bandicam 2018-01-05 21-57-28-239

1: 20xx/ミステリー master

これから話すのは友人からの伝聞だ、まるで見たかのように話す所もあるが勘弁してもらいたい、
そして文才の無い俺が書く為に異常に長文乱文な上に偉そうな文章になるかもしれない事も許して貰いたい。
嫌な方はスルーして欲しい。


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1: 20xx/ミステリー master

では本題だ。


今のようにジメジメとした梅雨の時期だ、友人の高村から一本の連絡があった。
「久しぶりに会わないか?聞いてもらいたい事がある」
就職で京都にいる高村とは連絡も途切れ、半ば疎遠となっていたが「聞いてもらいたい事」と深刻な赴きを感じた俺は二つ返事で了解した。
内容に入る前に軽くだが説明を挟ませてもらう。

高村とは高校大学ともに一緒で今思えば気味が悪い位に仲が良かった、だが周りから見たら俺と高村はどうみても友人同士として釣り合いがとれないように見えただろう。
高村はルックス、センス、運動神経、頭の出来、どれをとっても一流だった。
そんな高村に比べ、俺はこれといった才能も無く、本当にごくごく平凡な男だ。

そんな違い過ぎる俺達だが一つだけ共通点があった。
それは恐怖体験談が好きという一点だ。
それも一般的に知られるような心霊体験では無く、人間に関する物だ。

皆が皆では無いだろうし、間違った考え方かもしれないが俺達はこんな考えを持っていた。

「心霊現象というのは根源的な恐怖だ、得体のしれない謎に満ちた物を恐れるという根源的な物だ、俺達は人間に秘められた狂気的な恐怖を求めている」

心霊を否定している訳ではない、けれど俺達は人間の中にある狂気を求めていた。
だが因果なもので今から話す事は心霊現象だ、真実かは分からない…俺に確かめる術は無い、だが何かがあったのは間違い無いと俺は考えている。

少し長くなったが内容に移らせてもらう。

数年ぶりに会った俺達は話しもそこそこに居酒屋に向かった。
久しぶりの再会を祝おうと少し高い酒を頼んだのだが、何故か高村はあまり進んでいなかった。
「お前どうかしたのか?好きだったよな酒?」
高村は苦笑いしながら一口だけ飲み、また手が止まった。

余りに前と違う高村を見て「やはり環境が変わると人も変わるのか?」と少し淋しげに考えていた。

会話も途切れ途切れになり沈黙が多くなる中で高村のある行動が目についた、一人一人店内の女性を確かめるかのように見つめていた。

俺は変わってない所を嬉しく思い「この変な人がwそんな所は変わらんなw」と高村を茶化すと、溜め息混じりにこう言った。

「俺は本当に…やったらいけない事をしたのかもしれない…」

俺は「?」となったがそこから高村はぽつぽつと話してくれた。

京都へ行った高村だったが京都での生活は合わず、仕事でもミスばかり繰り返していたようだ。
一人暮らしで荒れた生活だった事もあり、かなりのストレスを抱えていた中で高村の唯一の楽しみは冒頭で述べたように恐怖体験談を読みあさる事だけだった。
そんな億劫な毎日の中で高村は一つの考えに辿りついた。
「俺も人間の狂気に触れてみたい」
今思えば何処か壊れてたんだろうなと高村は語っていた。

高村が考えて導き出した答えは、狂気を生み出す原因の一つ「嫉妬心」を利用する、つまりは遊びをする事だ。
恵まれたルックスを活かし、何人もの女性と股をかけ、しかもわざとバレるような振る舞いをしていたようだ。

だが全く上手くいかなかった、皆が一様に遊びがバレる前に離れていくか、バレたらバレたであっさり終わりの繰り返しだった。

それでも高村は諦めずに繰り返し女性との関係ばかりを求めた。

そんな中、高村は一人の女性と出会った、由美さん(仮名)という女性だ。

由美さんは遊びがバレても高村から離れていく事も無く高村を本当に好きでいてくれたみたいだった。
そんな由美さんを高村自身も本気で好きになった。

それからは由美さん以外の女性関係を絶ち、由美さんの支えもあり生活も仕事も上手くいって、高村は本当の意味で苦難を乗り越えたようだ。
だがその幸せも長くは続かなかった…
ある晩の事、余りの寝苦しさに高村は目を覚ました。
その日は由美さんが泊まりがけで高村の世話を焼いてくれたらしく、一緒に床についていたらしい。

