bandicam 2018-08-16 17-33-33-238


1000: 20xx ザ・ミステリー体験
都会の地下に潜む者

みなさん、暗渠(あんきょ)って知ってますか?地下にある川のことで、普段は大きな地下通路として都市の下にあります。


雨水管や地下鉄と繋がっていて、大雨時には放水路になります。


私たちが学生の頃、そこを探検するのがはやっていました。東京のとある大河川の暗渠によく潜っていましたね。


入るのは簡単で、川沿いに開いた入口から上流へ歩いていくのです。数人で懐中電灯を持って出かけます。見つかると怒られるので、大抵は夜間にこっそりと行くのです。


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1000: 20xx ザ・ミステリー体験
ハトの寝床らしく、入口に大量のハトがいたこともありました。遠くから地下鉄の音が聞こえる場所もありました。穴が下向きに蛇行して地下水路の入口になっている場所もありました。


何度か行った感想ですが。非日常空間が日常の下に拡がっているわけです。楽しい暗渠探検でしたが、あるときを境にキッパリやめました。


それがこれから話す事件です。


その日に探検した暗渠は、比較的大きな規模でした。四角形の入口は、高さ5mで横幅10mほど。


入口を少し進むと、高さ3mくらいの丸穴がどこまでも続いていました。5分ほど進めば、入り口の明かりは全くみえません。


穴の中には明かりもほとんどありません。懐中電灯を消せば周囲は何もない闇です。


この暗渠、基本は一本道ですが、途中にはいくつかの横穴がありました。人が入れないくらいの小さな雨水管はいくつも開いてました。


人が入れるくらいの横穴で、マンホールに通じてる穴もありました。


調節池と思われる深さ10mくらいの井戸の様なものもありました。ここには蛍光灯や点検口があり、たまに人が出入りしてると想像できます。


一本道を寄り道しながら歩いて、30~40分くらいでしょうか、穴の最奥部にたどり着きました。学校の教室くらいの空間があり、天井は5m近くありました。


出口らしきものを見つけてハシゴを上がってみました。しかし、そこから出ることは出来ませんでした。


硬い金網の蓋ががっちり固定されていて、蓋が外れないのです。外の風景は見えました。どうやら内陸にある公園を流れる小川の縁みたいです。


距離にして数kmは歩いたことが、そのとき判明しました。仕方なく元来た道を歩いて戻ることにしました。
1000: 20xx ザ・ミステリー体験
来た道を数分戻ると、また前後は真っ暗闇になりました。てくてく歩いてる最中、突然一人が立ち止り言いました。


「おい、なんか変な音がしないか?」


全員歩みを止め、声を出さず、耳をすまして音を探しました。


うーーヴ----ヴヴーーーンキュア--


唸り声みたいな、モーターみたいな、何とも言えない音がかすかに聞こえます。


「また地下鉄の音じゃねーの?前にもあったろ?」


「いや、地下鉄の音はもっと連続的だろ?」


「車の音かな?」


「行きは無音だったよな?」


「なんだこれ?」


ヴーーヴヴヴヴウーーキャアア…


音は不規則ながらも続けて聞こえます。そして、なんだかこちらに近づいているようにも…
1000: 20xx ザ・ミステリー体験
ぱちゃぱちゃぱちゃ


遠くから水音が聞こえます。トンネルの真ん中には数cm程の水深で水が流れており、それを踏みつけた時の音に似ています。


「どこかで水が漏れてるのか?」


「それにしちゃあ、音が不規則だよ」


「やばいよ、誰か来たんじゃねーか!」


水道局か何かの職員が、マンホールから見回りに来たのかと思いました。全員、ライトを消して息をひそめ、音の様子をうかがいました。


ぱちゃぱちゃぱちゃぱちゃぱちゃぱちゃ


足音らしき音はさっきより近付いてるようです。
1000: 20xx ザ・ミステリー体験
「なあ、見回りに来たんなら、おかしくねーか?」


ひとりがそう言いました。


「この穴、ほぼ真っすぐなんだから、懐中電灯の明かりが見えるだろ?」


「こんな暗闇の中、懐中電灯もなしに見回り?しかも深夜だぞ?」


たしかにその通りです


「暗視ゴーグル?」


「レンジャー部隊とか工作員じゃねえだろうな?」


「サバゲーでもやってるとか?」


「まさかw」


「そういうのなら、もっと音立てないでひっそりしてるだろ」


ヴヴヴヴヴーー!うううーーー!キャアア! さっきより音は大きく聞こえました。どうやら次第に大きくなっているようです。
1000: 20xx ザ・ミステリー体験
バチャバチャバチャバチャバチャ


水音もさっきより大きくなっています。私は確信しました。この音はこちらに近づいている。しかも、人間だとすれば一人や二人じゃない。


これは何か変だ。


皆も同じことを考えたのでしょう。誰からというわけでなく、皆でライトを付けて入口の方へ走り出しました。


バチャバチャバチャバチャバチャバチャ


あちらの音はそう遠くない位置から聞こえます。が、音のほうを照らしても何も見えません。私たちが走ってる最中も、後ろから聞こえ続けました。
1000: 20xx ザ・ミステリー体験
バチャバチャバチャバチャヴヴヴーギャアアアウウウー


ときどき立ち止まって耳をかたむけると、その音はペースを速めてこちらに近づいているようでした。


私たちは全力で走りました。へとへとになって、もう走れないと思ったとき、入り口の明かりが見えました。


外へ出るため、わき目も振らずに猛ダッシュしました。そうした甲斐あってか、何とか外に出ることが出来ました。


外に出た時は全員息切れしており、ひざに手を当てたり、天を仰いだりしてました。


穴を出た私たちは、体力が戻ったら再び走って逃げました。穴から遠くに逃げたかったのでしょう。私もそうでした。
1000: 20xx ザ・ミステリー体験
振り返って穴を覗く者は、一人もいませんでした。河川敷にある売店、そこの自販機の所まで逃げた所で、全員休みました。


もう穴の中で響いていた音は聞こえません。


皆でジュースや缶コーヒーを買い、あれは何だったのか議論しました。幽霊なのか?謎の生物なのか?スパイなのか?


真相はわかりませんでしたが、一致した意見はありました。あの音に近づいてはいけなかった。逃げたのは正解だった。
1000: 20xx ザ・ミステリー体験
あの音に囲まれていたらヤバかった。音に取り込まれていたら帰れなかったかもしれない。とにかくヤバい何かがいた。この辺りは全員同意見でした。


あの闇の中、照明を持たずに穴に入ってくる時点で、尋常ではありません。しかも私たちを追いかけてきた。どうやら集団でいたらしい。マンホールから入ってきた気配もない。


トンネルは一本道だったのに、すれ違うこともなく私たちの後ろにいた。常識では考えられない「何か」だったことは、間違いありません。


そして、私たちに向かってきたのも事実です。
1000: 20xx ザ・ミステリー体験
この一件以来、暗渠探検をしようと言い出すものは皆無でした。あれ以来、私は暗渠に行っていません。


それどころか、すっかり都会の地下が怖くなってしましました。皆さんも都会の地下には気を付けてください。えたいのしれない何かに出会うかもしれません。


彼らに出会ったとき何が起こるか分かりませんが…近づかないほうが良いでしょう。


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