bandicam 2017-07-10 19-24-33-631

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(´・_ゝ・`)「伊藤君、怖い話ない?」

('、`*川「……」

図ったかのように現れる人だ。 その日、私が働いているファミリーレストランに来た先生を見て真っ先に思ったことが、それだった。

('、`*川「先生、私に盗聴器とか仕掛けてない?」

(´・_ゝ・`)「何で? あ、ナポリタンちょうだい。あとホットコーヒー」

('、`*川「……かしこまりました、ナポリタンとホットコーヒーですね」

踵を返そうとしたところ、先生に腕を掴まれた。 逃げられなかったか。

(´・_ゝ・`)「さっきの言い草からして、何かあったんでしょ」

('、`;川「……ああもう、口が滑った」

(´・_ゝ・`)「教えてよ」

にっこり、先生が笑う。 私は溜め息をつき、先生の手を振り払った。
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('、`*川「先生、妖怪には興味ないんでしょ」

(´・_ゝ・`)「何だ、妖怪の話?」

('、`*川「そう」 先生の目から興味の色が薄れた。

私は、今度こそ背を向ける。 その背中に質問が飛んできたので、振り返らずに答えた。

(´・_ゝ・`)「どんな妖怪?」

('、`*川「ろくろ首」

瞬間、先生が「待った」と声をあげた。

第十夜『長い首』
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バイトが終わって、夕方。 私は、ある人を連れて喫茶店へ向かった。 そこでコーヒーを飲みながら待っていた先生が、私達を見付けて片手を挙げる。

ミセ*゚ー゚)リ「あれ、デミタス先生じゃん」

ある人──ミセリさんという女性は、目を丸くさせた。 彼女は、私と同じファミリーレストランで働いている先輩だ。

(´・_ゝ・`)「何だ、君か」

ミセ*゚ー゚)リ「『何だ』って何だよー。 こんにちは。あ、こんばんはかな?」

ミセリさんが、先生に気安く話しかけながら向かいの席に座る。 私はその隣に腰を下ろした。

('、`*川「知り合い?」

(´・_ゝ・`)「うちの学部の学生だよ」

('、`;川「えっ、そうなんですか」

ミセ*゚ー゚)リ「そうだよー」

大学4年生だとは聞いていたけれど、まさか先生の教え子だったとは。
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ミセ*゚ー゚)リ「ペニサスちゃんが言ってた『おばけに詳しい人』って、デミタス先生のこと? なあんだ。詳しいっていうか、ただ怪談好きなだけじゃん。この人」

先生の趣味は学内でも有名らしい。 ころころと笑いながら、ミセリさんはメニュー表を手に取った。 先生が私に視線を送る。


(´・_ゝ・`)「ミセリ君が伊藤君にろくろ首の相談をしたの?」

('、`*川「相談っていうか、雑談の一部だけどね。今日、制服に着替えてるとき──」
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──その日の昼頃。 私とミセリさんは、ロッカールームで着替えていた。 最初は、他愛ない世間話だった。 ふと会話が途切れたときに、ミセリさんがぽつりと言った。

ミセ*゚ー゚)リ『この間、友達と5人で肝試し行ったんだよねえ』

('、`*川『肝試しって、どこにですか?』

ミセ*゚ー゚)リ『シベリア中学の裏山。  初めは5人でドライブしてたんだけどさ、夜になって、どっかの山に入ってみようってことになったの』

ミセ*゚ー゚)リ『で、近くにシベリア中があったから、裏山の中に車で入ってったわけよ。 まあ、これといって事件もなく、道が悪すぎて酔う子も出てきたから 途中で引き返したんだけど……』

ロッカーの扉を閉め、ミセリさんは小首を傾げた。
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ミセ*゚ー゚)リ『なんか、それ以来、ろくろ首が出る……らしいんだよ』

