1: 20xx/ミステリー master- 俺は、正直、霊魂の存在は、頭のどこかで信じてるのかもしれないが、 幽霊のとか、先祖の祟りとかその手の物は信じていない。
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だいたいなんで、可愛い子孫をご先祖様が祟るのか理解出来ない。
でも、お墓とかは大事にはするタイプ。
4んだ婆ちゃんとか好きなんで。
そんな俺が経験した・・・・恐怖でないような、でも奇妙な体験話。
いわゆる幽霊とは違うが、普通では、絶対にあり得ない話だ。
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ある冬の日の出来事(それは11月だった)。
幽霊怖い!の弟は、いつもオレンジ色の小電球を付けて寝てるが、 俺は、幽霊とか信じてないし、逆に寝にくいので部屋は真っ暗にして寝ている。
ちなみに俺が寝ているのは1階の和室。弟は2階の洋室の自室だ。
俺の隣部屋では、ふすまを隔てて親父が寝ている。
俺は、いつも通りに午前3時か4時頃に布団に入った。
だんだん冬らしく寒くなってきた頃だ。
ものの数分で眠りに落ちた俺を、誰かが布団の上から胸の辺りを揺れ動かして、 「ねぇー、パパ遊ぼうよ!」「ねぇー、パパ! パパ!」と起こした。
部屋は真っ暗だ。
外から街灯の光が障子を通してうっすらと部屋を照らしてる程度。
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でも、俺の枕の右側の畳の上に、正座をして、俺を起こそうとしている女の子が見えた。
かなり寝ぼけていた俺は、「へぇっ? パパ?」となにげに呟いた。
その女の子は、小さく頷いた。
しかし俺は、その瞬間パニクった。
そして恐怖に打ちのめされた。 ウチにそんな小さな女の子は居ないし、当然俺にも子供なんて居ない。
「うわぁぁぁぁぁぁー○▼×◆※⊿×□※●・・・・」と、 声にならないわめき声を上げながら、布団を頭から被った。
心臓の鼓動が聞こえそうなくらいドキドキしている。マジで本当に激しくドキドキしていた。
内心「お化け、お化け、お化けが出たー。怖ー、怖ー、怖ー」と思っていた。
俺は、布団を被りながら、必4に自分に言い聞かせた。
「これは夢だ。夢を見ていて寝ぼけてるんだ。現実と夢がごっちゃになってるだけだ。 世の中にお化けなんて居る訳がない」
でも、まだ心臓はドキドキしている。
「落ち着け、落ち着け、落ち着け」と何度も言いづけた。 ・・・・が!!!
それは、夢でもなければ、俺が寝ぼけてる訳でもなかった。
その女の子は、また俺の胸当たりを布団の上から揺り動かして、
「ねぇー、パパどうしたの? 早く遊ぼうよぉー!」「ねぇー、パパ! パパったら~」と、 執拗にその女の子は、俺に遊ぼうと訴えてきた。
俺は、心の中で言い続けた。
「頼む、消えてくれ! 消えてくれ!」
でもなぜか「俺は、君のパパなんかじゃない、さっさと向こうへ行ってくれ!」とは言えなかった。
相変わらず、その女の子は、遊ぼう!遊ぼう!と言い続けている。
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しかし俺は、今まで女性経験がない。
だから俺に子供が居る訳がない。 はっきり言うが俺は未経験だ。
どう見ても、客観的に見ても俺は異性にモテるタイプではない。 比較的幼い子供には何故か気に入られて、初めて会った子でも楽しく遊んだりはするが、 俺とそういう行為をして俺の子供を産んだとか、あるいは産もうと思っている女性は、 (この広い世の中、女性の数は星の数程いるとしても)誰一人として居ないはずだ。
今後も、そう言う女性は、俺の目の前には現れないと思う。
(以前、従兄弟の奥さんに変なことを車の中で2回されただけだ。怪しい店などにも行ったことはない!)
