまとわりついてきて。結局、昨夜と同じ態勢で、言葉無しで。 ただ、そうしてる時は不安げな表情がやわらいでて。いつの間にか、深く寝入ってて。 明るい中で寝顔見てると、あどけないと言うか、やっぱりまだ子供っぽさも感じて。


子守り。
これは子守り。 自分に言い聞かせて。色々抑えた。
1: 2017/4/01 00:02 master
入院までして検査して解った事はたった一つ。お婆さん、全く異常無しの超健康体。 脱水症状は、内職頑張りすぎたから、と言う程度の物で、後も引かなくて。 病院のご飯が量が多くて、食べるのに苦労したとか力の抜ける事言って、笑わせてくれて。


家戻れて、すぐ内職始めたお婆さん、少しは休めと言う彼女と早速軽いケンカしたらしくて。 「からこうたら、戻ってこんようなったんよ。」そう言って大笑いして。 また多分俺との事に引っかけて何か言ったんだろうなと思って、部屋帰った。 彼女は多分、ベッドにぽて、と倒れ込んだまんまの姿で伸びてて。俺に気付いて、膝抱えた。


病院嫌いのお婆さんが病院行ってしかも入院、それだけで緊張しきってた彼女、 反動で気が抜けたみたいで。
「大丈夫?」 「はい。」頭に手乗っけて、ぽんぽんやって。 「良かったよ。」 「心配して損した。」 「損したゆーな。」 「あは。」わしわしやって。
1: 2017/4/01 00:02 master
やっと、彼女の普通の笑顔になって。それで俺も安心して。 彼女がぽん、ってベット叩いて。横座らされて。くたっと力抜いて、もたれかかられて。 「…お兄ちゃん、いてくれて良かったー…。」お婆さんと同じ事言って。

「信じてちゃっていいんですか?」いきなりで。
「何?」「病院でおばーちゃんと話した事。」 それか、って感じで。 「うん。」それだけ言って。頷いて。彼女の反応待った。 「…あは。信じましたからね。」 「うん。」 「約束ですよ。」 「うん。」立て続けに、頷いて 俺なんかでも、支えみたいなものになってるっぽい。そんな事を思うと、責任感じだして。 ちょっと重みを感じはしたけど、それも全部ひっくるめて彼女なんだと思った。 その日、彼女は定時で帰った。帰る前に「また泊めてください。」シャツ引きながら言われて。 返答に困ったけど、やっぱりダメとは言えなくて。「いいよ。」って言ってしまって。


「あは。やっぱり、お父さんみたいだったです。」そんな事言って。お互い照れた。
2: 2017/04/01 00:02
おまい...イイ奴だな 泣かせんなよ。
1: 2017/4/01 00:02 master
七月の末。彼女とお婆さんの引っ越しを手伝った。 福祉科の担当さんの勧めで市営住宅への入居希望を出してみたら、 生活保護世帯で高齢者と義務教育中の児童の家庭は優先順位が高くて。 すぐ決まった。


入居が出来る事になった時、お婆さんは彼女より先に俺に相談を持ちかけて。 市営住宅は家賃が安くて、たしか一万三千円くらいで、あの時住んでたアパートの半分以下。 家賃共益費水道代込みで二万八千円(内訳忘れた)で、水道代払っても、一万円は浮く計算。
「引っ越し、手伝いますよ。」そう言ったら 「あの子が何というかよ。」少し迷ってて。


俺と会って仲良くなってからの彼女は、それまでとは全く変わったらしくて。 「当たり前の女の子の顔になってくれてね。」お母さんが言ったのと似た事を言って。
1: 2017/4/01 00:02 master
彼女が俺と離れて住んで行き来が無くなったら、元に戻るのではと不安がってて。 時々でも会ってやって欲しいと頼まれて。 「会えないと寂しいですから。」素直に言って。 転居先は歩いて二十分くらいの所。その気になれば、すぐ行ける距離。何も問題は無くて。 「あんたがそう言うてくれたら、話がしやすいけんね。」お婆さんも、安心してくれて。