('、`;川『……は? ろくろ首?』

ミセ*゚ー゚)リ『ろくろ首。首伸びるやつ』

('、`;川『ろくろ首が出る?ミセリさんのとこにですか?』

ミセ*゚ー゚)リ『そうそう。いや、私は見てないの。周りの人が「見た」って言うわけ 今時ろくろ首って。ねえ?』

ミセリさんがロッカールームを出ていったので、そこで話は終わった。 その後、先生が店に来て、私がうっかり口を滑らせて、 先生が「その人と話したい」と言い出して、 私がバイト終わりに「ろくろ首について何か分かるかも」とミセリさんを連れ出して。 そして喫茶店の会合に至ったわけである。
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(´・_ゝ・`)「──もうちょっと詳しく話してくれる?」


ミセ*゚ー゚)リ「オッケー。  詳しくって言っても、裏山に行った話はペニサスちゃんに話した通りだけどさ」

注文を済ませたミセリさんは、こくりと頷いた。 やたらノリが軽い。

まさか騙されているのでは、と、ちょっと疑った。

ミセ*゚ー゚)リ「山に行った次の日に、バイト中、変なこと言われたわけ」

ミセリさんいわく。 最初に「ろくろ首」を見たのは、バイト仲間だったという。 料理を運んでいるミセリさんに目をやると、 ミセリさんの横に、人の形をした、薄い靄のようなものがいた──と言われたらしい。


ミセ*゚ー゚)リ「人の形っつっても、かなり首が長かったのね」

ミセリさん本人は、そんなもの見なかった。

気味悪く思いながらも、そのときは、バイト仲間の見間違いか何かだと判断した。
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しかし。

ミセ*゚ー゚)リ「次の日も言われたの。友達と駅で待ち合わせしたときだったかな」

待ち合わせ場所に来た友人は、件のバイト仲間と同じようなことを言った。 ミセリさんの傍に、首の長い、人型の何かが居たと。 しかし、一つ違うことがあった。 その友人には、ただの靄ではなく、男のように見えたらしい。

それから度々、色んな人が「ろくろ首」を目撃するようになった。 ミセリさんの傍にいることと、首が長いことは共通している。 ミセリさん本人には見えないというのも変わらない。


ミセ*゚ー゚)リ「見る人によって、靄みたいにぼんやりしてたり 男だって分かる程はっきりしてたり。結構ばらばらだね」

(´・_ゝ・`)「そこは、その人の霊感によるんだろうね」

先生の返答を聞いて、ミセリさんは笑った。

その反応で何となく分かった。

彼女はこういう話を信じない──どころか、馬鹿にする──タイプの人だ。
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ミセ*゚ー゚)リ「なるほどね。そういうところでリアリティ出すわけだ。 あいつらも暇だねえ」

('、`;川「あいつら?」

ミセ*゚ー゚)リ「みんなで私のことビビらせようと思ってるだけだって、どうせ。 口裏合わせてさ」

放っときゃ、みんな飽きるよ。 そう言ってミセリさんは足を組んだ。

対して、先生は「ふむ」と唸りながら顎を摩った。 顔面に好奇心が張りついている。

先生は、妖怪の類には興味がないのではなかったか。 私は先生の様子を眺めながら疑問に思っていた。 ミセリさんは先生を見つめ、笑いながら提案した。

ミセ*゚ー゚)リ「先生そんなに興味あるなら、一緒に裏山行ってみる?」
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──先生が断る筈もなく。 私達は先生の車で、シベリア中学校の裏山へ向かった。 どうして私まで連れていかれなきゃいけないのだろう。

(´・_ゝ・`)「この道から車で入ったの?」

ミセ*゚ー゚)リ「……うん」

不思議なことに。 先生の車が山に入るなり、ミセリさんは少し元気がなくなったようだった。 じっと俯いている。

(´・_ゝ・`)「伊藤君は窓の外見てて。何か見えたら教えてね」

('、`;川「やだ」


まだ完全に日が落ちていないとはいえ、山の中は暗い。 私は、運転席の先生と助手席のミセリさんにのみ視線を向けた。
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しばらく行くと、ミセリさんが口を開いた。

