世界のニュースまとめ（ザ・ミステリー体験）

1: 20xx/ﾐｽﾃﾘｰ master: 管理人です。

私達の住む日本には古来から受け継がれてきた様々な文化やしきたりがあります。

四季折々の風物詩や習わしなど実に多くの行事を長い年月繰り返し行ってきました。
その行事や風習・歌や言い伝えの中には、私達日本人が古来より大事にしてきたしきたりに隠された陰の歴史や忌まわしい、または、怨念が込められたエピソードが込められているようです。

このお話を読んで頂いた後には、ふとした瞬間に、いつもの日常とは違う何かが垣間見えてくるのではないでしょうか。

1: 20xx/ﾐｽﾃﾘｰ master: 今回は、「姥捨て山」について、である。

その昔、６０歳を迎えた年老いた我が親を山へ捨てる・・・・いわゆる『姥捨て山』の伝説が日本の各地で残されている。

身体が衰え、労働力が無くなり役に立たなく介護の人手が必要となった老人の存在は、貧しい農家では重荷の存在であった。

岩手県の遠野では、、このしきたりが明治時代まで続いていたそうだ。老人たちは、住み慣れた村に別れを告げ、遠く離れたデンデラ野という場所へと連れていかれた。

そこで共同生活を送り、やがては己の身に訪れる黄泉の国へと旅立つのである。現在も、デンデラ野近くの橋には、老母を背負う男の姿が彫刻され、忌まわしい過去を悼んでいる。

また、この近辺は心霊スポットの一つとしても有名だ。

もう一つ、『姥捨て山』伝説として名高い土地が信州にある。長野県北部にそびえる冠着山である。武田信玄と上杉謙信が激しい戦いを繰り広げた川中島にも近い地域である。ここに、老人を棄てていたという逸話が『今昔物語』、『更級日記』、『大和物語』など数多くの書物に記されている。

この、冠着山は別名『姨捨山（おばすてやま）』と呼ばれている。
しかしながら、これらの姥捨て伝説は実は悲劇な噺ばかりではないようである。

例えばこんな話がある。

年老いた母が息子に背負われて山奥へとたどり着いた時、老母は息子に優しくこう話した。

「ここまでの山中、木を折って道端へと落としておいた、それを目印にすればお前は迷わずに家へと帰れる」と。

差し迫る自分の氏を目前としながらも、我が子を思いやる母の深い愛情に息子は泣き崩れる。

結局は、母を山奥へ残して帰ることが出来ずそのまま連れ帰る・・・という話も多いという。

また、老人が長い年月をかけて培った知恵や機転を活かした事を示す逸話もある。

殿様がある隣国から難題を吹っ掛けられ困っていたが、その答えを老人が知恵を働かせ解いてゆくという話である。

例えば、「灰で縄をなえ」という問いに役人たちは頭を悩ませ四苦八苦して答えられずにいた。灰をどう使っても縄にはならない。
しかし老人はこの問いにあっさり「まず縄をなって、それをゆっくり焼けばいい」と答えた。

また、全く同じ姿かたちの馬を２頭連れて連れてきて、どちらが親でどちらが子か答えよ、という問いには草を用意した。

親馬は先に子供に草を食べさせるのだ。

隣国から「正解しなければ戦を仕掛ける」と脅されていた殿様は、老人の見事な知恵にいたく感激し戦の難を逃れる事が出来たという。

そうして老人の持つ知恵に感心し、『姥捨て山』の風習はやめにして老人を大切にしようと宣言したという。

肉体的な労働力は衰えていても、老いたからこそ持てる長年積んできた経験や知恵、技など大きな力があることもまた、姥捨て伝説を通して示しているのであろう。

『昔から言う事に嘘はない』と教えられ育ってきたが、今思い返せば大半は当たっているようだ。（迷信も含むが）

一つ一つの事柄に対して今まで無頓着に行って来たものの、ある一つのテーマをじっくりと紐解いてみると、実はそこには、深い意味が込められている事が多く、改めてその意味の深さに気づかされるも事も数多くある。

この『姥捨て山』の伝説は、一見、気の毒で薄情な話のようにも見えるが、深く掘り下げていくと,実に多くの学ぶべき要素を含んだ伝説であり、何となくだが、現代社会にも通じるものがあるように感じた。