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みなさんは妖怪に出会ったことはありますか？
妖怪こそないにしろ普段の日常生活の中で、時折不気味な気配や闇に潜む怖さなど少しでも感じた方結構多いのではないでしょうか。
今回お届けする妖怪は神の力を宿すと云われる「天狗」についてのお話を見ていきたいと思います。
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これからの季節、山へハイキングへ行ったりする機会が多くなる人もいるだろう
「河童」と並び、昔話の中や民話などに登場する日本の国民的な妖怪「天狗」もメジャー級の妖怪である。
「天狗」は山の神とも云われており、昔から山で怪異的な事が起こると『「天狗」の仕業じゃ』と恐れられていた妖怪であるのだが、 そもそも天狗とは、中国における、災いをもたらす流星を呼ぶ名前だった。
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日本でも中国からのその呼び名が流星に用いられていたこともあったようだが、次第にそれは山岳信仰と結び付いていくようになっと見られている。 そうして民間では、畏怖の対象であった山での怪異的な現象が起こると、いつからか「天狗の仕業」とされるようになり、山で暮らす山伏達と同一視され
るようになってゆく。
現在最も一般的なイメージとして思い浮かぶ、赤ら顔で長い鼻を持ち、山伏装束に羽団扇を仰ぎ、山々の木々を飛び回る天狗のイメージが強く、 人々の心に刻まれていったのであろう。
また、「天狗」の容姿の特徴にはそれぞれ時代ごとに異なって伝わっていたとも云われている。先に書いた鼻高天狗の姿は、江戸時代に広まったものであり 中世までは、嘴（くちばし）や翼を持った鳥天狗のイメージが一般的であったという。
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天狗のイメージが鼻高赤肌でほぼ定まったのは、牛若丸に剣術を教えたとされる鞍馬天狗が描かれてからだ、と言われている。
そして後に天狗は山岳信仰と結びつき、修験者、山伏の恰好で描かれるようになった。
（国立国会図書館蔵の牛若丸と天狗の絵図には鼻高天狗の姿で描かれている。）
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では、「天狗」の仕業とは一体どのようなものであったのであろうか。
例えば、「天狗倒し」。これは、山中で木の倒れる音を聞こえ、様子を見に行くが何処にも倒れた木が見当たらない。また、誰もいない山の上から、小石や 砂が落ちてくるという「天狗つぶて」、子供が迷子になると「天狗」現れ子供と会話するという「天狗隠し」などがある。
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「天狗」に関する日本最古の文献は、「日本書紀」に記載があり、舒明天皇9年（637年）に大流星が起こりそれを『天狐（アマツキツネ）』と記し
たものが残されている。
平安時代末期には、「天狗」は仏法を貶す邪悪な魔物と考えられ、やがて時代が下がっていく事に、その見方に変化も現れ民間伝承の中での「天狗」は ”なにか得体の知れないあやかし”という扱いになっていったのだという。
とにかく色々な歴史を持ち、いまだに沢山の起源説が存在する天狗。しかし天狗が山の神であるという考えはほとんどの説で共通しており、 山岳信仰というものがいかに歴史があり、かつ複雑で深いものであるかも窺える。
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静岡県伊東市の佛現寺には、「天狗の詫び証文」という天狗を退治した際に木の梢から落ちてきたと伝わる証文が保存されている。
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天狗は慢心の権化という側面も持っている。そのため今日でも「天狗になる」と言って調子に乗ってる者を指し示したりする。
基本的に、有名な大きい霊峰には必ずなんらかの天狗が祀られている。
山と天狗は切っても切れない関係なのだ。
自分の住む地域に有名な山があるのなら、そこにも天狗が祀られていないか調べてみると面白いかも知れない。
地域ごとに違った「天狗」の姿を確かめてみるのもこれまた乙な話である。
さて次回はどんな妖怪の話をしようか。それでは、次回もお楽しみに。
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