ミセ*゚ー゚)リ「ここら辺で引き返したと思う」

(´・_ゝ・`)「ここ?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん……あの大きな樹、見覚えあるから」

(´・_ゝ・`)「伊藤君、ここまで来る間に何か見えた? ──伊藤君。伊藤君?」

私はそれどころではなかった。 後部座席のシートの上で丸くなるようにして横たわり、吐き気に耐えていた。 つまり悪路で車が揺れすぎたので酔った。

(´・_ゝ・`)「……ミセリ君、ダッシュボードからビニール袋取って」

ミセ;゚ー゚)リ「うわ、大丈夫? ちょっと待って」

(´・_ゝ・`)「早くして」

ミセ;゚ー゚)リ「は、はいはい。あ、これ? どうぞ」

乙女の恥じらいとして、細かい説明は避けるけれども。

敢えて言うなら間一髪だった。
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結局「特に分かったことはない」ということで、お開きになった。 何だったんだ。 家に送り届けてもらい、私は先生とミセリさんと別れた。

('、`*川「──あれ」

川д川「あ……こんばんは」 来客あり。


居間のソファに座っていた女の子が、ぺこり、頭を下げる。 私は彼女に微笑みかけた。

('ー`*川「久しぶり、貞子ちゃん」 貞子ちゃん。

近所に住んでいる、弟の幼馴染みだ。

爪'ー`)「おかえり」

ソファに寄り掛かるようにして床に座っていた弟が、持っていたチラシを振った。 不良というほどではないにしろ、派手な見た目で素行も決して良いとは言えない弟に対し、 貞子ちゃんは大人しくて、どちらかと言えば「地味」グループに所属するような子である。

それでも仲がいいのは、昔から築き上げてきた、兄妹のような感覚が色濃く残っているからだろう。
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('、`*川「あんたら2人で何してたの?」

爪'ー`)「夏休みの課題片付けて、あとはDVD見てた」

('、`*川「そう。……母さんは?」

爪'ー`)「親父と一緒に出掛けてる。帰りは遅くなるから、俺らで適当に飯食っとけってさ」

弟の持っているチラシが、ピザ屋のものだと気付いた。 ちゃっかりクーポン券まで切り取ってある。

爪'ー`)「もう少しで兄貴帰ってくるから、そしたらピザ頼もうぜ」

('、`*川「はいはい、私が払うのね。──貞子ちゃんも食べてく?」

川д川「私は、家でお母さんがご飯作って待ってるので……」

そろそろ帰ります、と貞子ちゃんは言った。

残念。久々にたくさん話したかったのに。
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('、`*川「フォックス、あんた、貞子ちゃん送ってきなさいよ」

爪'ー`)「えー? すぐそこじゃんかよ」

('、`*川「すぐそこでも送るもんなの」

爪;'ー`)「痛っ、分かったから蹴るなよ!」

文句を言いながら弟が立ち上がる。 貞子ちゃんも鞄を抱えて腰を上げ──

川д川「……お姉さん、山とか行きました……?」

私を見つめながら、訊ねた。

それから、ぱたぱたと私の右肩を軽く叩く。

('、`;川「何で分かるの……。え、ていうか、何かついてた?」

私の質問には答えず、貞子ちゃんは、やんわりと微笑んだ。

──貞子ちゃんは、生粋の霊感少女だ。 それを証明する言動や行動、現象が昔から多発していたので、 貞子ちゃんの両親や我が家の人間は、みんな事実として受け入れている。
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爪'ー`)「貞子、行くぞー」

居間の入口から弟が声をかける。 返事をして、貞子ちゃんは私に一礼した。 ふと気になることがあったので、呼び止める。

('、`*川「貞子ちゃん」

川д川「はい……?」

('、`*川「ろくろ首って見たことある?」 貞子ちゃんは、首を傾げた。

いいえ、と一言。

('、`*川「じゃあさ、首が長い幽霊は?」

数秒間、彼女は口を噤んだ。 再び弟が貞子ちゃんを呼び、それに返事をする。 去り際、ぽつりと答えられた。


川д川「ありますけど……あんまり、いいものじゃないですよ……」
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翌日、朝っぱらから先生が私の家に来た。  