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いずれにせよ、俺には子供なんて居ないのだ。
でも布団の外では、確かに小さな女の子が俺に遊ぼうと言っている。
これは確かに現実だ。
俺は、布団の中で激しくパニクりながら思った。
「やはり、この女の子は、幽霊なのか? 父親を失った幽霊の女の子が彷徨っているウチに、 たまたま俺が寝ている部屋にたどり着いた。そして俺のことを実の父親だと思っているのか? そうだ、そうに違いない。でも、取り憑かれたらヤバイな、大変なことになりそうだ」
そんなことを思いながら、1つの案を思いついた。
「そうだ! 部屋の電気を付けよう!」
これを読んでる人は、「しょうもない案だ」と思うかもしれないが、俺には、これしか浮かばなかった。
実は、何があっても良いように、電灯のヒモに更に長いひもを付けていて、寝ながら、電気の オン、オフを出来るようにしてあった。
そのヒモは、枕の左斜め下にある。
勇気を持ってそのひもを引っ張ろうとした。 電気さえ点けば、その女の子は消えるはずだから。
(25年程前、ウチの母親は、坊さんの幽霊を見た。目をこすっても見えたそうだ。 めがねを掛けても見えたそうだ。しかし電気を付けたら消えたそうだ)
その話を思いだした俺は、勇気を振り絞って布団から手を出し、手探りでヒモを見つけ思いっきり引っ張った。
電気が点いたのは、布団の中からも分かった。
眩しい感じがする。
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しかし、安堵したのもつかの間。第2の恐怖が俺を襲った。
掛け布団のわずかな隙間から女の子の膝小僧とスカートが見えた。
「おい、おい、幽霊なのに消えないじゃないか。冗談やめてくれよ」と、全身で震えていた。
女の子の「パパ、遊ぼうよー!」と言う可愛らしい声は、相変わらず布団の外から聞こえてくる。
「ヤバイ、どうしよう。このままこの女の子は、俺をあの世に連れて行く気なのか?」
なんて考えてるウチに、俺を揺り動かしていた女の子の手が、今度は俺の掛け布団をはごうとし始めた。
「うわあわあわ・・・・怖い、怖い、怖い」
俺は心の中で叫んでいた。 そして、とうとう俺の顔の半分程が布団から出てしまった。
そしてハッキリと見た! その女の子の顔を!!
俺は、子供は好きだが変な趣味はない。でも、思わず心奪われそうになるくらい、 可愛らしい女の子だった。
「か、かわいい~。超可愛いじゃん」
年齢は5才くらいか? 丁度、親戚にひろよちゃんと言う小さな可愛らしい女の子が居る。
丁度その子と同じくらいに感じた。
そしてその女の子の顔を見てから、さっきまでの恐怖感やドキドキはどこかに吹き飛んでしまった。
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女の子と目があった。
その子は、微笑みながら「パパ、遊そぼ!」とまた言った。
俺は、その子の可愛らしい仕草に思わず「う、うん」と頷いてしまった。
布団から出て、あぐらをかいて座っている俺にその子が抱きついてきた。
そして「パパ、ぎゅってして!!」って、甘えてきた。
軽く抱きしめながら、その子の髪をいい子、いい子してあげた。 この子の手は、とても柔らかで紅葉みたいにとても小さくて可愛かった。
その子は、上目遣いに俺を見て、少し微笑みながら気持ちよさそうにしていた。
「ああ、この子が20才くらいの子だったら、最高なのになぁ」なんて少しおかしな妄想しながら、 頭を撫でてたら、また要らぬ想像が俺の頭に浮かんだ
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もしかして、再度この子の顔を見ると化け物になってたり、あるいは、口からドヴァーと
血でもを吐いて、ウヒヒヒヒとか笑うんじゃないだろーな、なんてよくホラー映画にありがちな、
結末が頭の中を駆けめぐった。
俺は、頭を撫でながら、恐る恐るその子の顔を見た。
やっぱりさっきの可愛らしい女の子だった。
今度は、白い小さな歯(乳歯?)を小さな口から覗かせながらその子は、大きく笑った。 本当に、その子は楽しそうだった。