時間は午前二時…そう丑三つ時と呼ばれる時間帯だ。
高村は目を覚ましたはいいが金縛りのように体は動かず、動かせたのは目だけだった
普段の疲れがある為、大して気にも留めず眠れるようになるまで天井を見つめながらボーっとしていた。

時間にして10分位だろうか、高村はある事に気付いた。
誰かが部屋を歩く気配がする…
部屋の角にベッドがあり、壁側で寝ていた高村は気付かなかったようだ。


「こんな時にマジかよ…空き巣だったら洒落にならんぞ…」

そう考えた高村は必4に目を動かし、歩いている者を目で追った。
それは女だった、しかし様子がおかしい…女は歩き回るだけで何かを物色している感じでは無かった…

異様な光景に高村は女から目を離せずにいると、今まで歩き回っていた女は急に立ち止まり、高村達の方へフラフラと近付いてきた。

女はベッドの前で立ち止まり、由美さんの顔を俯くように見つめていたらしい。
高村は恐怖もあったがそれ以上に「由美さんに何かあったら」とずっと女を睨みつけていた。
そして数十秒程女を睨みつけていると女はゆっくりと顔を高村の方へ顔を向けた。
高村は女の顔を見た瞬間心臓が止まるかと思う程に驚愕した。

部屋の明かりは豆電球だけだったが、豆電球の赤さと無関係に女の顔は赤かった、まるで朱で塗られているかのように…

女は高村を見ると、見るからに醜悪な笑顔を浮かべ、部屋を出て行った。
しばらくして自然と金縛りが解けた高村は玄関へ行き鍵とチェーンを確認したが何かされた様子は無かった。


由美さんを起こして話そうかとも思ったが、見てもいない由美さんを怖がらせる必要は無いと思い、その日は毛布に包まって必4で忘れようと眠る事に努めた。

高村はいつの間にか寝ていたのかアラームの音で目を覚ました。
由美さんはまだ寝ていた、いつもなら自分より早く起きて出勤の為の用意をしてくれているのだが珍しくまだ眠っているようだ。

「疲れが溜まっているのかな?」と考え、起こさずに身支度を整え高村は静かに家を出た。

その日、由美さんから連絡は無く、いくらなんでも寝過ぎだろと思ったが万が一寝ていたならと高村から連絡を入れる事はしなかったようだ。
仕事も早くに終わり直帰したが由美さんはまだ寝ていた。

「やっぱりか、寝過ぎだろw」と高村は由美さんを起こそうと由美さんの腕に触れた。
その瞬間、高村は凍り付いた…
由美さんの体が異様に冷たく、そして息をしていなかった…

高村は直ぐさま救急車を呼んだり、人工呼吸など施したが由美さんは助から無かった。


4因は「心不全」だと医者からしっかり説明して貰ったらしいが、体は丈夫で元気の良かった由美さんが何故?という気持ちは拭えなかった。

それから高村は会社にも行かず、自宅に引きこもっていた。
そしてあの晩の事をずっと考えていた、もしかしたらあの女が…と頭から離れなかったからだ。

高村は決心し、町の拝み屋の所へ行った。
高村はどうしても由美さんが4んだ本当の理由を突き止めたかったからだ。
4因は「心不全」だと医者からしっかり説明して貰ったらしいが、体は丈夫で元気の良かった由美さんが何故?という気持ちは拭えなかった。

それから高村は会社にも行かず、自宅に引きこもっていた。
そしてあの晩の事をずっと考えていた、もしかしたらあの女が…と頭から離れなかったからだ。


拝み屋は初老の女性だった。
高村は事情を説明し、あの晩の事を詳しく拝み屋に説明した。
すると拝み屋は何も言わず祭壇の用意を始め高村にこう尋ねた。

「今から神懸(神憑?)を行いますが、貴方の考える物とは違う結果が出るかもしれません、それでもよろしいですか?」

高村は迷わず頷き、神懸の儀式は始まった。
高村は決心を固め真実を確かめようと拝み屋を真っ直ぐに見つめていた。

そして10分程たった時に異変は起きた。
急に拝み屋は動きを止めたかと思うと、真っ青になりトイレへ駆け出して行った。
高村は唖然としてその光景を見つめていたが、数分して拝み屋から今回の事の真相を告げられた…