「分かったことがあるから、昼になったら喫茶店においで」と告げ、さっさと帰っていったけれど。
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午前のバイトが終わり、私は喫茶店に行った。 先生とミセリさんが待っていた。

(´・_ゝ・`)「──僕は、ろくろ首じゃなくて、人間の幽霊だと思うね」

('、`*川「はあ」

早々、先生は本題に入った。 鞄からファイルを取り出し、私とミセリさんの前に出す。 新聞記事のコピーが挟んであった。 ミセリさんの顔色が変わる。
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('、`*川「何これ?」

(´・_ゝ・`)「伊藤君は新聞の読み方も知らないの?」

黙って読め、ということだろう。 私は先生の足を踏んでやろうか考えながら、記事に目を通した。

('、`*川「……自害?」

ミセ*゚-゚)リ「……」 日付は5年前。

シベリア中学校の裏山でサラリーマンのI体が見付かった、という内容だった。 方法は、首つりとのことだ。 自札を図った理由までは、詳しく書かれていなかった。
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(´・_ゝ・`)「首つり氏体は首が伸びる」  

コーヒーを飲みながら、先生が言った。

(´・_ゝ・`)「首に体重をかけるからね。  吊ったまま何日も放置していると、下へ下へと引っ張られて、伸びてしまうわけだ」

('、`;川「そうなの?」

(´・_ゝ・`)「勿論、状況や環境によるだろうけど。 ……ろくろ首って聞いて、もしかしたらと思ったんだよ。 それで調べてみたら、こんな記事を見付けた」


('、`;川「じゃあ、ミセリさんの友達が言ってた『ろくろ首』って……──」

ミセリさんが私の手からファイルを奪い取り、床に叩きつけた。
店内が、しんと静まり返る。
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ミセ* - )リ「くだらない」

それだけ言って、ミセリさんは席を立った。 ファイルを踏みつけ、店を出ていく。 私と先生は顔を見合わせた。
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何となく話を続ける雰囲気じゃなくなって、私は午後のバイトに出るため喫茶店を後にした。 直前、先生から、どこで何時まで働くのか訊ねられた。 で、覚悟はしていたのだけれど、バイトが終わって外に出ると、先生が待っていた。


('、`*川「……」

(´・_ゝ・`)「うんざりって顔だね」

('、`*川「どこに行くっていうの?」

(´・_ゝ・`)「話が早い。──あの裏山行こう。幽霊が出る根拠があるんだから、見れるかも」

('、`;川「ああもう、想像通りだわ! 行かないわよ!」

(´・_ゝ・`)「伊藤君がいないと駄目なんだ」

('、`;川「棒読み丸出しじゃないの!」

車に押し込まれた。 拉致とか、そういうものに当たるんじゃなかろうか。これは。
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裏山に入って。 途中まで車で進み、適当なところで降りた。

私が酔わないように、という配慮らしい。もっと別のところで配慮すればいいのに。 真っ暗だ。 先生が懐中電灯のスイッチを入れる。

('、`;川「ほ、本当に行くの?」

(´・_ゝ・`)「大丈夫だよ、ここを真っ直ぐ行くだけだから迷わない」

そりゃあ、車が通れるほどの道はここしかないから そうそう迷わないだろうけれど。 私の心配は、そこではない。 夜の山は色々出やすい。 前に貞子ちゃんが言っていた。

('、`;川「怖い……」

(´・_ゝ・`)「なに面白い声出してるの」

('、`;川「か弱い声だよ馬鹿野郎」

言いながらも先生はずんずん歩いていくし、 私も置いていかれては堪らないので後をついていくしかなかった。
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気付けば結構進んでいた。 幽霊だけではなく虫への恐怖に怯えながら、先生の隣に並んだ。