俺も、想像してたような事が起きなくてホッとした。 体の重さも、触った感じも、髪も、普通の5才くらいの女の子と何も変わらなかった。
俺は、その子に聞いてみた。
「お名前は何て言うの?」
その子から急に笑顔が消え、怖いくらいにキッと俺をにらみつけて、 「パパ、ゆうなのこと忘れちゃったの?」と、言ってきた。
俺は、かなりマズイと思った。
この子は、怒って化け物に変身して、俺をあの世に連れて行くのか? と思ってしまった。
しかし、俺から出た言葉は
「違うよ。ゆうなは、来年小学校に入るだろ? だから一人でお名前が 言えるのかな?って思って試してみたんだ」だった。
「なんだよかった! パパ、ゆうなのこと忘れちゃったのかと思った」
と笑顔がこの子に再び戻った。
正直、5才くらいにしてはしっかりとしてると思った。
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でも、この子を抱っこしながら思った。いくら可愛いとは言え、俺が見知らぬ子を抱いているのは、
おかしな事だし、奇妙なことだ。
事実、あり得ない出来事だ。 でも夢ではない。
しっかりと俺は一人の少女をこの腕に抱いている。 やっぱり怖くなった。この状況が飲み込めなくなった。
そこで思ったのは、名前と住所を言わせれば(聞き出せば)、何か解るかもしれないと言うことだ。
俺は言った
「ねぇ、ゆうなちゃん、自分の名前を住んでる場所を一人で言えるかな?」
「うん、言えるよ!」
そのゆうなという子は、大きな声で、名前と住所を言い始めた。
「※ ゆうなです!」(※は、俺と同じ名字だった!)
「おうちがあるところは、※※市※※※ 1××9番地です!」 ・・・って、おい! そこは俺んち住所じゃねーか!!
俺は、一体この子は何なんだーと思った。
それに隣の部屋に寝てるはずの親父が起きてこない。 これだけこの子が笑ったり、幼児特有の奇声を発したりしていると言うのに。
俺は、益々訳が分からなくなった。でも、確かに子供は俺の上に座って、甘えたり、笑ったり、 保育園での出来事を楽しそうに話している。
どれくらいの時間、この子と遊んだことだろう。
大分遊んだ気がする。 子供好きな俺にとっては、楽しい一時でもあった。
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急に、抱っこしている女の子の顔から笑顔が消えた。
「パパ、もうお別れの時間が来ちゃった・・・」と大粒の涙をこぼし始めた。
俺は、その顔を見てたら、思わず胸がキューンとしてしまった。
俺は「大丈夫だよ、また逢えるよ。そしたらまた一緒に遊ぼうね」と言った。
その子は、大きく頷いた。
でも、その子は、まだ悲しげに泣いていた。
俺「今度、いつ逢えるの?」
女の子「・・・・」
俺「・・・・」
女の子「8年後だよ、パパ!」
と言ったかと思うと、まるで蒸発するかのように、 その子は、俺の腕の中からかき消えた。 ・・・
その瞬間、部屋は、元の真っ暗闇に戻っていた。
俺は、(再びパニクり)急いで、電気を付けたけれど、もうその少女は消えていた。
夢か? 幻か? 幻覚か? 一体なんなんだ?
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やがて布団の中で眠りに落ちた俺は、朝を迎えた。
昼食の時、親父がぽつりと言った。
「昨日、久し振りに金縛りにあったよ。 その間、お前の寝てる部屋から、何か話し声や笑い声が聞こえてきたがTVでも見てたのか?」
俺は、「え?」と思ったが、もう一つ消せない事実がある。
少女は消えたが、あの子が持って来た小さなうさぎのぬいぐるみは、俺の枕元に残っているのだ。
あの子の言う8年後って一体何なんだ?
俺の子として産まれてきて、再び再会するという意味か?
でも俺に結婚とか、妻とか、子供とか・・・・うーん、これからもあり得ない事だろな、恐らく。
- 2: 20xx/ミステリー
- 怖くないけど、結構好きだ、こういう話。
- 2: 20xx/ミステリー
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乙
ええ話だったよ
ほっこり
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