でも伝えてみて引っ越すのは嫌だと言えば、無かった事にすると言って。 彼女が買い物から帰ってきて。お婆さんと話して。そんな長くかからずに俺の部屋に来て。 さてどんな反応するかな、と構えてたら「時々ですか?」それだけ言って、俺の答え待ち。
1: 2017/4/01 00:02 master
真横来て。左斜め下からじぃー…っと見上げられて。
「いつでも。」少し訂正して。 「毎日は?」「いいよ。」即答してしまって。 彼女は頷いて、一つ息吐いて。笑って。 「引っ越す。」 「決めるの?」 「あは。おばーちゃん、ちょっとは楽かなって。」 二人は、意地張り合いながらも気遣い合ってて。意思の統一が図れれば、行動は早かった。
入居の準備整えて、引っ越し。家財道具運ぶのにバイト先でトラック借りられて、助かった。 小さなテレビと冷蔵庫。洗濯機。ガスコンロ。テーブル。衣装ケース三つ。学用品と本が少し。 内職の材料。箱一つの日用品と食器。三冊のアルバム。


それで全部の、小さな引っ越しだった。
1: 2017/4/01 00:02 master
彼女とお婆さんが住む事になったのは、平屋建ての長屋みたいな所の端。3DKで。 五世帯が二棟連なってる長屋の住人、高齢者ばかり。高齢者世帯向けの市営住宅だった。 俺と彼女の間での行き来は、何も変わらなくて。


俺が休みとか家にいる時間は、来てて。 学校が夏休みになると、朝方から俺がいなくてもカギ開けて入って、待ってる感じで。 待たれてるとなると、バイトとか実習とか補講が終わるとすぐ家に足が向いて。

「おかえりなさい。」言って貰って。休日も、何がある訳でも無いけど一緒にいる感じで。 最初の頃は、七時頃には彼女家に送り届けて、お婆さんに挨拶して、おやすみ言って帰ったり、 そのまま夕食御馳走になって。お返しに何か届けて。またお返しされてって感じで。 そのうちに彼女が俺の部屋にいる時間が長くなって。


彼女が夕食作ってくれる事も多くなって。
1: 2017/4/01 00:02 master
のんびりしすぎて、気がついたら遅い時間になってたりで、慌てて彼女の家まで出発したりで。 俺の部屋から市営までは、国道沿い歩いてほぼ真っ直ぐで徒歩二十分。軽い散歩程度の距離。 学校の近所で。近隣に住んでた友達とか講師とかと出くわしたりする事もあって。 逃げる訳にもいかないし腹決めて紹介して。


俺が口に出して「カノジョ。」って言うと、 照れなのか顔赤くして、はにかんで。俺の後ろ隠れて。背中くっついて。それがかわいくて。 ほぼ全員に後から学校とかで「かわいかったー。けど何歳?」って事を聞かれて。 ちっちゃくて肉の薄い彼女は実年齢より下しか見えなくて。


一番気になる部分だったみたいで。 中二で十四歳と言うと、ギリギリセーフと言う判定をされる事が多くて。 ロリコンとか変態とか、きっつい言葉も覚悟してたけど、結構反応柔らかくて、意外だった。


…でもこの頃、彼女と歩いてて、初めて職務質問をされた。夜十時くらいだったと思う。 若いお巡りさんに呼び止められて。彼女の年齢とか俺の立場とか聞かれて。素直に答えて。 彼女を家に送ってる所だと言うのは信じて貰えて。もう少し早く返すようにと言われて。 お巡りさんの口調が丁寧で、印象が悪くなかったから腹が立ったりはしなかった。

けどその話を友達にしたら「犯罪の臭い、したんじゃない?」そんな事言われて。
結構へこんだ。
1: 2017/4/01 00:02 master
専門学校二年目の俺には夏休みなんて物は無くて、実習と補講。休みはバイト。