(´・_ゝ・`)「何か見える?」

('、`;川「何も……」

(´・_ゝ・`)「んー、どの樹で首をつったのか分かれば、まだ目的地の設定が出──」

('、`;川「──ぎゃあああっ!!」

先生が左へ顔を向ける。 それと同時に、正面を照らしていた懐中電灯の光の中に誰かが入り込んだ。 絶叫して先生にしがみつく。 先生は「うるさいよ」と言って、正面に光を向け直した。

いる。

誰かが、こちらに背を向けて座り込んでいる。 心臓が飛び散りそうだ。

けれど、時間が経つにつれ落ち着いてくる。 見覚えのある後ろ姿だった。
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(´・_ゝ・`)「ミセリ君」

ミセ*  )リ ミセリさんだ。 先生が呼び掛けても、じっと黙っている。

何だか、異様な空気だった。 先生にも見えているということは、間違いなくミセリさん本人なんだろうけれど。

('、`;川「ミセリさん……?」

ミセリさんは、樹を見上げていた。 先生が視線の先を照らす。

そこにあるのは太い枝。 新聞記事を思い出し、ぞっとした。
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ミセ*  )リ

('、`;川「……ミセリさん!」

私はミセリさんに駆け寄った。 彼女の肩を抱き、大声で名前を呼ぶ。

ミセ*゚ー゚)リ ミセリさんの目がぐるりと私を見て、口元がつり上がった。
笑って、ミセリさんは樹を指差す。

('、`;川「ミセリさ……──」

視界の端に、何かがちらついた。 足。

私は。 私は、ほぼ無意識に、そちらを見てしまった。
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男がぶら下がっている。 ぱんぱんに膨れ上がった顔。 目玉が飛び出し、口の端からは、だらりと舌が零れ出ている。

そして──首が、長かった。 彼を支えているのは、首と枝を繋ぐロープだけ。 喉がびりびりと震えて、自分が叫んでいるのに気付いた。

ミセリさんを抱えるようにして引っ張り、先生のもとに走る。 先生の後ろまで来たところで足が縺れ、ミセリさんごと転んだ。

振り返ると、男は消えていた。

(´・_ゝ・`)「どうしたの、君達」

ミセ* - )リ ミセリさんの顔は、もう笑みを浮かべていなかった。 無表情で震えていた。
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ミセ* - )リ「……私が悪いんじゃないもん……」

何が、と問う余裕は、まだ私に戻っていなかった。 代わりに先生が訊ねる。

(´・_ゝ・`)「何のこと?」

ミセ* - )リ「……」 静寂。 虫の鳴き声が響いている。 痺れを切らした先生が、さらに問い掛けた。

(´・_ゝ・`)「あの自害した人と、知り合いなの?」

ミセリさんの肩が揺れる。 私は先生とミセリさんを交互に見るしか出来なかった。

ミセ* - )リ「……お金……」 小さな声で、ミセリさんは言った。
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ミセ* - )リ「お金くれるから相手しただけ……」

('、`;川「……お、お金?」

ミセリさんは、手元にあった石を握り締めた。 そして、先程の樹に向けて投げつける。

ミセ# д )リ「──女子高生に誘われたからって簡単に金払う方が悪いんじゃん!!」

幹に当たった石が跳ね返り、地面に落ちた。 ミセリさんの顔には、怒りが滲んでいる。

ミセ# д )リ「ろくに金持ってないくせに女子高生買うのに必4になって!! バカよ! 馬鹿だったんだよお前!!」

ミセ# д )リ「馬鹿で遊んで何が悪いんだよ!!」

ぎし、と、軋むような音。 枝が揺れている。

私はミセリさんを引っ張り起こすと、道を駆け戻った。
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ミセリさんは興奮状態にあった。 何事かを喚き散らし、私達の言葉に答えようとしない。 先生は私を家に送ると、ミセリさんを乗せたまま、どこかへ行った。

その日、私は色々なことが気になって、ろくに眠れなかった。
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(´・_ゝ・`)「高校生の頃、お小遣い稼ぎのために体を売っていたそうだよ」

