1: 2017/4/01 00:02 master-
俺が大学生だった10年くらい
前の話なんだけど、
自称霊感の強い後輩Aと 古いリサイクルショップへ行ったときの話。
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リサイクルショップと言っても築30年は軽く経ってそうな
ボロボロの外観の骨董品屋と言ったイメージだ。
店の上の看板には「貴金属・骨董品・電化製品・オーディオ」と 手書きで書かれており、おそらく骨董品屋からなんでも 屋になったんだろう。
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もともとAの電子レンジを買うために出掛けてたのでちょっと
覗いてみようと俺は店に入った。
俺は霊感なんて全く信じていなくて、自称霊能力者のAも 合コンで目立つための技みたいなもんなんだろうと 内心バカにしていたが、そんな俺でも店の中に 入った瞬間、違和感というか、なんか嫌な予感がした。
あの感覚はあのとき初めて味わったものでうまく 言葉で言い表せない。
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- でも、その嫌悪感の正体はすぐにわかった。
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とにかく品物が乱雑に並べられ、骨董と骨董の間に
パソコンが置かれてたり、古書が並んでる端に
ブックレスト代わりに皿が置かれてたり、あまりにも
規則性がなさすぎて気分が悪い。
店主の姿が見えなくて「万引きし放題だな」 ってAに話しかけたがAがいない。 Aはまだ店先でボーッと上の看板を見てやがる。 「おい!あったぞ!電子レンジ5000円」って 声かけたらやっとAが店の中へ入ってきた。
A「やっぱり中古はやめとく・・・」 俺「まぁそんな安くもねぇしな・・・5000円」 その後すぐにAがつぶやく「それに何かいる・・・ここ」 一瞬ドキッとしたがイライラしてきた。
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いかにも出そうな店でお約束の霊感かよって
思いながら「どこらへんにおるの?」と聞くと
黙ってAは上を向く「上?」俺も真上を見るが
薄暗い天井と蛍光灯しか見えない。
俺とAは店の奥へ向かうとそこには階段があった。
一階が意外と広い事にも気がついた。
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例の乱雑さで商品が並んでる棚が3列置いてあった。
俺が階段を昇ろうとしたときAが小声で「ヤバい。 もう見られてる」と言った。
コイツ、俺を怖がらせて喜んでんじゃねーか? と思いながら階段を昇った。 しかし、一段目を昇ったとき周りの空気が 急にひんやりしてるのに気が付いた。
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階段を昇る度に何か嫌な予感がしてならない。
進むのがためらわれる。
やっと徐々に2階が見えてきた・・・。
意外と明るい・・・。
最後は足元に注意しながら一気に階段を登った。 2階の光景を見て愕然とした。 辺り一面全部着物だ。
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それも成人式や結婚式で着るような派手な晴れ着だった。
ズラーッと奥まで案山子みたいに
袖に棒を通されて立っている。
その時、奥の着物が揺れたように見えてそちらに目を向けた。
その時はっきり俺は見た。
あきらかに敵意を持った目の女性の顔だった。
ゆれた着物の後ろに女性がいる!
俺は急に息が苦しくなった。
吐き気がした。
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後ろからあがってきたAが何か言ったが何を
言ったのかわからない。
俺はそこで意識を失った。 目が覚めるとAとおっさんがしゃべってた。
しゃべってる内容はわからなかった。 だが自分のいる場所はわかった。 まだ二階にいる。
もう着物の方は見れない。
またパニック寸前になりながら逃げようとするが うまく立てず階段の前でコケる。
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Aとおっさんが支えてくれてやっと階段を降りる。
すぐに店の前まで出て排水溝におもいっきり吐いた。
まっしろなものが排水溝に流れる。
苦しくて苦しくてこのまま気を失って 亡くなってしまうんじゃないかと思った。
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Aが背中をさすりながら「あの目を見ましたよね?」
と聞いてきて、また思い出して吐いた。
Aが「吐けるだけ吐いた方がいいっすよ」 と言ってたが俺は妙に「なるほど」と納得した。
Aの言葉通りひとしきり吐くと楽になってきた。
俺「アレが幽霊?」
A「そんなところです」
A「でも、幽霊というよりは怨霊だと思います」
A「店主とも話したけどあの着物は全部中古だそうです」
俺「もしかしてあの女は前の持ち主か?」
A「そうだと思います」
A「ここからは推論ですが」とAが説明してくれた。
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要するに晴れ着は成人の祝いや結婚式に親が娘に
買ってくれる大事なもので、やむにやまれぬ
事情を抱えた女性が質入する場合が多いこと。
その晴れ着に対する未練やうしろめたい感情が 集中する場所だったこと。
俺が見たあの敵意丸出しの目は晴れ着を見に 来る客を遠ざけようとする女性達の目で俺が 店に入ったときから見られていたらしいこと。
今もあの顔を思い出すと少し気分が悪くなります。
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