その繰り返し。 実習にも慣れて、とにかく事故だけ無いように終われればと緊張感は保っていたつもりだった。 けど実習終えて打ち上げやって、家帰って寝て早朝に変な腹痛起こして。救急車自分で呼んで。 何か普通じゃないと思ってたら急性膵炎で。即入院と絶飲食を言い渡されて。呆気にとられた。 空いてる大部屋が無かったから、差額無しで二人部屋に一人。


点滴入れながら呆然としてて。 彼女に連絡入れたのは昼頃。いるだろうなと思って俺の部屋に自分で電話して。出てくれて。 入院する事になったと告げると、最初冗談かと思ったらしくて。なかなか信じて貰えなくて。 でも病院名と病棟、部屋番言うと信じて。「準備して行きます。」落ち着いた声で言って。 俺の家からは、自転車で三十分くらいの所。俺の自転車使って来てくれて。 部屋入って左腕に三本点滴入れてる俺見て笑って「あは。似合わない。」思わず、撫でて。
1: 2017/4/01 00:02 master
お婆さんの時みたいな動揺は見せなくて。俺も安心できて。しっかりした所も見せてくれて。 着替えとか適当に詰めた袋持って来てくれてて。考えても無かった事で感心して。 よく気がついたね、的な事言ったら「看病、慣れてます。」そう言って、笑って。


どのぐらいの入院になるのかとか、どんな病気なのかとか、彼女の方から聞いてきて。 軽症の急性膵炎で、状況見て退院までが一週間ほど、一週間静養して、検査に問題なければ放免。 医師のしてくれた説明を彼女にもして。お婆さんにも心配しないでと伝えるの、頼んで。 彼女の顔見てホッとしたら色々思い出して。公衆電話で学校とバイト先に事情話して休み貰って。


学校の方は、実習も済んでて記録とかも提出してたし出席も足りてたから不安はなかったけど、 バイト先の方は俺と組んでくれてる人とかに申し訳ないし、経済的にも不安だった。 少しは貯金あるし何とかなるか。 そんな事考えながら病室帰ろうとしたら、 彼女に点滴してない方の腕引っ張られて 「えっと。じ、実家には?」完全に忘れてて。


電話したら婆ちゃんが出て「言うとく、言うとく。」それだけ言って切って。 まぁ伝わりはするだろうと思って、部屋帰って。その日は彼女の命令で、大人しく寝てた。
1: 2017/4/01 00:02 master
入院中、彼女は昼頃に洗濯物取りに来て、夕食前の時間まで話し相手になってくれて。 洗濯は病院でも出来るし、そんな事させていいのかなと思ったけど、つい甘えて。 来ないとなると寂しかっただろうから、何も言わず、世話かけてしまって。 親父は仕事で来れなくて、おかんが俺の部屋泊まって面倒見てくれるつもりで来てたけど、


彼女と会って。毎日来てると知って。 「おらんでいいね。」って帰ると言いだして。 おかんは彼女とお婆さんと会って、食事して。一日泊まって、朝また来て。昼には帰った。 おかんも彼女の家の事は親父から聞いて知ってて。どんな話したのかなと、気になって。

昼過ぎに来てくれた彼女に聞いたら「あは。ごめんなさい。」いきなり謝られて。 「え、何?」
「ばれちゃいました。カノジョだって事。」言って見上げてすぐ、視線外して。 「え、誰に?」 「お兄ちゃんのお母さんとおばーちゃん。」照れまくりな彼女がいて。 身内に知れるのはさすがにまだちょっと色々早すぎると思ってて。結構、慌てた。 「おかん、何て?」 「お願いしますって。」 「お願いって。」何をだよって感じで。
1: 2017/4/01 00:02 master
「他に何か、話した?」 「あは。仲良くして貰ってる事…とか。」内容は聞けなかった。 やたら嬉しそうな彼女をこれからどう扱っていいのか解らなくて。結構長く悩んだ。 けど結局、何も変えない事にした。