翌日。 またもや朝っぱらから私の家に来た先生は、玄関先で、 ミセリさんから聞き出した話を教えてくれた。

(´・_ゝ・`)「あの自札した男性は妻子持ちだったけれど、 家に帰るより、ミセリ君を買うのに夢中になっていたんだって」

('、`*川「……はあ」

(´・_ゝ・`)「彼を見下しきっていたミセリ君は、ほんの遊び心から、 匿名で彼の奥さんに手紙を送ったらしい」

(´・_ゝ・`)「友人に頼んで撮ってもらった、ミセリ君達がホテルに入る瞬間の写真を同封してね」

('、`*川「……」 後は、大体予想がついた。

話を続けようとする先生を、手で制す。

('、`*川「ミセリさんは今どうしてるの?」

(´・_ゝ・`)「さあ。 僕が知る限りで、評判のいい神社やお寺をいくつか紹介しといたけど。 行くかどうかは彼女次第だろうね」
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(´・_ゝ・`)「……ああ、そうそう。 昨夜、ミセリ君をマンションまで送ってあげたときにさ。 あの子、街灯見上げて、悲鳴あげてマンションに入ってったよ」

彼女本人も見えるようになったのかな、それとも幻覚かな。 腕を組み、先生が呟く。 いやに暗い気持ちになって、私は俯いた。

('、`*川「……先生は、ミセリさんのこと心配しないの?」

俯いた私には、先生の表情が見えなかった。 ただ──声は、いつもと変わらないようだった。

(´・_ゝ・`)「可哀想ではあるけど、彼にしてもミセリ君にしても、自業自得じゃないかな」 そうだ。 だからこそ、こんなに嫌な気持ちになるのだ。
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ミセリさんを見なくなった。 バイトにも来ない。

ミセリさんの友人でもあるバイト仲間は、外で散歩しているところを見かけたから 体調不良ではなさそうだと言っていた。 そのとき、ミセリさんは、シベリア中学校の近くを歩いていたらしい。 ミセリさんに電話をかけても、出てくれなかった。 私だけでなく、店長や友人からの電話にも出なかったそうだ。
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一週間ほどしたある日、私は夜道を歩いていた。 家に帰る途中だった。

('、`*川(……ミセリさん、大丈夫なのかな)

店長かミセリさんの友人に話して、彼女の家に連れていってもらおうか。 そう思いながら、街灯以外に明かりのない道を歩く。

とある街灯に差し掛かった瞬間、目の前に足が降ってきた。
顔を上げる。 女が首をつっていた。

ミセリさんの顔だった。

〈ゲエッゲゲッエッエッ〉

嘔吐するときのように喉を鳴らし、彼女は笑った。 私が尻餅をつくと同時に消える。 それから数分後、ミセリさんが自室で首をつっているのが発見されたという連絡があった。 脱臼したのか、僅かに首が伸びていたらしい。
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(´・_ゝ・`)「後味が悪いね」

次の日、全てを聞いた先生のリアクションはそんなものだった。 それしか感想がないのか、とか、薄情な奴だ、と感じるのが普通かもしれない。

けれど、いつもと大して変わらない先生の反応は、何となくありがたかった。 これで先生にまで落ち込まれていたら、私の気持ちはどこまでも沈む一方だったと思う。
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数日後、貞子ちゃんが家に来ていたので、一連の出来事について話してみた。

先生のことはあまり詳しく説明せずに。 変なことに首を突っ込むな、と軽いお説教をされた。 ごもっともだ。 そして、あの夜、私の前に現れたミセリさんについて訊ねると。

川д川「多分、最後の最後に、お姉さんに八つ当たりしただけだと思います…………何の影響もなさそうだし、忘れるのが一番です……」

と、答えられた。 そうは言われても

──忘れることなど、出来るだろうか。 きっと無理だ。


第十夜『長い首』 終わり



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引用元:http://toro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1186053286/