bandicam 2017-07-11 08-05-31-707

1: 20xx/ミステリー体験 master
いわゆる、秋のオートキャンプだった。 大学の寮内バカメンバーだった広島のヤツらと3人で、 山陽にあるオートキャンプ場で、久しぶりに集まって一杯やろうか!という話になった。
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テントやらコンロやらをワゴンに詰め込んで、車内で昔話で盛り上がってるうちに、 山奥のすばらしいキャンプ場に着いた。

テントを張って、晩飯の仕込みをし、その間にも昔話で盛り上がってた。 そうこうしているうち準備も終わり、まだ時間があるんで、 ちょっと周辺を観光しようか、という話になった。 ドライバーのヤツは、寝とくわと言ったので、二人で散策することにした。

キャンプ場からものの5分のところに、大きな洞窟が口をあけていた。 古びた看板を読むと、こんなことが書かれていた。 「ここは、源平合戦のおりに、平家一門が隠れ住んでいたという伝説がある洞窟です」と。 そして看板のそばには、ちいさなほこらがまつってあった。

へぇ~、こんな薄気味わるいとこに、よう隠れとったなぁ。 そうじゃの~。なんて会話してて、ふとそいつに話したくなった。 「オレのご先祖に、平家の落人がいるらしいで」 そいつは、ふ~ん、と流した。本当のことなのになぁ。
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そのときだ。オレの頭の中に言葉がささやくようにひらめき、 つい口をついて出てしまった。

「・・・おごれる平家は、久からずや。おごれる源氏もまた、久からずや。 ・・・・世は、なべて諸行無常なり・・・・」 低い声だった。自分でもびっくりするぐらい。 でも、ヤツは聞いてなかったかのようだった。

じゃ、洞窟の奥に入る前に写真を撮るか、と、 ほこらと看板の前に立ち、入れ替わるようにして2枚撮った。 写真を撮りながら奥に進むと、いっそう不気味さは増した。 洞内のランプが途切れたその先は、飲み込まれそうな暗黒だった。 さすがに、これは進めないと、オレ達は引き返し、テントに戻った。
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楽しい宴だった。ただ、ものすごい冷たい風に、みんな毛布にくるまってたが・・・。 そうこうしているうちに、眠くなり、テントに潜り込んで爆睡してしまった。 そして翌朝、気持ちのいい朝だった。

みな早く起きたので、きのう残っていたヤツに、洞窟に行こうと誘ったのだが、 めんどくさいとぬかしたので、また昨日のヤツと行ってみた。 2度目なので、今度は怖くはなかった。

20分ほどでテントに戻ると、残ってたそいつがニヤニヤしていた。

「なんや?」

「おまえらのー、中で変なことしとらんかったか?w」

「おいおい!」

「いや、おまえらのすぐ後ろに、女がくっついて歩いとったぞw」

「・・・・どんな女?」

「そーじゃのー、髪の長い美人じゃったw」

またこいつ、昔の悪いクセが出たなwと、オレ達は軽く流してやった。

「うんうん、いっぱいしてもらったよwwww」

「えーのぉw」
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数日後、できあがった写真を見て、我が目をうたがった。 ほこらの前の、同じ場所で撮った2枚の写真だった。

最初に写ったオレのまわりは、ただの洞窟の岩肌だ。でも、 同じ場所に立った友人の写真は、なんとも言いがたいモノが写っていた。

友人の右ひざに、15センチくらいの男の顔。 右斜め前に、烏帽子のようなものをがぶった2メートルくらいの男の首が横たわっている。 そして、友人の背後には、4~5メートルくらいの、女官のような長い髪の、巨大な女の顔。
源平絵巻に出てくるような、武士や女官にそっくりだった。

その他、いろんなものがぐちゃぐちゃに混ざって、白いもやと共に写っていた。

・・・・・・・これは心霊写真か? 冷静だった。人間、本当に恐怖を感じると、感覚がマヒしてしまうことが、わかった。
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すぐに電話した。いっしょに洞窟に入った友人は、「そんなのいらん」と言って、怒ってしまった。 もう一人の残ってたヤツに電話したら、「ぜひくれ!」というので、 そっちで処分してくれ!と、速達でネガごと写真を送ってしまった。

数週間して、そいつから電話があった。 ヤツはそれを会社に持って行き、大反響だったそうだ。 おいおい知らんぞ・・・・。 そして、あのあと気になっていた事を、思い切って聞いてみた。

「あのな、オレ達のあとに女がついて来たって言ってたな」

「うん、おったでw・・・・あ」
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その後、彼はネガごと写真を紛失してしまった。

そのあとに、我々に起きたことは、書きたくない。 ただ、オレは数年後ひとりで、再びあの洞窟に行き、 ほこらにお酒をそなえて「ごめんなさい!ごめんなさい!」と、 謝ったおかげか、今のオレ達には、とりあえずは不幸は来ていない。

おそらく、オレは平家の皿を、本当に引いているのだろう、 そう実感した、出来事でした。



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