それが一番、楽だった。 頑健な印象を持たれる事が多い俺が入院。学校の友達が面白がって見舞いに来てくれて。 その時のクラスの男女比が4:1くらいだったから、必然的に学内の友達は女の子が多くて。


彼女はそれが気になって。 「…もしかしてもてる方ですか?」そんな訳は無くて。 七割方は俺の見舞いにかこつけて彼女を見に来てるって感じで、それ説明したけど、 男女比が異常に偏るのに彼女は納得がいかないみたいで。何か落ち着き無くして。 困ってたらバイト先の人が来てくれて。女の子ばっかりじゃないと言えて。助かった。 バイト先の人達はみんな来てくれたし、実習の指導員してくれた人までわざわざ来てくれて。 気にかけてくれる人がたくさん居てくれて。かなり励まされた。
1: 2017/4/01 00:02 master
四日間点滴だけで。五日目から徐々に食事戻して、一週間。やっと数値が戻って退院出来た。 入院中に体重が七㎏減ってて枯れた感じ。その上にさらに食事療法を言い渡されてて。 退院前に医師と栄養士さんに指導受けて。一週間は蛋白質や油物は控えるようにと言われて。 病院の食事が、肉と油殆ど無し。反動来てて。喰いたい物はたくさんあったけど、


「控える」と言う言葉を「無い方がいい」と理解した彼女にかなり厳しく見張られて。 買い物行ってお総菜とか手伸ばしても、ん…っと下から強い目向けられると、手に取れなくて。 俺が諦めると、よし。って感じで表情緩める彼女がいて。監視付き仮釈放。そんな感じで。 けど病院では周りの目があって距離あけてた彼女が、部屋では横来てくれて。 体寄せてきて。俺の手捕まえて。腕くぐって。胸に顔乗っけられて、思わず肩、腕で包んで。
1: 2017/4/01 00:02 master
久しぶりに彼女の髪の匂い感じる距離。こっそり髪に鼻寄せて、吸い込んで。 それで落ち着いてたら、不意に腰触られて。くすぐったくて。思わず体よじった。 「痩せちゃいましたね。」 「戻さないと。」頷く彼女に流れで「肉喰っていい?」聞いたら、 「あは。治ってからですよ。」キッパリ言われて。これはもう駄目だと思った。


けどやっぱりガッチリ見張られてるとちょっとイラッと来て。でも直には言えず。 「きつすぎだよ」だったか「やりすぎだよ」だったか、背中に小声で言ったら、聞こえてて。 振り返って。視線落として。でもすぐ俺見上げて、薄く笑って。言葉、絞り出して。 「お、お医者さんの言う事聞かないでお母さんみたいになったらやだもん。」 斬りつけるような言葉で。

何食いたいとかそんな事は、口が裂けても言えなくなった。 お婆さんは痩せたままの俺見て「全然食べんのもええ事ないんやない?」って心配してくれて。


「ごめんね、言い出したら聞かんのは母親似やからね。」そう言って目、細めて。 だんだん彼女がお母さんに似てきたのを喜んでて。お母さんがどんな人なのか、 俺はあまり知れなかった。けど彼女見てると、意思の強い人だったんだろうなと。そう思った。
1: 2017/4/01 00:02 master
退院して四日目か五日目が土曜で。昼前に親父が来てくれて。当然、彼女も居る時で。 二人が会うのは、お母さんの納骨以来。二人が話したのは、軽い挨拶程度だった。 後は俺の体調の事とか入院費用の事とか、保険の請求があるから領収書取っておけとか、 無理はするなとか、就職活動どうだとか、無難な事で。電話で済むだろ、って感じの内容で。