「失礼しました、高村さん…今から告げる事は貴方にとって酷な事です、聞く聞かないは貴方が決める事です、どういたしますか?」

高村の決意は固く高村は拝み屋にこう告げた「どんな結果でもいいです、俺は本当の事が知りたいんです」

その決意をしっかりと汲んだかのように、拝み屋は暗く重たい口調で話し出した。

「わかりました、結果から言います、確かに貴方が言う女性が由美さんの4に繋がる事は間違いないです、ですが…はっきりと言います、きっかけとなった要因は貴方です」

そう聞いた高村の頭には疑問しかなかった、普段恐怖体験談で語られるような事はしていないし、近付くような真似もしていない、なのに何故と考え高村は拝み屋に尋ねた。
「あの…俺は危ない所には近付いたりとか無いし…要因って具体的には何なんですか?」

拝み屋は更に暗く重たい口調で話した。
「貴方は最近女性関係を重複したり、幅広く関係を求めたりしていましたよね?それが女性を呼び寄せるきっかけになりました」
話してない事を当てられ唖然としている高村に拝み屋はこう続けた。
「その女性は世間一般で言われる「悪霊」とは違います、遥か昔に嫉妬に狂い生きながらにして鬼となった女性です、その方から貴方は魅入られた…」

「鬼…ですか?」高村は混乱していた、ただでさえ初めて心霊現象に見舞われた上「鬼」等と言われたらそうなって当然だ。

そう聞かれた、拝み屋はこう告げた。
「そうですね、分かる範囲ですが経緯から話させてもらいます」

ここからは何故鬼になったかまでを話させてもらう、伝聞で長い為うろ覚えの部分もあるが聞いてもらいたい。


時代の背景までは聞いてはいないが遥か昔、呪術などを信じ、行使されていた時代だ。
ある良家(公家?)に一人娘がいた。
その娘がとある縁談で庄屋の次男の所へ嫁いで行った先での話だ。

最初の内は仲睦ましく良い夫婦と世間でも評判の夫婦だったらしくとても幸せに満ちていた。
そして家を構えたが実家の家業柄か男は実家への通い婚となった。
初めの内は毎日帰宅していた男だったが年月が過ぎるにつれて二日に一度、三日に一度とどんどん帰宅する回数が減ってきたのだ。
男は仕事が忙しいと言っていたが実際はそうではない、男は遊びをしていた。

女はもちろん気付いていた、だが心底男に惚れ込んでいた女は只々男を待ち続ける日々を過ごした。
だがその思いも虚しく、男は遂に帰らなくなった。

元々嫉妬深かった女が狂うまでにそう月日は必要無かった。


そして女は「貴船大明神」にこう願った。
「貴方を七日間願い奉る、どうか憎々しい女を呪い、取り消す方法を教えて貰いたい」

その願いが通じ、「貴船大明神」は女にある呪術を教えた。
その呪術とは周知であり世間一般で最も有名な呪術だと思われる…そう「丑の刻参り」だ…
だが世間で知られる物とは違く、恐らくこれが元祖の物と思われる。

白い衣装を纏い、髪を五つに分けて角のようにし、顔には朱、身には丹を塗り、鉄輪を逆さに被り、鉄輪の足に松を塗り火を付け、更に松明を口にくわえ両端に火を付ける。
その状態で河瀬に二十一日間浸かるという壮絶な物だ。

その苦行を達成し、遂には女は生きながらにして鬼となった。
鬼となった女は四十九本の頭の無い釘を女の家に向け人型に刺し、女を取り頃した。

女は歓喜とした男が戻って来ると…だが男は戻らかった…鬼となった女は完全に見放されたのだ。
だが女は諦め無かった、どんな仕打ちをされても男を慕う気持ちは無くなら無かった。
そして女は更に歪んだ思想を持った「自分以外の女がいなければいい」

女は山に入り、一人の幼子を拾う、頭が通常より大きく異業な姿、奇形児だ。
女は子供を育てた、自分の目的の為だけに…

その育て方は悍ましいの一言に尽きる物だった。
山を通る人を襲い、路銀を奪い、頃した。
だがそれだけではない、必ず2人一組を狙い、片方を惨たらしく頃した後にもう片方を消す、そして後に頃した方の首を切り落とし、砕き、粥に混ぜ子供に与えていた。

古い思想だが、人間の頭には「魂魄」が宿るとされてきた。
だが「魂」と「魄」は別物で「魂」は黄泉天に昇る魂で「魄」は重く濁り、黄泉は頭部に留まり、やがて散って行く魂とされている。

女は「魄」だけを子供に与え続けた。
そうする事で怨鎖の念を増幅し断ち切らぬように。
そして十年の月日が経ったある日、女の目的が実行された。
恐らく歳にして十二歳位だろうか、自分が育てた子供を生きながらにして首を切り落とした。
生きながら消す事で「魂」も「魄」共に頭部に残した。

そして頭部を人の行き交う街道に埋め、人が行き交う事で「魂」が昇るのを防ぎ、怨鎖の念が増幅する事を待った。
そして怨鎖の念が増幅し続ける事十二日目、女は頭部を掘り起こし、頭部の中の土と自分の血を混ぜ合わせ土像を作った、悍ましいまでの鬼の像だ。
それを箱に納め封をし、出来上がったのが「外法箱」だ。
通常とは作り方も意味も根本から違う恐ろしい物

それを用いて、町の女を呪い頃そうとした。

だが、十年という長い歳月が経ち、あれだけ恐ろしく悍ましい事をしてきた女が噂にならない筈がない。

町に堂々と出て来た女は町人から捕まった「鬼」として。
そして今までの数々の所業の償いとし、無論処刑となった。

だが町民達は恐れた、生きながらにして鬼となった女をそのままにしていいものかと…祟りに見舞われるのではないかと…
そこで丁度来訪していた歩き巫女に相談した。

歩き巫女はこう町民に告げた。

「このままで怨念による祟りに見舞われるでしょう、私の指示通りにして下さい」と…

歩き巫女がとった方法は「逆さ埋葬」だ。

仏説に基づく物で、地獄など悪趣に堕ちた者は現世とは逆の姿をしていると、つまり屍体を物理的に地獄と同じにする事で祟りを封じた。

それだけでは済まさず、「黄泉還り」を防ぐ為、街道に地中深く穴を掘り「逆さ埋葬」した上で何重にも石で封をし、埋葬した。
そうする事で「黄泉還り」を防ぎ、よく人が往来する事で霊が浮かび上がるのも防ぐようにした。
そして鬼となった女の祟りは封じられた…

俺はここまで聞き一息入れ、そして疑問となる事を高村に問い掛けた。
「今の話が本当だとしても何でその女は4んだ後の事も知ってんの?おかしいだろ」
正味、今の現代に呪いだ、怨念だが残っているとは思え無かったからだ。

高村はこう話してくれた。
「正確に言うと…女の霊が起こした事じゃないらしい、問題は「箱」の方らしいんだよ…」

拝み屋の話によると、霊は今だに元街道に封じられたままか、すでに地獄に堕ちているらしい。
今回の事を引き起こしたのは女が残した「外法箱」だと言った。

「魅入られたのは「箱」に残る怨念なんだよ…」
高村は泣きそうな声で呟いていた。
俺は重過ぎる雰囲気を軽くしようと高村に言った。
「言い方悪いけどさ…由美さんが亡くなったならもう終わった事じゃないかな?お前が元気無かったら由美さんだっ…」
高村は遮るように怒鳴ってきた。
「何も終わってねーよ、知った風に言うな」

高村は怒鳴った後、ハッとして「悪い」と一言言って俯いた。
俺は周りに軽く頭を下げ、高村に尋ねた。
「終わってないってなんだよ?何が終わってないんだよ?」

高村はか細い声でこう言った。
「最近見えるんだ…昼間だろうが夜中だろうがあの女が…俺もう無理なのかもな…」

高村が周りを確認していた理由がようやく分かった気がした。
高村は女性を見ていたわけじゃない、女の怨念がいないかを見ていたんだ。

俺は空元気を出し高村を励まそうとした。
「大丈夫だって、話も眉唾だし、由美さんが亡くなって落ち込んでるのが原因なのかもしれないしな?それにさ、もし何かあったらその拝み屋に頼めばいいじゃん」

高村は更に俯きながら呟いた。
「拝み屋は4んだよ、心不全だった、隣に住んでた女子大生も4んだ、それも心不全だ、そんな偶然あるか?」

俺は何も言えなくなり、それから一言も話す事も出来ず居酒屋を後にした。

そして高村と会ったはその日が最後になった。

冒頭で述べたが「心霊は根源的な恐怖、人間は狂気的な恐怖」そう言ったが間違いだったのかもしれない。
心霊も元が人間である以上、本当の根源的な恐怖は人間の狂気なのかもしれない。
そして俺は一人の男性の為にここまでの事が出来、遠い先にまで恐怖を残す、俺は人間の持つ狂気に心底恐怖した。

正直この話が真実かは分からない、かなりうろ覚え部分もあるし、最愛の人を亡くした高村がノイローゼになっただけかもしれない。
だが俺は確かに聞いた…丁度高村が失踪する前日に
高村からかかって来た電話の先で高村の怯える声に混じり、狂ったように笑う女の声を…

高村は行方は現在も判明しないままとなっている…



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