それよりも話してる間、彼女がずっと正座で姿勢良すぎて。不自然すぎて。おかしくて。 お婆さんに挨拶する、って言って親父が部屋出てから、「何で正座?」って聞いたら、 「あは。ちゃんとしないといけないかなって。」意識しすぎだと思ったけど、とりあえず撫でた。 お婆さんと親父と、どんな話してるのかとやっぱり気になったけど、夜になって電話があって。


彼女の事を「明るい顔になってたなぁ。」親父も言ってて。 お婆さんに感謝されたと言って。 「よくやったよ、お前。」何したつもりもないけど、何か役に立ってるんなら、嬉しくて。 親父は彼女と俺の事については、何も言わなかったけど、最後に一言。これはちょっと重く、 「いいお兄ちゃんでいろよ。な。」後で含まれる意味を深読みして、悩んだ。 退院して一週間後、病院で採身体からの赤い液体して、結果良好で完全回復。思った事は、やっと肉が喰える。 検査結果見て貰って、顔全部で笑う彼女に「牛丼喰っていい?」聞いて、許して貰って。


脂気無い生活からいきなりで、胃も小さくなってて、食べあぐんで。並盛り少し残した。 牛丼が初めてだった彼女、重そうに丼持って「おいしい。」言いながら頑張って全部食べて。 彼女より喰えない自分に驚いて。ショック受けて。でもそのくらいしないと治せなかったのかなと、
1: 2017/4/01 00:02 master
退院してからの一週間、看病と言うか監視をしてくれた事を改めて彼女に感謝して。 「埋め合わせするから。」そんな意味の事を言ったら「いっぱいお世話になってますから。」 だからお礼言う必要もないしお返しとかいらない。


その一点張りで。何もさせてくれなかった。
あの入院以来、家族ぐるみと言うか、俺と彼女とお婆さんだけの付き合いでは無くなった。 特におかんと彼女の連絡は、
頻繁になって。二人が電話で長く話してると、何か妬けた。
1: 2017/4/01 00:02 master
読んで下さってる方、間が開いてしまってすいません。 今の時期は特に忙しくて、なかなか時間がとれなくてですね…。 なにとぞ気長に。
2: 2017/04/01 00:02
無理をなさらず、書ける時に書いて頂ければ十分です。
心底、最後まで読みたいですから。




僕と彼女の物語「俺が今願う事は、いつか彼女のお母さんのお墓参りに子供を連れて3人で行く事」へ続く

僕と彼女の物語「俺が今願う事は、いつか彼女のお母さんのお墓参りに子供を連れて3人で行く事」



スポンサーリンク



TOPに戻り他の記事を読む


【おすすめ人気記事】


岡山市内の不思議な場所に建ってる家が気になる


太平洋戦争勃発の原因が複雑過ぎる


2018年の大阪は災害や事件ばかりでヤバすぎ


宇宙人が存在してほしいヤツ集まれ


闘いに敗れたオスミツバチの悲しすぎる運命


車中泊とキャンプだったらどっち楽しい?


南海トラフ地震が起きて、テレビにこんな震度表示が出たらどうする?


萩原流行さんの事件って闇深すぎやろ


日本で起こった一番凶悪で怖い事件と言えば何?


夢占いってガチで当たるよな


探偵ナイトスクープで一番闇深い依頼ってなに?


もう誰も覚えてなさそうな今年の出来事


地震専門家「2030年までは南海トラフ地震は発生しないと思う」


GoogleChromeに悪魔の数字が隠されていた


ガチでクズが多い教師の担当教科といえば何?


おすすめオカルト記事

学生時代にやった “意味不明で奇妙なバイト” をいろいろ紹介してく


【知らないと怖い】医者だが “受診に役立つ裏話” や知っておいて欲しい“コツ”を教えるよ



ザ・ミステリー体験では皆さまからの投稿を受け付けております。

ご自身のホラー体験・不思議体験などありましたら、TOPページメッセージフォームよりお願い致します。





アクセスランキング

引用元:http://toro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1186053286/